2025年2月28日に発売された「iPhone 16e」は、Appleが提供するiPhoneの新たな選択肢として注目を集めており、法人導入を検討する企業が急増中です。
当記事では、Apple IntelligenceをはじめとしたiPhone16eの機能性の詳細や、法人利用におけるおすすめポイント、法人の利用ケースや気になる市場の評価などを多角的に解説し、iPhone 16e の全貌を明らかにします。
エントリーモデルの再定義:iPhone 16e の狙い

画像:Apple公式(https://www.apple.com/jp/iphone-16e)
iPhone 16e は、昨年9月に発表された iPhone 16 シリーズのエントリーモデルという位置付けです。
従来の低価格モデルである「SE」と比較すると価格は高めですが、iPhone 16シリーズにも搭載されている最新の A18 チップや、様々な業務に活用可能な AI 機能を搭載した高機能のモデルとなっています。これによって、iPhone 16eはコストパフォーマンスに優れた新たな選択肢を提供しています。
iPhone 16eのスペックは以下の通りです。
スペック詳細
項目 | スペック |
チップ | A18 |
ディスプレイ | 6.1インチ・有機EL |
認証 | 顔認証 |
価格(税込) | 128GB:99,800円 256GB:114,800円 512GB:144,800円 |
価格の比較(税込) | iPhone SE 第3世代:62,800円 iPhone 16:124,800円 |
参照:Apple公式(https://www.apple.com/jp/shop/buy-iphone/iphone-16e)
iPhone 16eの法人利用におけるおすすめポイント
Apple Intelligenceを活用した業務効率化
iPhone 16e は高機能かつリーズナブルな価格設定という特長を有しています。
その中でも最大の魅力は、4月に日本語対応が予定されている「Apple Intelligence」です。
メールの校正や文章の書き換え、ChatGPT との連携など、AI を活用した業務効率化が期待できます。
Apple Intelligenceの活用例は以下の通りです。
- メール
文章の校正や、文面の丁寧な文章への書き換え、フレンドリーな文面への変換などといった文書修正機能に加え、ChatGPT との連携によるメール本文の生成なども可能です。
他にも、受信したメールのリストアップ機能などにも対応しており、業務における様々なシーンで活用することができます。
- Siri
Apple Intelligenceの導入によってSiriの性能も向上しています。
例として、立て続けに質問をした場合、話の流れを理解した回答をしてくれるなど、今までよりも格段に進化した音声アシスタント機能を獲得しています。
- ボイスメモ
ボイスメモでは、Apple Intelligenceを活用した文字起こし機能が実装されており、議事録作成などの業務を効率化することが可能です。
また、Apple Intelligence は、ユーザーの情報を端末内で AI 処理するため、セキュリティ面でも安心して利用することができます。
10万円未満の価格設定
iPhone 16eの価格は99,800円(税込)と、10万円未満の消耗品扱いが可能な水準に抑えられています。
これによって、iPhone 16eは減価償却不要で「経費で落とせるiPhone」としての運用が可能であり、特に法人利用においてはちょうど良い価格での高機能のiPhoneの導入ができます。
そのため、iPhone 16eは業務用の端末としての大きな可能性を秘めています。
運用コストの削減
iPhone 16eを含めたApple製品のユーザーは、それら端末を一括管理するサービスである「Apple Business Manager」を利用することが可能です。
そのため、たとえ数百~数千台規模での運用を行う場合であっても端末の一括設定ができます。
これによって初期設定の工数やコストを大幅に削減することが可能です。
【Apple Business Manager】
Apple Business Manager(ABM)とは、企業向けにAppleが無償で提供するオンラインツールです。
ABMを使用することで、企業が保有するAppleデバイスの管理や、アプリの一括購入・配布、Apple IDの作成・管理などを一元的に行うことが可能になります。
これによって、組織のIT部門がApple製品の導入・運用を効率的に行うことができ、総合的なコスト削減が期待できます。
経年利用の安定性
iPhone 16eは最新のA18チップを搭載しているため、今後iOSのアップデートを約5年間(2030~2031年まで)受けられる見込みです※。
※参照:ノジマ公式(https://www.nojima.co.jp/support/koneta/206044/#se4_05)
この特長によって、今後新機種に乗り換えるというような場合にも、中古市場でのリセールバリューが高いことから、リース終了時などの処分コストを軽減することが可能であるため、経年利用における安定性が担保できます。
iPhone 16eの3つの課題
カメラ機能の制限
iPhone 16eには、他の高価格モデルに搭載されているような「超広角レンズ」や「望遠レンズ」は搭載されておらず、あるのは単眼カメラのみです。
そのため、建設現場の進捗管理などの、超広角レンズを用いた広角撮影が必要な業務には不向きです。
また、被写体に近づいて撮影するマクロ撮影機能も非搭載のため、製品検査や資料作成などといった、被写体の細部をとらえる必要がある業務にも適していません。
アクセサリ互換性問題
iPhone 16eはMagSafeに対応していないため、既存の車載ホルダーや充電スタンドなどのアクセサリを利用することができません。
そのため、iPhone 16eを従来のiPhoneと同様に利用するためには、新しくアクセサリを購入するためのコストが発生します。
また、将来的にAppleがMagSafeに拡張機能を実装する場合には、iPhone 16eユーザーはその恩恵を受けられないなどのデメリットが発生する可能性もあります。
【MagSafe】
MagSafeとは、Appleが開発しiPhone 12シリーズから導入された技術で、iPhoneの背面に内蔵された磁石を利用して、充電器やアクセサリーを固定できる仕組みです。
通信安定性に対する懸念
iPhone 16eでは、Apple初の自社開発モデム「C1」を採用しています。
このモデムは、従来のiPhoneに搭載されているQualcomm製のモデムチップと比較し、電力効率を重視して設計されているという特徴があります。
一方で、C1モデムではサポートしている波長が少ないという欠点がありますが、実地テストでは5G通信速度がiPhone 16 Proを上回ったという報告がされており※、通信速度においては従来のiPhoneと遜色ない性能を発揮しています。
※参照:Dave2D
しかしながら、この実地テストの結果はすべての地域で再現されるわけではないことは勿論、電力効率重視のモデムチップの長期的な使用における安定性や信頼性が未知数であるため、通信安定性に対する懸念は払しょくできないと言えます。
スマートフォンの通信に欠かせない「SIM」に関する情報については、以下の記事をご覧ください。
市場の反応:AI よりも価格を重視する消費者
AIをはじめとした高機能性とリーズナブルな価格が魅力のiPhone 16e ですが、発売初日、Apple ストア表参道店では開店前から並ぶファンは見られませんでした※。
これは、従来の iPhone SE ユーザーが、価格の高さを理由に購入を見送ったことが原因と考えられます※。
実際、中古スマホ販売サイトでは iPhone SE の販売台数が 3 倍に増加しており※、AI 機能よりも価格を重視する消費者の存在が浮き彫りになっています。
※参照:日本経済新聞 iPhone16eレビュー 「法人向けの優秀スマホ」 – 日本経済新聞
また、サムスンやGoogleといった競合他社は、15万円を超える最上位モデルに加え、7万円台の中価格帯スマホも展開しているほか、中国メーカーも低価格帯から高価格帯まで幅広い製品を投入しています。
Apple は iPhone 16e で、これまで手薄だった中価格帯市場でのシェア拡大を目指していると考えられますが、激化している市場競争に対応していくことができるかという点が、今後の課題となってくるでしょう。
まとめ
iPhone 16e は、最新の A18 チップと Apple Intelligence を搭載した高機能な製品ながら、10万円を切る価格を実現した新しいタイプのiPhoneであると言えます。
AI 機能よりも価格を重視する消費者もいますが、業務効率化やコストの合理性を求める企業にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。
一方で、一部検討が必要な課題も存在するため、企業の導入においては実際の業務フローとの整合性の検証が不可欠であるといえます。
Apple が新たな市場を開拓するための挑戦として、iPhone 16e の今後の展開に注目が集まります。