中小企業や法人の間で、固定IP対応のSIMカードを導入するケースが急増しています。とくにリモートアクセスやIoT、監視カメラのような用途で、「安定した通信」と「セキュリティの確保」が求められる場面が増えているのが背景にあります。
その中でも、docomo回線を利用した固定IP SIMは、「広い通信エリア」や「安定性の高さ」「法人向けプランの豊富さ」から、多くの企業に選ばれています。しかし一方で、au系・SoftBank系のSIMを含めた選択肢もあり、どれを選べばいいのか迷う方も少なくありません。
本記事では、法人契約可能なdocomo回線を利用した固定IP SIMを4つ紹介し、各社のプラン内容や料金を比較します。コスト削減や業務効率化を図るための選択肢として、最新情報をお届けします。
固定IP SIMとは?法人が注目する理由
そもそも固定IP SIMとは?
「固定IP SIM」とは、常に同じIPアドレスでインターネットに接続できるSIMカードのことです。
IPアドレスとは?
インターネットに接続されているパソコンや機械を識別するための“住所”のような番号です。
普通のインターネット回線では、接続のたびにこの“住所”が変わることがあります(これを「動的IP」といいます)。
しかし、固定IPなら「いつでも同じ住所」で通信ができるため、外部からのアクセスが安定します。
法人利用でなぜ重要?
企業や法人では、以下のようなシーンで固定IP SIMが活躍します:
- 防犯カメラやIoT機器を外部からモニタリング
- 複数の拠点を安全にネットワークでつなぐ(VPN)
- クラウドサービスとの安定した通信
とくに、セキュリティを重視する企業や、24時間監視が必要な現場では、IPアドレスが変わってしまうと問題が起きることがあります。
そのため、変わらないIPアドレス=固定IPがあることで「安定性」と「信頼性」が得られます。
docomo固定IP SIMが特に向いている企業とは?
docomo回線を使った固定IP SIMは、多くのMVNO(仮想移動体通信事業者)から提供されており、通信の安定性・エリアの広さ・法人向け対応の手厚さから高い評価を受けています。特に、以下のような企業・業種には非常に適しています。
通信の安定性がビジネスに直結する企業
docomo回線は全国的にカバーエリアが広く、特に地方や山間部、地下施設などでも安定した通信が可能です。そのため、以下のような環境では優位性があります。
- 全国展開の小売・物流企業(拠点が地方にも分散している)
- 工場や建設現場など、インフラが整っていない場所でのIoT活用
- 車載通信や移動体監視など、移動中でも安定した回線が求められる業務
既存の通信環境がdocomo前提の企業
すでに社内や現場でdocomo回線に対応したルーターや機器を使用している企業は、端末や設定をそのまま活用できるため、導入コストを抑えられるのも大きなメリットです。
セキュリティポリシーが厳しい業種
VPNやファイアウォール設定でIPアドレス制限を行いたい企業では、固定IPのSIMが必須です。docomo系サービスは、グローバル固定IPを提供している事業者が多く、外部からの接続管理や監査対応にも適しています。
他キャリアとの違い|docomo回線の強みとは?
法人向けの固定IP SIMは、docomo回線以外にもau(KDDI系)やSoftBank回線を利用したサービスがあります。それぞれに特徴がありますが、docomo回線には法人利用で特に強みとされるポイントがあります。
通信エリアと安定性の圧倒的な実績
docomoは日本全国で最も広い通信カバー率を誇り、都市部から山間部・離島まで安定した接続が可能です。他キャリアに比べて「圏外になりにくい」「通信切断が少ない」という評価が多く、特に以下のようなケースで選ばれています:
- 地方や郊外に拠点がある企業
- 車載・移動中の通信が必要な業務
- 屋外での常時接続が求められる監視カメラやIoT
緊急時やトラブル時の対応がしやすい
docomo回線は、災害時や大規模通信障害の際にも復旧が早いとされ、法人にとって大きな安心材料です。また、多くのMVNOが法人窓口や専用サポートを用意しており、万一の際の対応力にも差が出ます。
法人向けおすすめdocomo回線の固定IP SIM4社比較表
以下の表は、各社での料金や速度比較です(税抜価格):
項目 / 会社名 | 初期費用 | 固定IP月額 | 最安プラン(月額) | 高速通信プラン例 | 通信速度(通常) |
---|---|---|---|---|---|
ロケットモバイルZ(法人限定) | 5,115円 (契約3,740円+IP1,375円) | 695円 | 100MB + IP:1,023円 | 3GB:1,210円 + IP695円 = 1,905円 上り特化3GB:770円 + IP695円 = 1,465円 | 4G/LTE/5G(超過後128kbps) |
イプシム(IPSIM) | 4,283円 (登録3,300円+SIM433円+IP550円) | 500円 / 450円(割引あり) | 無制限(200kbps):1,089円(IP込) | 3GB:1,408円 10GB:2,794円(IP込) | 下り最大450Mbps / 上り最大50Mbps |
インターリンク LTE SIM | 3,300円 (※10年以上契約で無料) | 無料 | 無制限(128kbps):1,100円 | 3GB:1,760円 10GB:3,190円 | 下り最大150Mbps / 上り最大50Mbps |
BIGLOBEモバイル(法人) | 無料 | 550円 | 3GB + IP:1,320円 | 3GB:700円 + IP550円 = 1,320円 | 上り最大131.3Mbps / 下り最大 128.8Mbps |
以下に、各社の詳細な特長をご紹介します。
申込ページ:rokemoba.com/rokemoba-z

ロケットモバイルZ~固定IPアドレス付きモバイルSIMサービス~
- 法人限定・IoT対象
IoT用途に最適化された法人契約専用のモバイルSIMサービスです。
- 短納期対応
標準で2~3営業日以内にSIMカードを発送。大口発注を除いて迅速に入手可能です。
- 固定IPアドレス対応
オプションで固定IPを付与可能に。- 固定IP月額:税別632円
- 固定IP追加手数料:税別1,250円/枚(SIM台数分)
- 柔軟なプラン設定
容量に応じた多様なプラン展開:上り特化プラン(3〜200GB)など。
ただし、上り優先プランは下り利用制限あり(例:3~50GBプランは下り0.5GB超で利用停止など)
- 通信仕様
・通信速度は各キャリアのLTE/4Gに準拠(ベストエフォート)。
・上限到達後は「切断」または「32 kbps/128 kbps」に制限。
・初速バースト機能はなし。
- 管理者向け法人コンソール
発注後は法人向け管理ページから、申し込みや容量残量の確認、解約まで自由に実施可能。
申込ページ:ipsim.net

イプシム(IPSIM)
- 固定グローバルIPアドレス付きSIM
NTTドコモ回線(4G LTE/3G)を使い、SIMごとに専用のIPv4グローバル固定IPを割り当て。リモートアクセスやIoT用途でセキュリティと安定性を両立できます。 - 高速通信と低速モードの切り替え
容量タイプでは、高速通信(最大450 Mbps DL/50 Mbps UL)と低速モード(最大200 kbps、バーストあり)をオン・オフ可能。無駄な容量を節約できます。 - データ繰越・チャージ可能
高速容量未使用分は翌月に繰り越し可能(上限なし)。不足時は1 GBあたり1,000 円(税別)でチャージも可。 - 豊富なプラン構成&割引制度
無制限、小容量(1~10 GB)、大容量(30GB)から上り高速タイプ(50 GB/月)まで多様な用途に対応。固定IP利用料は450~500円/月で、複数SIM契約時に割引あり。 - 柔軟なIP切替
固定IP→動的プライベートIPへの切替可。不要になれば固定IP料金不要で利用を継続できます。 - 法人・プリペイド両対応
法人向け(長期契約・月額プラン)とプリペイド式(2/6/12ヶ月)を提供。IoT/M2M用途や検証・短期導入にも対応。 - 導入例多数
VPN/SSH用途、クラウド→デバイス、監視カメラ、遠隔制御など、双方向通信システムでの導入実績豊富。
申込ページ:interlink.or.jp

インターリンクLTE SIM
- 全プランに固定グローバルIP付き
全てのプランでグローバル固定IPアドレスが1つ付与され、ユーザーが好みのホスト名をDNS逆引き設定可能です。 - NTTドコモ網対応(LTE/3G/5G)
マルチカットSIMでドコモのLTE・FOMA・5Gに対応し、幅広い端末で利用可能。 - 高速通信ON/OFF & 低速モード
プランにより、通信速度の切り替えが可能(高速通信停止で低速200 kbpsに切り替え)。128 kbps定速プランもあり。 - 選べる8種類のデータプラン(128 kbps無制限~30 GB高速)
用途に応じて128 kbps(1,100円~)から10 GB・30 GB(最大7,480円)まで幅広く選択可能。 - 余った高速容量の翌月繰越・チャージなしで節約
プラン内の未使用データは翌月末まで繰り越し可能(1回のみ) 。 - 便利なオプション機能
- SMSオプション(月154円)対応
- 24時間速度制限解除クーポン(550円/枚)で一時的に制限解除可能。
- 初期費用と支払い方法
- 初期費用:3,300円(長期契約者は無料)
- 法人向け支払い:口座振替、NTT料金合算などに対応。
- すぐ使えるSIMカード&サポート体制
- 再発行やサイズ変更も3,300円で可能
- 専用コントロールパネルでプラン変更や契約管理もオンライン完結。
- IoT/Cat‑M1対応
IoT向けLPWA規格「Cat‑M1(LTE‑M)」に対応し、省電力デバイスにも適性あり。
申込ページ:biz.biglobe.ne.jp

BIGLOBEモバイル
- 豊富なデータプラン選択肢(100 MB~300 GB)
データSIMは100 MB・500 MBなどの低速・低容量タイプ、高速上下通信タイプ、上り高速・下り低速タイプの3カテゴリーから選べ、合計13種類のプランを提供。 - 音声通話SIMもあり+豊富なオプション
音声通話SIMは7種類のプラン(例:1 GB~)で、10分かけ放題などの通話オプションも選択可能。 - 法人ニーズに応える管理機能
専用マイページでSIM追加、紛失時の一時停止・再開、利用状況・請求の一元管理が可能。最短2営業日でSIM発送。 - 固定IPオプション対応
データSIMに固定IPアドレスを付与でき、遠隔制御やM2M用途に活用可能。 - 無料お試し+安心導入サポート
データSIM/端末の無料試用(最長1週間)が可能。導入前に速度や接続可否を確認でき、納得した上で契約へ。 - 低コストかつ高品質ネットワーク
MVNOながら、MM総研のネットワーク品質調査で「ストレスなく利用できるレベル」をクリア。 - 法人向け支払い・契約柔軟性
支払い方法は口座振替・銀行振込(コンビニ可)、請求書払い対応。法人契約書類や個人事業主契約もOK。
法人向けSIMサービス:データ容量別・月額料金比較(固定IP込み)
以下の表は、主要なデータ容量での料金比較です(税抜価格):
データ容量 | ロケットモバイルZ | イプシム(IPSIM) | インターリンク | BIGLOBEモバイル |
---|---|---|---|---|
無制限(低速) | お問い合わせください | 1,089円(200kbps) | 1,100円(128kbps) | – |
100MB | 1,023円 | – | – | – |
500MB | 1,245円 | – | – | – |
1GB | 1,372円 | 1,155円 | 1,485円 | – |
3GB | お問い合わせください(上り特化:1,465円) | 1,309円 | 1,760円 | 1,320円 |
5GB | – | 1,859円 | – | – |
6GB | 2,070円(上り特化) | – | – | 1,925円 |
7GB | – | 2,299円 | 2,585円 | – |
9GB | お問い合わせください | |||
10GB | – | 2,849円 | 3,190円(または上り特化:2,145円) | – |
12GB | 2,510円(上り特化) | – | – | 3,300円 |
20GB | 4,523円(上り特化:2,873円) | – | – | 5,280円 |
30GB | – | – | 7,480円(または上り特化:3,960円) | 7,755円 |
50GB | 3,973円(上り特化) | – | – | – |
100GB | 5,095円(上り特化) | – | – | – |
200GB | 7,273円(上り特化) | – | – | – |
ロケットモバイルZは、価格・柔軟性・固定IP対応の三拍子が揃った“法人向け最強コスパSIM”。
とくに「低速でいい」「上りメイン」「大量導入したい」といったニーズを持つ企業にとっては、他社と比較しても群を抜いた選択肢と言えるでしょう。
まとめ
用途 | おすすめSIM | 特徴 |
---|---|---|
安価に始めたい | ロケットモバイルZ | 初期費用・月額が最安 |
大容量で高速通信 | イプシム(IPSIM) | 10~50GBまで豊富なプラン |
管理の手間を減らしたい | インターリンク | 固定IP無料・10年利用で初期費用0 |
導入コストを抑えたい | BIGLOBE | 初期費用ゼロ・バランス良し |
本記事では、docomo回線を利用した固定IP SIMとして、ロケットモバイルZ、イプシム(IPSIM)、インターリンク、BIGLOBEの4社を取り上げ、それぞれの料金プランや特徴を比較しました。
中でもロケットモバイルZは、低速通信ながら安定した接続が求められるIoT用途に最適な選択肢です。
法人で固定IP SIMを導入する際には、通信コストの削減や業務の効率化を実現するために、自社の利用目的に合ったプランを選ぶことが重要です。
導入前には、各社のネットワークエリアやサポート体制を十分に確認し、自社にとって最適なサービスを選定しましょう。