周波数帯とは?Wi-Fi・モバイル通信の種類と企業ネットワークへの活用ポイント

Wi-Fiやモバイル通信を導入する際、「通信が不安定になりやすい」「場所によってつながりにくい」などの課題に直面することがあります。こうしたトラブルの背景には、「周波数帯」の違いが大きく関係しているケースも少なくありません。

近年は、オフィスの無線LAN環境やモバイル回線を活用した業務が広がり、通信の安定性・効率性への関心が高まっています。しかし、2.4GHzや5GHz、あるいはLTEや5Gなど、周波数の種類が多く、それぞれの特性を把握するのは簡単ではありません。

本記事では、業務における通信環境の最適化を目指すうえで知っておきたい「周波数帯」の基本を整理しつつ、周波数ごとの違いや活用場面、選定時のポイントまでわかりやすく解説します。オフィスのネットワーク整備や通信コストの見直しにも役立つ情報をお届けします。

周波数帯とは何か|通信の“道路”を理解しよう

周波数帯とは、電波が流れる「通り道」のようなもので、インターネット通信や電話、テレビ、ラジオなど、さまざまな用途に応じて使われる電波の範囲を指します。
Wi-Fiやモバイル通信においては、この“電波の道路”をうまく使い分けることが、通信の安定性や速度、干渉回避に直結します。

法人利用においては、同じ拠点内での業務端末の混線や、近隣オフィスとの電波干渉など、通信トラブルの原因が「周波数帯の選択ミス」であるケースも珍しくありません。そのため、ネットワーク構築の第一歩として、周波数帯の正しい理解が不可欠です。

周波数帯は「用途ごと」に分類されている

周波数帯は、総務省が用途ごとに細かく割り当てを行っています。たとえば、以下のように分類されており、用途によって干渉を避けながら運用されています。

用途周波数帯
AMラジオ500kHz ~ 1.7MHz
地上波テレビ90MHz ~ 770MHz
携帯電話(4G)700MHz ~ 3.5GHz
Wi-Fi(2.4GHz)2.4GHz帯
Wi-Fi(5GHz)5GHz帯
5G(Sub6)3.7GHz ~ 4.5GHz
5G(ミリ波)28GHz帯など

参照:総務省 我が国の電波の使用状況

法人のネットワーク設計では、この中でも特に「Wi-Fiの2.4GHz帯・5GHz帯」や「携帯通信のLTE/5G周波数」が重要となります。

Wi-Fi周波数の違いと選び方|2.4GHzと5GHzの使い分け

業務でWi-Fiを活用する際、周波数帯の選定は通信の安定性や効率性に直結します。Wi-Fiの主な周波数には「2.4GHz帯」と「5GHz帯」があり、それぞれ通信速度や障害物への耐性、接続安定性に違いがあります。

2.4GHz帯|広範囲・障害物に強いが混雑しやすい

2.4GHz帯は、通信距離が長く、壁や天井などの遮蔽物を越えて届きやすい特徴があります。そのため、広いオフィスや建物内の異なるフロア間で通信するシーンに向いています。ただし、同帯域は他の無線機器(Bluetooth機器や電子レンジ等)とも共有されており、混雑や干渉による通信品質の低下が発生しやすい点に注意が必要です。

  • 通信距離:長距離に向いている
  • 干渉リスク:高い(混雑したオフィスでは速度低下の可能性)
  • 通信速度:最大で理論上600Mbps程度(Wi-Fi 4基準)

5GHz帯|高速通信に強く混雑しにくいが、遮蔽物に弱い

5GHz帯は通信速度に優れ、利用できるチャンネル数も多いため、他の無線との干渉が少なく、スムーズな通信が期待できます。オンライン会議やクラウドアプリ、大容量ファイル転送など、帯域消費の大きい業務用途に向いています。ただし、障害物に弱く、ルーターからの距離が遠いと接続が不安定になるため、機器の配置計画や中継機の活用が鍵となります。

  • 通信速度:最大9.6Gbps(Wi-Fi 6規格時)
  • 干渉リスク:低い(空いている帯域が多いため)
  • 通信範囲:短め、遮蔽物に弱い

多くの法人向けWi-Fiルーターは、2.4GHzと5GHzの両方に対応する「デュアルバンド」構成となっています。たとえば、来客用Wi-Fiには2.4GHz、本社内の業務機器には5GHzを割り当てることで、通信効率とセキュリティを両立する運用も可能です。

関連記事:Wi-Fiの「2.4GHz」と「5GHz」ってなに?周波数の仕組みと自動接続の技術を徹底解説

法人モバイル通信と周波数帯の関係|4G・5Gの帯域活用

業務用のモバイル通信サービスを選ぶうえで、「どの周波数帯を使用しているか」は通信品質・安定性・カバー範囲に直結する重要な要素です。4G・5Gといった通信規格には、それぞれ複数の周波数帯(バンド)が割り当てられており、対応バンドが不足していると通信が不安定になる恐れもあります。

4Gの主な周波数帯(バンド)と特徴

4G(LTE)は、エリアの広さと速度のバランスを取りながら通信を行う規格です。以下のように、周波数ごとにカバー範囲や通信品質に差が出るため、法人用途では「マルチバンド対応」の端末・SIMを選ぶのが理想です。

バンド周波数特徴
Band 12.1GHz都市部中心、速度重視
Band 31.8GHz広域カバーと速度のバランス
Band 8900MHz建物内・地方に強い(プラチナバンド)
Band 19800MHzドコモ系の広域カバーに強み
Band 28700MHzNTTドコモ、au、ソフトバンクが共同で活用するプラチナバンドで、地方や建物内での広域カバーに優れる。

たとえば、工場のような建物の奥や地下など電波の届きにくい場所では、Band 8やBand 19といった低周波帯(サブ1GHz帯)が活躍します。

5Gの周波数帯|Sub6とミリ波

5G通信は、従来の4Gと比較して「高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」が大きな特長です。これを実現するため、使用する周波数帯(バンド)もより広範かつ高周波化しています。
主に使われているのが「Sub6(サブシックス)」と「ミリ波」の2種類です。それぞれの違いを理解することで、自社に適した通信環境の選定がしやすくなります。

Sub6(サブシックス)とは

Sub6は3.6GHz〜6GHz未満の帯域を指し、現在の5Gサービスの多くがこの帯域を使用しています。4G(LTE)で使われていた周波数帯と性質が近く、屋内外問わず広いエリアをカバーしやすい一方で、通信速度は数百Mbps〜1Gbps前後が主流です。

企業が導入する際には、5Gの中でも「エリアの広さ」と「安定性」のバランスを重視する場合に最適な帯域と言えます。工場内や店舗、建設現場など、ある程度の広さで安定的な通信を求めるシーンに適しています。

ミリ波とは

ミリ波は、28GHz帯を中心とする非常に高い周波数の電波です。5Gにおいて最大数Gbpsを超える超高速通信を実現可能であり、4K映像のリアルタイム伝送や自動運転通信など高度な用途に活用されます

ただし直進性が非常に強く、建物や障害物の影響を受けやすいという特性があります。そのため、屋外の開けた場所や専用のインフラ整備がなされたエリアでの使用が前提となります。

現時点での法人利用では、スタジアムやイベント会場での高密度通信や、工場内の超高速IoT通信に活用されているが、自動運転などへの応用は今後のインフラ整備に依存する状況です。

限られたエリアや特定用途に絞って導入されるケースが多く、将来的な活用を見越して理解を深めておくと良いでしょう。

法人通信でよくあるトラブルと“周波数帯”の関係

業務における通信環境では、「ネットが遅い」「つながらない」といったトラブルがしばしば発生します。こうした問題の背景には、周波数帯の選定ミスや電波干渉といった原因が隠れていることも少なくありません。

「Wi-Fiが遅くなったり、頻繁に切れる」

多くの業務端末が2.4GHz帯に集中し、Bluetooth機器や電子レンジなどと干渉していることが多く見られます。干渉を受けにくい5GHz帯に切り替える、またはデュアルバンド対応ルーターを導入し、状況に応じて自動で切り替える環境を構築するのが有効です。

「拠点によってモバイル通信の速度がばらつく」

使用しているSIMやルーターが、そのエリアで有利な周波数帯(バンド)に非対応のケースが原因です。契約している通信キャリアの対応バンドを確認したうえで、対応周波数帯が広いルーターやSIMを選定すると安定した通信が確保しやすくなります。

「複数台を接続するとネットが不安定になる」

同じ帯域(例:2.4GHz)に多数の機器が接続され、帯域の占有率が高まっていることが多いです。利用端末を5GHz帯に優先的に接続する、チャネル分離を設定するなどの負荷分散策が有効です。

「VPN接続が途中で切れる」

VPN接続の不安定さは、低周波帯の速度限界に加え、ネットワーク輻輳や端末の設定不備も原因となり得えます。解決策として、1.7GHz以上の帯域を使用する、ネットワーク監視ツールを導入する、またはキャリアの優先接続プランを検討するなどが有効となります。

低周波帯(700~900MHz帯など)は障害物に強く広範囲をカバーできますが、通信速度には限界があります。VPNの安定性には一定の帯域幅が求められます。
通信品質が安定している中〜高周波帯(1.7GHz以上)や、Wi-Fiでは5GHz帯を用いた接続環境を整備することが推奨されます。

このように、業務通信におけるトラブルの多くは、周波数帯の理解と適切な選定によって回避できます。特に中小企業では、汎用的な設定のまま運用されがちなため、一度ネットワークの見直しを行うことで通信環境が大きく改善されるケースもあります。

法人モバイル通信と周波数帯の関係|4G・5Gの帯域活用

法人でモバイル通信を導入・活用する際、使用する通信回線の「周波数帯」を正しく理解しておくことは非常に重要です。周波数帯によって、通信の安定性・速度・エリアカバーが大きく異なるため、選ぶ回線やルーターによって業務効率やセキュリティにも影響を与えます。

4G(LTE)の周波数帯

4Gでは主に700MHz~3.5GHz程度の帯域が使われており、都市部・郊外・山間部といった幅広いエリアに対応しやすいのが特長です。法人向けWi-FiルーターやSIMサービスでも、この帯域を活用して広範囲で安定した通信を提供していることが多く、業務用途において高い信頼性を確保できます。

5Gの周波数帯

一方で、5GではSub6(~6GHz)やミリ波(~28GHz)といった高周波帯を活用しており、高速かつ低遅延での通信が可能です。これにより、リモート作業やクラウド連携、大容量データのやり取りが多い業務でも効率よく処理できるようになります。

ただし、ミリ波は障害物に弱いため、導入時には拠点の環境やエリア対応状況を確認することが重要です。

用途に応じた周波数帯の選定がカギ

以下は、法人利用シーンごとのおすすめ周波数帯の一例です。

利用シーンおすすめ周波数帯理由・特性
営業車など移動体通信4G(700〜900MHz帯)広範囲で安定。山間部や郊外もカバー
都市部オフィスでの高密度接続5G Sub6安定性と高速通信のバランスが良好
工場・施設での大量センサー接続5G Sub6 or ミリ波同時多接続・超低遅延に対応可能
建設現場や仮設拠点LTE(1.7GHz~2.5GHz帯)屋外対応しやすく、機器対応も豊富

このように、業務の性質や拠点の環境に応じて最適な周波数帯を選ぶことが、通信の安定性と効率化の両立につながります。導入の際は、対応周波数を明記している法人向け通信機器やSIMサービスを選定すると安心です。

法人向けモバイルWi-FiならロケモバWi-Fi

周波数帯にはそれぞれ特性があり、利用環境や通信機器によって「どの帯域をどう活用するか」が、通信の安定性やスピードを大きく左右します。特に法人利用では、建物の構造や拠点の立地によって電波干渉や通信品質にばらつきが生じやすく、最適な通信環境をどう構築するかが課題となります。

そうした背景から、複数の周波数帯を柔軟に使い分けられるLTE通信や、モバイル性の高いWi-Fi端末を活用した法人通信環境のニーズが急増しています。

ロケモバWi-Fiでは、docomo回線など広域に安定したLTE帯域を活用した法人向けのモバイルWi-Fiサービスを提供しています。2.4GHz帯の汎用性と、5GHz帯の高速性をバランスよくカバーできる端末を採用しており、電波干渉の少ない周波数帯を選んで通信できるのも大きな特長です。

  ✅建物内・屋外など環境に応じた柔軟な周波数帯活用
  ✅法人契約・請求書払い対応で経理処理もスムーズ
  ✅短期利用・複数拠点導入も柔軟に対応
  ✅即日発送・即利用可能なスピード感

まとめ

法人のIT環境において、通信の安定性やセキュリティは事業継続に直結する重要な要素です。その中でも「周波数帯」の理解は、より良いネットワーク設計や通信トラブルの回避、業務効率の向上に大きく寄与します。

本記事では、周波数帯の基本から、4G・5Gの帯域特性、そしてWi-Fi通信との関係まで解説しました。特に法人が利用するモバイル通信においては、業務内容や拠点環境に適した周波数帯を選定することが、安定稼働の鍵となります。

今後、働き方やビジネスのIT化がますます進む中で、自社の通信環境を再点検し、必要に応じた見直しを行うことは非常に有効です。周波数帯の正しい知識と、それを活かせる通信サービスを活用することで、日常業務から災害時の対応まで、より信頼性の高い通信基盤を構築していきましょう。

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