テレワーク・DX・BYODの普及で法人向けiPhone導入が急増しています。法人利用では生産性向上と情報資産保護を両立するため、個人設定とは別の適切な初期設定・運用が不可欠です。
本記事は2025年最新情報を踏まえ、導入メリット・初期設定の流れ・MDM活用・必須セキュリティ対策を担当者向けに示す運用ロードマップを提供します。
法人利用におけるiPhone導入の4つのメリット

なぜ多くの企業がiPhoneを法人端末に選ぶのでしょうか。iPhoneを法人導入する主なメリットは以下の4点です。
- 高いセキュリティで情報漏洩リスクを低減
- 統一された操作性でサポート工数を削減
- アプリケーションの統制が取りやすい
- 長期的なOSアップデートでライフサイクルが長い
順番に説明します。
高いセキュリティで情報漏洩リスクを低減
iPhoneは、ハードウェアとOS(iOS)が一体となったApple独自の強固なエコシステムによって、非常に高いセキュリティを実現しています。データの暗号化は標準で有効化されており、ウイルス感染のリスクも低いとされています。企業の情報資産を守る上で、この強固なセキュリティは大きなアドバンテージとなります。
統一された操作性でサポート工数を削減
iPhoneは機種ごとのUI(ユーザーインターフェース)が統一されているため、新しい機種を導入しても社員がすぐに使い方を習得できます。また、操作に関する問い合わせやトラブルが発生した場合も、IT担当者が少ない工数で対応できます。
アプリケーションの統制が取りやすい
App Storeには厳格な審査基準があり、マルウェアなどの不正アプリが混入するリスクが極めて低いのが特徴です。また、後述するMDMを活用することで、業務に必要なアプリのみをインストールさせ、不要なアプリの利用を制限することも可能です。
長期的なOSアップデートでライフサイクルが長い
Appleは長期にわたってOSアップデートを提供しており、古い機種でも最新のセキュリティ対策や機能を利用できます。これにより、端末の買い替えサイクルを長くすることができ、TCO(総所有コスト)の削減にもつながります。
法人用iPhone導入時に考慮すべき5つのポイント

法人契約と個人契約の違い
法人契約では、一括請求や一元管理が可能になり、経費処理が簡素化されます。また、法人向けに特化したサポートや割引プランが利用できるケースもあります。社員が個別に契約する個人契約(BYOD)よりも、管理面でのメリットが大きいため、複数台を導入する場合は法人契約がおすすめです。
キャリア選定(MVNO/MNO)
- MNO(au、ドコモ、ソフトバンクなど):通信品質が安定しており、サポート体制も充実。通信量が多い、全国で使う場合に最適。
MNOについては下記を参照ください。
- MVNO:低コストで利用できるのが最大のメリット。通信速度が劣る場合もありますが、コスト重視なら選択肢になります。
MVNOについては下記を参照ください。
管理台数・利用者数の把握
導入するiPhoneの台数、利用者の役割や部署(営業、事務、現場作業など)を事前に把握しておくことが重要です。
購入形態(リース/一括/分割など)
- 一括購入:初期費用は高いが、ランニングコストを抑えられる。
- 分割購入:初期負担を減らしたい場合に有効。
法人向け中古iPhoneに関しては下記を参照ください。
- リース:初期費用ゼロ、経費処理がしやすい。
法人向けiPhoneリースに関しては下記を参考にしてください。
運用ルールの策定
利用範囲、セキュリティポリシー、紛失・盗難時の対応など、明確なルールを策定しておくことで、トラブルを未然に防げます。
初期設定の流れとポイント

開封後に行う基本設定
言語、Wi-Fi接続などを設定します。この時点でApple IDの扱いが非常に重要になります。
Apple IDの扱い:個人IDか管理用IDか
推奨:Apple Business Manager(ABM)とMDMを連携させ、Apple IDを一括管理。個人IDを使わせると退職時のデータ管理に問題が起こります。
法人共通設定のテンプレ化
複数台ある場合は、MDMで構成プロファイルを一括適用するのが効率的です。
設定ミスによるリスク
個人のApple IDで設定した場合、退職後もデータが個人側に残るなどのリスクがあるため、統一管理が必要です。
法人向けにおすすめのiPhone設定項目一覧
| 設定項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| パスコード | 6桁以上の複雑なパスコードを必須 |
| Face ID/Touch ID | 有効化 |
| 自動ロック | 1〜2分でロック設定 |
| iCloud制限 | 業務バックアップを禁止 |
| AirDrop | 無効化 |
| Siri | ロック画面では無効 |
| Safariの自動入力 | 無効 |
| アプリ制限 | MDMで管理 |
| OSアップデート | 自動化+MDM管理 |
※iPhoneをMDMで管理するためには、Apple Push Notificationサービス(APNs)証明書やApple Business Managerのトークン(ADE)が必要になります。これらは1年ごとに有効期限を迎えるため、毎年の更新作業が必要です。更新を怠ると、デバイス管理機能が利用できなくなる可能性があるため、更新スケジュールの管理やリマインダー設定を忘れずに行いましょう。
MDM(モバイルデバイス管理)の活用

MDMとは何か、なぜ必要か
MDMは、複数のモバイル端末を一元的に管理・設定するためのシステムです。導入することで以下の管理が可能になります。
- 一括設定:Wi-FiやVPN、パスワードポリシーを全端末に適用可能。
- アプリ制御:業務に必要なアプリの配布や不要アプリの制限。
- セキュリティ対策:紛失・盗難時に遠隔ロックやデータ消去が可能。
主なMDMツールの比較
| ツール名 | 特徴 |
|---|---|
| Jamf | Apple製品に特化。キッティングや運用まで高度に対応。 |
| Microsoft Intune | Microsoft 365との連携に強く、Windows端末との一元管理も可能。 |
| Mosyle | Apple向けMDM。直感的なUIと操作性が特徴。 |
MDM導入における注意点と成功のコツ
- スモールスタート:小規模な部署から導入し、運用フローを固めて全社展開を目指す。
- 運用ルールの徹底:MDMの制限内容を社員に共有・理解させることで、スムーズな定着が可能に。
※MDMは非常に強力な管理手段ですが、過度な制限をかけすぎると従業員の業務効率やモチベーションの低下を招く可能性があります。また、公式に許可されていないアプリやサービス(いわゆる「シャドーIT」)を使う温床になることもあり、過剰な制御は逆効果となる場合もあります。導入時には、従業員との合意形成や利用目的の透明化、柔軟なポリシー設計が重要です。
セキュリティ対策のベストプラクティス

法人iPhone運用で最重要なのがセキュリティ対策です。以下は必ず実施しましょう。
紛失・盗難時の対応策
MDMのリモートワイプ(遠隔データ消去)を有効に設定しておきましょう。加えて、Appleの「探す」機能も有効にします。
データ暗号化・VPN設定
iPhoneは標準で暗号化されていますが、VPNを併用することで通信も安全に。公共Wi-Fi利用時などに効果的です。
App Storeのインストール制限
MDMでApp Storeの利用を制限することで、不正アプリや業務外アプリのインストールを防止できます。
管理者アカウントと権限設定
MDMの管理者権限は必要最低限の担当者に限定し、誤操作や情報漏洩リスクを低減させましょう。
ケース別:設定運用のベストプラクティス

営業職向け
- 活用:連絡先・地図・カレンダーアプリの一括配布。
- 制限:ゲームやSNSアプリの利用制限。
工事現場/現場作業向け
- 紛失対策:GPS位置情報をMDMで取得。
- 物理保護:耐衝撃ケースの支給・利用の義務化。
リモートワーク向け
- VPN:自宅から社内ネットワークに安全に接続。
- 二段階認証:セキュリティ強化。
社員の私物端末(BYOD)
- 業務用アプリやセキュリティポリシーをMDMで適用。
- プライバシー保護のため、個人データと業務データを分離管理可能なツールを選定。
iPhoneの法人契約に最適な格安SIMなら「ロケットモバイル」

iPhoneを法人で導入する際はやはり端末の代金を無視できません。
そこで格安SIMを導入することで、コストを抑えましょう!
「ロケットモバイル」は以下の点で優れています。
・4キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天回線)対応
・便利な専門管理ツール
・多くの導入事例あり
・業界最安値の「神プラン」:月額料金298円から利用可能
詳しくは以下をご参照ください。
まとめ
本記事では、法人iPhoneの導入から運用まで、担当者が知っておくべきポイントを解説しました。法人でのiPhone運用は、「最初の設定」と「運用ルール」が最も重要です。適切な設定とMDMの活用により、セキュリティリスクを低減し、社員の生産性を最大化しましょう!
よくある質問(FAQ)
Q1:社員が勝手にアプリをインストールしてしまうのですが?
A.MDMでApp Storeを制限し、業務に必要なアプリだけをインストール可能にしましょう。
Q2:退職した従業員のiPhoneはどうすればいいですか?
A.MDMを使って端末の初期化や業務データの消去が可能。次の社員への再利用もスムーズです。
Q3:MDMツールの導入コストはどれくらいですか?
A.無料プランから高機能な有料ツールまで幅広く存在します。管理台数・機能要件に応じて選定しましょう。
Q4:BYODの場合、プライバシー侵害になりませんか?
A.業務データと個人データを分離できるMDMを選定すれば、個人情報に干渉せずに安全な運用が可能です。事前説明と同意取得が必須です。


