IoT通信は、デバイスをインターネットで繋ぎ、業務の効率化やコストの削減をサポートする便利な通信技術です。本記事では、IoT通信の仕組みからIoT SIM「ロケットモバイル」を用いた活用事例まで、2025年最新情報を基に解説します。本記事が、貴社のIoT活用によるビジネス加速の一助となれれば幸いです。
IoT通信の仕組み
IoT通信は、デバイスがインターネット経由でデータを送受信する仕組みです。主に以下の要素で構成され、効率的なデータ活用を実現します。
- データ収集：センサーやデバイスが環境データを取得する
- 通信：IoT SIMやWi-Fiを通じてクラウドにデータを送信する
- 解析：クラウドでデータを処理し、リアルタイムに分析する
- 活用：分析結果をアプリやシステムで表示し、意思決定を支援する
そもそもIoTとは？
IoT（Internet of Things）は、デバイスをインターネットに接続し、データの収集・共有を可能にする技術です。センサーや通信モジュールを搭載したデバイスがクラウドと連携し、リアルタイムで情報を処理します。
主な特徴は、「自動化」「効率化」「遠隔監視」「省エネルギー化」です。例えば、農業用ドローンとIoT SIMを組み込んだタブレットを連動させ、防除作業の人員削減と効率化を実現させたり、IoT技術を活用して無人店舗運営と遠隔監視を実現させたりすることができます。
導入事例の詳細はこちら
このように、IoTはデバイス、ネットワーク、クラウド、アプリケーションの統合で成り立ち、農業、医療、物流など多岐にわたる分野で活用が進んでいます。
IoTデバイスの接続方法
IoTデバイスの接続方法は、用途や環境に応じて有線と無線に分けられます。
有線接続（例：イーサネット）は高速で安定し、工場やオフィスの固定機器に適しますが、配線による設置制約があります。一方、無線接続は柔軟性が高いのが特徴です。
IoTデバイスの接続手順を、以下のフローチャートにて示します。
データ送受信の流れ
IoT通信のデータ送受信は以下の流れで行われます。
1.デバイスがセンサーでデータを収集する
2.IoT SIMなどの通信モジュールがデータをネットワーク経由でクラウドやサーバーに送信する
3.クラウドやサーバーに蓄積されたデータが解析される
4.解析結果はアプリケーションを通じてユーザーに提供され、リアルタイムの意思決定を支援する
例えば、スマート農業では土壌センサーを収集したデータがIoT SIM経由でクラウドに送信され、解析されます。解析された結果がユーザーに提供され、灌漑スケジュールの最適化のための意思決定をサポートします。
IoT SIMについては、下記記事にて詳細をご覧いただけます
IoT通信モジュールについて
IoT通信モジュールとは、デバイスがネットワークに接続するための小型ハードウェアです。基板やチップの形でデバイスに組み込まれ、位置情報や稼働状況などのデータを送信する役割を果たします。使用用途によって様々な種類があり、センサーと連携してデータを収集・送信します。
また、モジュールはMQTTやCoAPなどのプロトコルに対応し、暗号化や認証によるセキュリティ機能を備えています。そのため、モジュールを選ぶ際は、通信範囲、消費電力、プロトコルの互換性、コストを考慮することが重要です。プロトコルについては、次項で解説します。
IoT通信の代表的なプロトコル
IoT通信では、用途に応じたプロトコルが使用されます。本項では、主要なプロトコルとその特徴を取り上げ、IoTでの活用例も併せてご紹介します。以下のリストから項目をクリックすると、プロトコル概要にジャンプします。
①HTTP (Hypertext Transfer Protocol)
HTTPはWEB上のデータ通信に使用されるので、最も身近なプロトコルといえるでしょう。汎用性が高く、WEB上で動くシステムとの連携がしやすいのが特徴です。例えば工場やオフィスにおいて、機器の稼働状況をWEB上で確認する際に使用されます。
関連記事はこちら
②MQTT（Message Queuing Telemetry Transport）
MQTTは、軽量で低帯域幅の環境に最適なプロトコルです。低消費電力で信頼性が高く、リアルタイム通信に最適です。例えばスマート農業では、センサーで取得した土壌に関するデータをリアルタイムでクラウドに送信するのに使用されます。
③CoAP（Constrained Application Protocol）
CoAPは、制限されたデバイス向けに設計された軽量のプロトコルです。低消費電力で、LPWANやセンサーネットワークに適しています。例えば、ウェアラブルデバイスが心拍数や歩数をサーバーにデータを送信する際に利用されます。
④AMQP（Advanced Message Queuing Protocol）
AMQPは、信頼性の高いプロトコルの一つです。処理速度が遅めではあるものの、信頼性を重視したアプリケーションとの通信に最適です。法人のIoT用途に適しており、大規模なIoTシステムで使用されます。
⑤WebSocket
WebSocketは、双方向のリアルタイム通信に適したプロトコルです。低遅延ではあるものの、電力消費量が多いため、軽量デバイスには不向きなのが特徴です。ライブ映像のストリーミングなどのリアルタイムデータ送信に使用されます。
| IoT通信プロトコル | 特徴 | 用途の例 |
|---|---|---|
| HTTP | WEB | IoTデータのWEB表示 |
| MQTT | 軽量、低帯域幅 | スマート農業 |
| CoAP | 軽量、デバイス制限 | ウェアラブルデバイス |
| AMQP | 信頼性、処理速度遅め | 大規模なIoTシステム |
| WebSocket | 高速、リアルタイム通信向け | 映像のストリーミング配信 |
IoT通信方式の種類
IoT通信方式は、用途や環境に応じて多様な選択肢があります。本項では、代表的な方式と選定基準を解説します。これらは、通信距離、消費電力、データ量に応じて使い分けられます。以下のリストから項目をクリックすると、IoT通信方式概要にジャンプします。
①4G/5G
携帯電話の4G/5G網を使用し、広範囲で高速・安定した接続を提供します。大容量かつ長距離のデータ通信が可能ではあるものの、消費電力が高いのが特徴です。専用のIoT SIMを選べば、グローバルでのIoT利用も可能になります。
②Wi-Fi
Wi-Fiも高速かつ大容量のデータ通信が可能です。消費電力が高いのは4G/5Gと同じですが、通信範囲がより狭いのが特徴です。セキュリティ強化のため、暗号化方式では最新規格のWPA3が推奨されます。
関連記事はこちら
③LPWAN（NB-IoT/LoRa）
LPWANは消費電力を抑えつつ、長距離通信を実現可能です。NB-IoTやLoRaなどが代表的で、低容量かつ長期間データ通信をするIoTデバイスに適しています。
関連記事はこちら
④Bluetooth
Bluetoothは、短距離通信に特化しています。消費電力が低く通信範囲はWi-Fiよりも狭いため、至近距離で通信する小型のIoTデバイスに適しています。
⑤Zigbee
Zigbeeは、低消費電力でメッシュネットワークを形成します。通信範囲は中程度で、複数デバイスを効率的に連携しやすいという強みがあります。
| 接続方式 | 特徴 | 用途の例 |
|---|---|---|
| 4G/5G | 携帯電話網、大容量、広範囲 | スマートメーター 車両追跡 |
| Wi-Fi | 大容量、範囲狭い | スマートホーム オフィス |
| LPWAN | 低消費電力、長距離、長期間 | 農業 環境モニタリング |
| Bluetooth | 低消費電力、超短距離 | ウェアラブル端末 センサー間通信 |
| Zigbee | 低消費電力、中距離、複数連携 メッシュネットワーク | スマートホーム ビル管理 |
通信方式の選定基準
IoT通信方式を選ぶ際は、以下の基準を考慮します。
1) 通信距離：長距離なら4G/5G(1～10km)やLPWAN(1～15km)、短距離ならBluetooth(10～100m)やWi-Fi(50～100m)などが推奨される
2) データ量：大容量ならWi-Fiや4G/5G、低容量ならLPWANなどが推奨される
3) 消費電力：高ければ4G/5GやWi-Fi、低ければLPWANやZigbeeなどが推奨される
4) コスト：初期費用や運用コストを比較する
5) セキュリティ：暗号化方式や認証方式を確認する
6) 環境：屋外利用なら4G/5G、屋内利用ならWi-FiやZigbeeが推奨される
このように、用途に応じて最適な方式の選ぶことが、IoT利用によるビジネス加速を左右します。
IoT通信のメリット
IoT通信は、様々な恩恵をビジネスにもたらします。以下に主なメリットを紹介します。
生産性が向上する
これまで人間が行っていたデータ収集・分析がIoTによって置き換わることにより、処理が効率化・自動化されるだけでなく、人間が行っていたからこそ生じたヒューマンエラーが削減されます。このことにより生産性の向上が期待できます。
コストが削減される
IoT通信は、遠隔監視により現地作業を削減します。このことにより、本来人間が現場まで行き作業するのにかかった人件費ややり取りなどの手間が最小限になります。
リアルタイムで安全な運用ができる
現在何が起きているかを常時データで受け取ることにより、迅速な対応が可能になります。異常を即座に検知し、対応時間を短縮することは、セキュリティ強化とリスク軽減に貢献します。
ロケットモバイルのIoT向け格安SIM導入事例
ロケットモバイルのIoT向け格安SIMは、低コストで多様な用途に対応可能です。4キャリアに対応しており、月額298円(税抜)から選べる豊富な料金プランを用意しています。以下に様々な用途におけるロケットモバイルの導入事例を3つまとめました。
スマート農業での遠隔監視
有限会社サンパックシステム様は、果物ハウスのIoT化を実現しています。果物ハウス内の温湿度管理を遠隔監視するシステムにロケットモバイルの神プランを組み込むことで、インターネットを通じてハウス内の温湿度をいつでもどこでも確認できるようになりました。
火山監視映像伝送システム
気象庁とNICTは、ロケットモバイルの「上り専用SIM」およびクレアリンクテクノロジー社が開発した新しい映像伝送プロトコルHpVT（High-performance Video Transfer）を活用し、LTE/4G網で高品質な火山監視映像伝送システムの開発に成功しました。低コストで高フレームレートの監視を達成することにより、活火山の異常を迅速に検知することに貢献しています。
太陽光発電所の遠隔制御
株式会社渕田酒造場様は、ロケットモバイルの神プランを太陽光発電所に組み込み、発電量やシステム状態を遠隔監視できる体制を整えています。リアルタイムデータの通信によって故障検知やメンテナンスが効率化され、発電効率の最適化を実現しています。
ロケットモバイルのIoT向け格安SIMの用途別最適プラン早見表
ロケットモバイルは、用途に応じた柔軟なプランを提供します。神プランを中心に、スマート農業、監視カメラ、太陽光発電などに幅広く対応しています。以下は、用途別の最適プラン早見表です。
| 用途 | 月間 データ通信量 | 神 プラン | 高速プラン | 上り 専用 プラン | SMS | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1GB | 2GB | 3GB | 5GB | 7GB | 20GB | |||||
| M2M | 30MB | 〇 | なし | |||||||
| 無人拠点の遠隔制御 | 100 MB | 〇 | なし | |||||||
| ビニールハウスの温度管理 | 20MB | 〇 | なし | |||||||
| スマートメーター | 100 MB | 〇 | なし | |||||||
| 翻訳機、通訳機 | 100 MB | 〇 | なし | |||||||
| 計測機器への組み込み | 500 MB ~ 2GB | 〇 | なし | |||||||
| 環境センサーなどのデータ収集 | 200 MB | 〇 | なし | |||||||
| 太陽光発電の遠隔監視 | 1GB ~ 2GB | 〇 | なし | |||||||
| IoT自動販売機 | 1GB | 〇 | なし | |||||||
| バスロケーションシステム | 100 MB | 〇 | なし | |||||||
| 車両の運行管理 | 100 MB | 〇 | なし | |||||||
| 電子制御装置への組み込み | 100 MB | 〇 | なし | |||||||
| Webマーケティング全般 | – | 〇 | あり | |||||||
| システムのアップデート | – | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | なし | ||
| アプリのDL | – | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | なし | ||
| 外勤社員の連絡用端末(情報収集含む) | 1GB ~ 7GB | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | あり | |||
| 外勤社員の連絡用端末(連絡手段のみ) | 1GB | 〇 | 〇 | あり | ||||||
| 店舗間の連絡手段 | 1GB | 〇 | あり | |||||||
| 監視カメラ(動画) | 上り200GB~1TB | 〇 | なし | |||||||
| 監視カメラ(画像低画質) | 1GB | 〇 | なし | |||||||
※ご利用の端末、通信の頻度によって、データ通信量は上下しますのでご注意ください。
※データ通信量は目安の数字となります。
関連記事はこちら
IoT用途に最適な格安SIMならロケットモバイル
ロケットモバイルは、低コストでIoT化をサポートします。最も人気な神プランは「神プラン」は通信速度が最大200kbpsと低速ではあるものの、「容量無制限」「月額298円(税抜)~」「4キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天)対応」の3拍子が揃ったIoT SIMです。スマート農業、監視カメラ、太陽光発電など多様なIoTニーズに対応しながらも、コスト効率と拡張性を両立させます。
他にも、
- 映像などのアップロードに特化した「上り専用プラン」
- 固定IPアドレスも利用可能な「ロケットモバイルZ」
- 高速かつ大容量通信が可能な「大容量プラン」
などの豊富な選択肢を取り揃えて、お待ちしております。
まとめ
IoT通信は、デバイスとクラウドを繋ぎ、効率化やコスト削減を実現する技術です。用途に応じて、最適なプロトコルや通信方式を選ぶことが重要です。貴社のIoT活用を成功させるために、最適な通信環境を構築しましょう。
