企業でiPhoneやiPadを導入する際、「デバイスの設定に時間がかかる」「セキュリティ管理が心配」「アプリの配布が煩雑」といった課題に直面していませんか?
テレワークやDXの推進により、多くの企業でApple製品の業務利用が拡大している一方で、適切な管理体制を構築できずに悩む企業が増加しています。そこで注目されているのが、Appleが法人向けに無料提供している「Apple Business Manager」です。
本記事では、Apple Business Managerの基本機能から導入手順、MDMとの連携についてまで、企業での端末管理の方法を包括的に解説します。
「Apple製品を会社で使いたいけど管理が大変」「セキュリティを強化しつつ運用効率も上げたい」という課題をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
Apple Business Managerとは?企業のApple製品管理に最適
Apple Business Manager(ABM)は、企業がApple製品を効率的に管理するための仕組みとして位置づけられています。
ここでは、ABMの基本的な役割や仕組みを整理し、従来の管理方法との違いを明確にします。
Apple Business Managerの概要
ABMは、企業や教育機関がApple製品を効率的に導入・運用するためのWebベースの管理ポータルです。iPhoneやiPad、Mac、Apple TV、Apple Vision Proといったデバイスを対象に、導入時の設定やアプリ配布、アカウント管理を統合的に行うことができます。
主な機能は以下の4つです。
・デバイス登録の自動化(購入時からMDMへの登録)
・アプリやコンテンツの一括管理(「Appとブック」購入機能)
・アカウント管理(管理対象Apple IDの発行・統制)
・Appleエコシステムとの橋渡し(MDMとの連携)
順番に見ていきましょう。
デバイス登録の自動化
Apple Business Managerを利用すると、新規購入したデバイスを自動的にMDMへ登録できます。従来のように1台ごとに初期設定やキッティング作業を行う必要がなくなり、数時間かかっていた作業を数分に短縮できます。
アプリ・コンテンツの一括管理
「Appとブック」機能のVolume Purchase Program(VPP)を通じて、業務に必要なアプリやコンテンツをまとめて購入・配布できます。ライセンス管理も容易になり、社員ごとに個別購入していた時の煩雑さやコストの増大を防ぐことが可能です。
アカウント管理
Apple Business Managerでは「管理対象Apple ID」を発行できます。個人のApple IDを業務利用する場合に比べて権限設定や利用制御が行いやすいため、退職者のアカウント処理もスムーズになります。
Appleエコシステムとの橋渡し
ABMはApple純正の仕組みとサードパーティMDMをつなぐ基盤として機能します。セキュリティポリシーや運用ルールの適用はMDMが担い、ABMはその前提となるデバイス登録やアプリ配布を効率化する役割を果たします。
従来の企業Apple管理との違い
Apple Business Managerの導入によって、従来の手作業中心の管理から効率化された統合管理へと移行できます。ここでは、従来の課題とABM導入後の変化を整理します。
従来の企業Apple管理における主な課題は以下の4つです。
・iPhone・iPadの個別キッティング作業(新入社員1台あたり2〜3時間)
・アプリの個別購入やインストールによるコスト増加と管理の煩雑化
・セキュリティポリシーを統一することの困難さ
・退職者のデバイスやデータ処理が属人的になりやすい
これらの課題は、Apple Business Managerの活用によって次のように改善できます。
管理項目 | 従来の方法 | Apple Business Manager活用 |
---|---|---|
デバイス初期設定 | 手動で2〜3時間/台 | 自動設定で5〜10分/台 |
アプリ配布 | 個別購入・手動インストール | 一括購入・自動配信 |
セキュリティ設定 | 口頭指導・チェックリスト | 統一プロファイル自動適用 |
アカウント管理・退職時処理 | 個人Apple ID利用/手動データ削除 | 管理対象Apple ID統制/アカウント無効化 |
〇デバイス初期設定
従来は1台あたり2〜3時間かかっていた初期設定作業が、自動登録(ADE)によって5〜10分程度で完了します。人手に依存したキッティング作業の負担を大幅に削減できます。
〇アプリ配布
個別に購入してインストールしていたアプリは、「Appとブック」機能により一括購入・自動配信が可能です。これによりコストを抑えつつ、配布作業の効率化が実現します。
〇セキュリティ設定
従来は口頭指導やチェックリストを用いた管理が中心でしたが、ABMとMDMの連携により統一されたセキュリティプロファイルを自動的に適用できます。これにより全デバイスで同一基準のセキュリティを維持できます。
〇アカウント管理と退職時の処理
従来は個人Apple IDを利用しており、退職者のデータ削除やアカウント処理が属人的でした。ABMでは管理対象Apple IDを利用することで、アカウント無効化やデータ処理を自動化し、セキュリティリスクを低減します。
Apple Business Managerでできること|主要機能と企業メリット
Apple Business Manager(ABM)には、企業がApple製品を効率的に管理するための複数の機能が備わっています。特に重要な機能とその効果を整理しました。
Apple Business Managerで実現できる主な機能は以下の4つです。
・自動デバイス登録(ADE)
・ 「Appとブック」購入機能によるアプリ一括管理
・管理対象Apple IDの統制
・組織管理や権限設定
それぞれの機能について詳しく見ていきます。
自動デバイス登録(ADE)
Appleや正規販売店から購入したデバイスを、自動的にApple Business Managerへ登録できる仕組みです。開封と同時にMDM管理下へ配置され、設定やアプリ導入を自動化できます。
✅ゼロタッチ配備:端末の開封後すぐに業務利用可能
✅設定自動化:Wi-Fi、メール、VPN設定を一括適用
✅業務アプリ自動インストール:必要なアプリが自動で導入
✅セキュリティポリシー即時適用:統一設定でセキュリティを強化
このように、自動デバイス登録は端末展開にかかる手間を大幅に減らし、スピーディーで統一された導入を可能にします。
「Appとブック」購入機能によるアプリ一括管理
「Appとブック」の購入機能は、アプリやブックを組織単位でまとめて購入・配布できる仕組みです。ライセンスを効率的に活用でき、コスト削減にもつながります。
✅コスト最適化:複数ライセンス購入で割引適用
✅ライセンス再利用:退職者分を新入社員に再割り当て
✅配布自動化:対象ユーザーに自動でアプリ配布
✅利用状況の可視化:アプリ使用状況をレポート化
〇年間コスト削減例
年間削減効果:240,000円(約33%削減)
業務アプリ例:Microsoft Office(月額1,200円)
従来の個別購入:1,200円 × 50名 × 12か月 = 720,000円
「Appとブック」で一括購入:1,000円 × 40ライセンス × 12か月 = 480,000円
退職者分の10ライセンスを新入社員に再利用可能
このように、 「Appとブック」購入機能を活用することでコストを抑えるだけでなく、ライセンス管理や再利用の効率化も同時に実現できます。
管理対象Apple IDの統制
企業が発行・管理する専用Apple IDを利用することで、業務データと個人データを分離し、より安全な運用が可能になります。アカウントの発行や無効化を組織側でコントロールできるため、退職時のリスクや運用負担を軽減できます。
✅企業統制アカウント:発行や無効化を組織で一元管理
✅データ分離:個人iCloudと業務用iCloudを完全に切り分け
✅パスワードポリシー統一:企業基準のパスワード要件を適用
✅アクセス制御:App StoreやiCloud利用を部門ごとに制御可能
このように、管理対象Apple IDを導入することで「誰が」「どのデータに」アクセスできるかを明確に管理でき、セキュリティと利便性を両立させることができます。
組織管理・権限設定
管理者の役割を階層化し、部門ごとに異なるデバイスやアプリを配布できます。業務内容に応じた制限設定を適用することで、セキュリティと利便性の両立が可能です。
✅管理者:全機能へのアクセス権限あり。利用規約の同意やロールの割り当てを担当
✅デバイス登録マネージャ: デバイス登録や初期設定を担当
✅コンテンツマネージャ: アプリやブックの購入・配布を担当
部門別の活用例:
営業部:iPhone+営業支援アプリを自動配布
製造部:iPad+品質管理アプリ+カメラ制限設定
管理部:MacBook+Office Suite+VPN必須設定
このように、権限や役割を明確にすることで部門ごとに適切なデバイス環境を整備でき、セキュリティと利便性の両立を実現できます。
導入要件と登録手順
Apple Business Managerを利用するには、事前にいくつかの準備要件を満たす必要があります。
ここでは必要な情報や書類、具体的な登録手順を整理します。
登録前に必要な準備要件
Apple Business Managerを利用するためには、いくつかの事前準備が必要です。主な準備要件は以下の4つです。
・D-U-N-S番号
・初期管理者アカウント用メールアドレス
・決裁権限者情報
・組織情報
順番に説明していきます。
D-U-N-S番号
企業識別に必要な9桁の番号で、東京商工リサーチから無料で取得できます。この番号が会社名や住所と一致していることが審査通過の条件になります。取得には通常1〜2週間程度かかるので、早めの準備しておきましょう。
参考:Apple公式サイト
初期管理者アカウント用メールアドレス
Appleアカウントとして未使用の業務用メールアドレスが必要です。App StoreやiCloudに既に関連付けられているアドレスは使用できません。
決裁権限者情報
Apple Business Managerの利用規約に署名できる法定代理人など、組織を契約に拘束できる人物の情報が必要です。申請者本人と決裁者は別人であることが求められる場合があるため、注意が必要です。
組織情報
組織に関する基本情報を正確に入力する必要があります。必要な情報は以下のとおりです。
- 正式会社名(登記簿謄本通り)
- 本社所在地
- 代表電話番号
- 企業Webサイト
- 事業内容
準備が整ったら、以下のステップで登録を進めます。
登録手順
準備要件を満たしたら、実際にApple Business Managerへの登録を進めます。登録はオンラインで行え、Appleによる審査を経て利用を開始できます。以下の流れで進めるのが基本です。
Step 1:Apple Business Manager申請
①business.apple.comにアクセスし「登録」を選択
②組織情報を入力(D-U-N-S番号、初期管理者情報、決裁権限者情報)
③申請を完了
Step 2:Appleによる審査・承認(期間:1〜2週間)
①Appleが組織の実在性・決裁権限者を確認
②不備がある場合は追加書類提出を求められる
③必要に応じてAppleCareから確認連絡が入る
Step 3:承認通知・初期設定
①承認通知メールを受信後、初期管理者アカウントでログイン
②利用規約の確認・同意
③組織設定(タイムゾーン、言語、課税情報)
④追加管理者アカウントの作成(最大4名まで)
Step 4:MDM連携設定
①利用するMDMサービスと連携設定
②デバイス自動登録の有効化
③アプリ配布の設定
④セキュリティポリシーの適用
以上の手順を完了すると、Apple Business Managerを正式に利用開始できます。
登録自体はオンラインで完結しますが、審査対応や初期設定には時間を要する場合があるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。
登録時の注意点とよくある問題
Apple Business Managerの登録では、必要書類の不備や入力内容の相違により申請が却下されるケースもあります。ここでは、よくある問題点とスムーズに承認を得るためのコツをまとめます。
≪よくある登録却下理由≫
❌D-U-N-S番号と会社名・住所が一致しない
❌「IT担当」「管理部」などの肩書き名や共有メールでの登録
❌決裁権限者と申請者が同一人物
❌既に他組織で確認済みドメインのメールアドレスを使用
≪承認を早めるコツ≫
✅必要書類を事前に正確に準備しておく
✅代表電話・代表メールで連絡が取れる体制を確保
✅メールフィルタで「@apple.com」ドメインを受信許可
✅Apple審査からの連絡には迅速に対応する
これらの注意点を押さえて準備しておけば、余計な差し戻しを避けられ、より短期間でApple Business Managerを利用開始できる可能性が高まります。
Apple Business Managerの自動デバイス登録(ADE)について
Apple Business Managerの大きな特徴のひとつが「自動デバイス登録(ADE:Automated Device Enrollment)」です。従来は新規デバイスごとに時間をかけて行っていた初期設定やキッティング作業を大幅に効率化できます。主な仕組みは以下の2つです。
・自動デバイス登録(ADE):購入直後からMDMに自動登録される仕組み
・手動デバイス追加(Apple Configurator):既存端末を管理対象に追加可能
順番に見ていきましょう。
自動デバイス登録(ADE)の仕組み
自動デバイス登録(ADE)を利用するには、対象となるデバイスや購入方法に一定の条件があります。以下に対応要件をまとめました。
区分 | 条件 |
---|---|
対象デバイス | iOS 11以降、iPadOS 13.1以降、macOS 10.8以降、tvOS 10.2以降、visionOS 1.1以降 |
購入条件 | 2011年3月1日以降にAppleから直接、または正規販売代理店・携帯電話会社経由で購入したデバイス |
登録方法 | 購入時点でApple Business Managerに自動追加され、指定したMDMサーバーに自動割り当て可能 |
これらの条件を満たすデバイスであれば、開封から初期設定までを自動化することが可能です。
一方で、対象外となる古い端末や非正規ルートで購入した端末は自動登録ができません。その場合は、Apple Configuratorを使って手動追加する必要がある点に注意しましょう。
≪購入から利用開始までの流れ≫
この仕組みにより、従来2〜3時間かかっていた1台あたりの初期設定が、わずか数分で完了します。大規模展開やリモートワーク端末の導入でも強力に効果を発揮します。
手動デバイス追加(Apple Configurator連携)
Apple正規ルート以外で購入したデバイスでも、Apple Configuratorを利用すればApple Business Managerに手動で追加可能です。iPhone、iPad、Mac、Apple TVが対象となります。
≪手動追加の制限事項≫
❌一部機能に制限があり、完全な監視モードは利用不可
❌デバイス初期化が必要となる場合がある
❌自動登録ほどの効率化は期待できない
既存デバイスの活用余地を広げる手段ではありますが、可能であれば自動登録(ADE)対応の新規購入デバイスを活用するのが望ましいでしょう。
Apple Business Manager 活用事例と導入効果
Apple Business Managerは、企業におけるApple製品の管理を効率化し、セキュリティや業務スピードを向上させる仕組みです。
デバイスの初期設定からアプリ配布、アカウント統制まで一元的に行えるため、IT部門の負担軽減と運用コストの削減に直結します。
ここでは、実際にApple Business Managerを導入し成果を挙げた企業の事例を紹介します。
【事例①】SAP|ゼロタッチ配布で15分で稼働開始、IT負荷を大幅削減
導入背景:
SAPは、従業員に慣れ親しんだツールを使用させることで働きがいを高める「Mac as Choice」プログラムを実施しており、3万人以上がMacを選択しています。しかし、従来の手動設定はIT部門の大きな負担でした。そこでApple Business ManagerとMDM(Jamf)を活用したゼロタッチ導入を採用しました。
導入内容:
デバイスの開封後15分以内に完全稼働する、「ゼロタッチ配布」を構築。Apple Business ManagerとJamfの連携により、MacやiPhoneを直接社員の自宅またはオフィスに届け、IT部門による事前設定なしで利用開始できます。
導入効果:
・IT部門の設定工数が激減
・迅速な展開により社員満足と生産性が向上
・Macユーザー同士の専用コミュニティ「Mac@SAP」がITサポートの自己解決を促進
SAPではこの仕組みにより、社員が慣れたデバイスでスムーズに業務を開始できるようになり、採用・定着率の向上にも好影響を与えています(定着率94%)。
【事例②】栃木銀行|iPad導入で営業効率と顧客体験を同時に向上
導入背景:
地方銀行では顧客との信頼関係が基盤ですが、従来の業務では紙ベースの商談やオフィスへの戻りが求められ、効率的な対応が難しい課題がありました。
導入内容:
栃木銀行ではApple Business ManagerとMDMを用いたゼロタッチ導入により、iPad Proを活用した営業スタイルを実現。カスタムCRMアプリで顧客情報や過去取引を即時参照し、Apple Pencilによる電子署名まで完全ペーパーレスに。
導入効果:
・投資信託の申し込み手続きを30%短縮
・紙使用量を80%削減
・年間で約21,000時間の業務工数を削減
・営業担当がオフィスに戻る必要がなくなり、顧客対応がより柔軟かつ迅速に
iPadを活用した業務スタイルにより、店舗外での顧客対応がスムーズになり、業務効率と顧客体験の両方を大きく改善しています。
MDMとの連携方法|おすすめのMDMもご紹介
Apple Business Managerは、Appleデバイスを台帳化し、購入と同時にMDMへ自動登録、アプリの一括購入・配布管理、Managed Apple IDの発行・統制を担います。
一方でABM自体には、構成プロファイルの配布、機能制限・パスコード・証明書などのポリシー適用、OSアップデート制御、リモートロック/ワイプといった運用・セキュリティの細かな制御機能は備わっていません。
このため、ABMで登録と配布の土台を作り、MDMで日々の運用とセキュリティ制御を行うという二層構成が、Apple製品の企業管理では基本となります。
ここでは、主要なMDMサービスを比較し、規模や用途に応じた選び方を解説します。
Apple Business Manager対応主要MDMサービス比較
以下の表で、各MDMサービスの機能や価格体系を比較してみましょう。
MDMサービス | 料金 | ABM連携 | 特徴・強み | 適用規模 | 日本語 サポート |
---|---|---|---|---|---|
Microsoft Intune | 600円~/台 (月額) | ◯ | Office 365との完全統合 | 50〜1000台 | ◯ |
Workspace ONE | 750円~/台 (月額) | ◯ | エンタープライズ級 管理機能 | 100台以上 | ◯ |
LANSCOPE An | 300円~/台 (月額) | ◯ | 国産・中小企業特化 | 10〜500台 | ◯ |
MobiConnect | 1,980円~/台 (年額) | ◯ | 直感的な操作性 | 5〜300台 | ◯ |
Apple Business Essentials | 約430円~/ ユーザー (月額) | ◯ | Apple純正・シンプルな導入 | 5〜100台 | ◯ |
※料金は2025年8月時点の参考価格
規模・業種別おすすめMDM
MDMを導入する際は、管理対象となる端末の数や種類に応じて、必要な機能やコストのバランスが異なってきます。そのため、ここでは管理する端末の台数に応じて、中小企業から大規模企業まで利用しやすいおすすめのMDMを3種類紹介していきます。
小規模企業に最適なオールインワン型「Apple Business Essentials」
Apple Business Essentialsは、デバイス管理・アプリ配布・ストレージ・サポートが統合された、Apple公式のオールインワン型サービスです。導入までの手順が短く、Appleデバイスの導入と管理をスタートできます。
デバイスの一元管理が可能なのが特徴で、導入後すぐに効率的な運用を始められるのが嬉しいポイントです。
≪Apple Business Essentialsの特徴≫
☑ Apple公式のオールインワン管理
☑ MDM+iCloud+AppleCareが統合
☑ BYOD(私用端末利用)にも対応
項目 | 内容 |
---|---|
月額料金(税込) | 約430円/ユーザー〜(プランにより変動) |
ABMとの連携 | 対応(ADE・VPP・Apple ID統合) |
適用規模 | 5〜100台に最適 |
主な機能 | デバイス管理、アプリ配布、iCloudストレージ、リモートワイプ |
サポート体制 | AppleCare+ for Business Essentialsとの統合可 (デバイス修理・サポート込み) |
特徴 | Apple公式サービス、導入が容易、中小企業向け |
Apple Business Essentialsは、少人数のIT部門でも効率的な運用を可能にするサービスです。
Apple製品を中心に展開する中小企業には特におすすめの選択肢です。
中小企業に特化した国産MDMなら「LANSCOPE」
LANSCOPEは、エムオーテックス株式会社が提供する国産のMDMサービスです。
デバイス管理に加えて情報漏洩対策やログ監査まで対応できる点が特徴で、中小企業のセキュリティ強化に広く活用されています。
Apple Business Managerとの連携に対応しており、iPhoneやiPadの自動登録、アプリの一括配布を効率的に行うことが可能です。
≪LANSCOPEの特徴≫
☑ 国産ならではの日本語サポート体制
☑ デバイス管理+情報漏洩対策を一元化
☑ 利用状況や操作ログの可視化でコンプライアンス強化
項目 | 内容 |
---|---|
月額料金 | 330円/台〜(参考価格) |
ABM連携 | 対応(ADE・VPP・Apple ID統合) |
適用規模 | 10〜500台に最適 |
主な機能 | デバイス管理、アプリ配布、利用状況可視化、ログ監査、リモートワイプ |
サポート体制 | 国内拠点による日本語サポート |
LANSCOPEは、「セキュリティを重視しつつ効率的に端末を管理したい」という中小企業に特におすすめです。国産ならではの丁寧なサポートと、ABMとの連携による効率化を両立できるのが魅力です。
Microsoft Intune|Office 365と統合可能なエンタープライズMDM
Microsoft Intuneは、月額600円/台で利用可能なクラウド型MDMソリューションです。Office 365やAzure ADと完全統合されており、Windows PC・iPhone・Androidを一元管理できます。
特に既にMicrosoft環境を利用している企業に最適で、セキュリティポリシーの統合運用や業務アプリの自動配布をシームレスに実現できます。
≪Microsoft Intuneの特徴≫
☑ Office 365とのシームレス統合
☑ iOS・Android・Windowsを一元管理
☑ エンタープライズ向けセキュリティ機能
項目 | 内容 |
---|---|
月額料金 | 600円/台(参考価格) |
ABM連携 | 対応(ADE・VPP・Apple ID統合) |
適用規模 | 50〜1000台以上に最適 |
主な機能 | クラウドベースの統合管理、Microsoft 365との連携、ゼロトラストセキュリティ対応、BYOD対応 |
サポート体制 | Microsoft 365 サポート経由で提供 |
Microsoft Intuneは、既存のMicrosoft 365環境を最大限に活用したい企業に特に有効です。特に中規模以上の組織では、セキュリティ統合やWindows PCとの一元管理により、運用コスト削減と統制強化を両立できます。
運用のベストプラクティス|効率的な管理・セキュリティ対策
Apple Business Managerは非常に便利な仕組みですが、効果を最大化できるかどうかは運用次第です。多くの企業が課題を感じるのは「導入の手順」「セキュリティ体制」「運用の効率化」の3領域です。
ここから、実践的に役立つ視点を整理していきます。
≪特に押さえたい3つのポイント≫
✅段階的に進める
✅セキュリティは役割ごとに分ける
✅自動化できるところは徹底的に
〇段階的に進める
いきなり全社導入をするとトラブルが発生した際に対応が難しくなります。まずはIT部門や管理部門など少数のデバイスでパイロット導入を行い、運用ルールや設定を検証。そのうえで部門ごとに展開していくことで、スムーズかつ安全に定着させることができます。
〇セキュリティは役割ごとに分ける
全社員が同じセキュリティレベルでは非効率です。一般社員には基本的なパスコードや自動ロックを適用し、管理職にはVPN必須や生体認証、役員には多要素認証や証明書ベース認証など、役割ごとに強度を分けることでセキュリティと利便性を両立できます。
〇自動化できるところは徹底的に
新入社員の端末配布、アプリの更新、セキュリティポリシーの適用など、手動で行うとミスや工数増につながります。Apple Business ManagerとMDMを連携させ、自動登録・自動配布・自動レポート化まで仕組み化することで、業務の負担を大幅に軽減しつつ、セキュリティ水準を安定的に保てます。
チェックリスト|導入後に確認すべき項目
最後に、Apple Business ManagerとMDMを組み合わせて運用する際に押さえておきたい実践的なチェックリストをカテゴリごとにまとめました。
自社の運用ルールと照らし合わせて、漏れがないか確認してみてください。
≪認証・アクセス管理≫
✅ パスワードは英大文字・小文字・数字・記号を含む12文字以上に設定する
✅ 多要素認証(MFA)を全ユーザー必須にし、管理者は物理キー(FIDO2など)を利用する
✅ 許可した端末以外は接続できないように端末証明書登録を行う
✅ 社外からの管理画面アクセスは固定IP制限で守る
✅ 一定時間操作がなければ自動ログアウト(アイドルタイムアウト)する設定にする
≪端末セキュリティ≫
✅ ノートPCやスマホはリモートワイプ機能+ディスク暗号化(BitLocker/FileVault)を有効化
✅ 私物端末(BYOD)は業務用アプリをコンテナ化し、コピーやスクショを制限する
✅ VPN接続前にOS・ウイルス対策ソフトの最新状態チェックを行う
≪ネットワーク・通信管理≫
✅ 通信は原則フルトンネルで経由させ、必要に応じてアプリ単位のスプリットトンネルを設定
✅ ピーク時の同時接続数+20%を目安に帯域と接続数の余裕を確保
✅ VPNゲートウェイや回線は冗長化(二重化)して障害時に備える
✅ ログは集中管理して1年以上保管し、異常検知アラートを設定
≪運用・監査体制≫
✅ 重要度の高い脆弱性は3日以内にパッチ適用するルールを作る
✅ アカウントと権限は四半期ごとに棚卸しし、不要なものは即削除
✅ 社外委託や一時利用者は期限付きアカウントでアクセス範囲を限定
✅ 年2回以上はインシデント対応訓練を実施する
✅ 新機能や設定変更は必ずテスト環境で検証してから本番適用
✅ 従業員にはフィッシング訓練やVPN利用ルールを毎年再周知する
導入効果を長く維持するには「仕組み化」と「継続的なチェック」が欠かせません。このリストを定期的に振り返り、必要に応じて運用を改善していくことが大切です。
まとめ|Apple Business Managerで企業のApple運用を効率化
Apple Business Managerは、企業がiPhoneやiPad、MacといったApple製品を安全かつ効率的に活用するための重要な仕組みです。
本記事では、ABMの基本機能から導入手順、MDMとの連携方法、さらに実際の導入事例や運用のベストプラクティスまでを紹介しました。
ABMを取り入れることで、デバイスの初期設定やアプリ配布が自動化され、管理負担を減らしながらセキュリティも強化できます。これにより、従業員はよりスムーズに業務を開始でき、企業全体の生産性向上につながります。
今後もApple製品を業務で利用する機会は増えていきます。早めに管理体制を整えることで、安心で効率的な運用を目指していきましょう。