倉庫用のIoT通信端末の選び方とは?モジュールごとに解説

IoT通信端末は倉庫管理を効率化させます。しかし、通信規格や運用コスト、セキュリティなど、選ぶ際のポイントは多岐にわたります。この記事では、倉庫用IoT通信端末の選び方から導入のメリット、具体例、注意点まで詳しく解説していきます。そして最適な通信モジュールについても紹介するのでぜひIoT通信端末を選ぶ際の参考にしてください!

倉庫用のIoT通信端末の選び方

倉庫用のIoT端末を選ぶ際、ポイントが多くてなにから気にすればいいか分からない方が多いと思います。これから、それぞれのポイントについて解説していくのでどのポイントを重視するかを明らかにしましょう!

通信規格や周波数帯が合うものを選ぶ

通信規格によって利用する周波数帯は変わり、通信範囲等が大きく変わります。

まず、IoTにおける利用可能な周波数帯は大きく分けると、「920 MHz」、「GHz帯」の二種類になります。各周波数帯における特徴は以下の通りになります。

  • 「920 MHz」・・・遮蔽物があっても安定な長距離の通信の可能にします。
  • 「GHz帯」・・・遮蔽物に対する影響を受け、短距離の通信の一方で高速な通信を可能にします。

参考:https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/silicon_labs/128913/

そしてこれらの周波数帯が各通信規格に割り当てられることになります。通信規格の例として、「LoRaWAN」、「Sigfox」、「Wi-Fi」、「5G」などがあります。以下のように割り当てられます。

周波数帯
920 MHzGHz帯
通信規格LoRaWANWi-Fi
Sigfox5G

また、「GHz帯」の特徴については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご参照ください。⇓

また、各通信規格についても以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参照ください。

使用する環境に合うものを選ぶ

IoT通信端末を選ぶ際に、設置される倉庫の環境に適しているかを確認することは非常に重要です。
倉庫と一言で言っても以下のような環境の視点があります。

  • 温度や湿度

特に低温の環境においてはバッテリーの性能が低下したり、機器が誤作動を起こす可能性があるため、端末の「動作温度範囲」については確認するようにしましょう。

  • 作業環境

作業環境の中にはフォークリフトの往来や振動による衝撃、水濡れなど様々です。これらの可能性が考えられる場所においては耐振動・耐衝撃性能が求められます。これらの性能を確認するためにも端末の保護等級を示す「IPコード」を参考にすることができます。

  • 倉庫の内装

倉庫の中でも金属製の棚やコンクリートの壁が多いなど、内装に様々な違いがあります。特に前述した環境においては電波が減衰しやすくなります。また、倉庫内で障害物が多いことも減衰する原因となります。これらの環境でも快適な通信を得るためには回り込みやすい特性を持った通信規格を選ぶなどの配慮が必要となります。

導入後のトラブルを避けるためにも、事前に設置環境は詳細に調査しましょう!

参考:https://www.nito.co.jp/ref/ipcode.html

図 IPコードの等級

広範囲の場合は中継機器の導入も検討する

広大で、棚や在庫などの障害物が多い倉庫環境においては、単一のIoT通信端末では電波が届きにくいエリアが発生します。このようなエリアでは安定した通信を確保できません。特にLPWA等の省電力広域通信の通信規格を利用するときには通信距離の限界があります。これらの距離を確保するためにも中継機器の導入が必要になります。中継機器(リピーターやゲートウェイなど)を倉庫内に複数設置することで、電波の届く範囲を拡大し、死角をなくすことが可能ですこれにより、倉庫の隅々まで通信網を構築し、どの場所からでもIoT端末からデータ収集をすることが可能です。

参考:https://www.buffalo.jp/topics/utilize/detail/extender-about.html

図 中継機器による通信範囲の拡大

運用コストによって選ぶ

IoT端末を選ぶ際、端末本体の価格(イニシャルコスト)だけでなく、以下のような費用(ランニングコスト)も考えられます。

  • 月々の通信費
  • システムの保守・管理に関わる費用

これらのランニングコストの大部分を占めるのは通信費です。
この通信費は選択する通信規格によって大きく異なります。
例として、LTE等のキャリア回線を利用するセルラー通信においては通信速度が速く安定している一方で、通信料は高い傾向にあります。それに対して、LPWAは通信速度が低速で消費電力が少ない一方で月額は数百円からと非常に低コストです。これらのことから以下のことについて考える必要があります。

  • 使用する頻度
  • 送受信に必要なデータ量

これらの要素を長期的な視点で見てどれくらいの費用が掛かるのかを事前に算出することがIoT導入の成功のカギとなります。

セキュリティ対策ができているか

IoT通信端末は常にインターネットに接続されているため、外部からのサイバー攻撃を受けるリスクがあります。倉庫管理システムが不正アクセスされると在庫データや機器の稼働情報などの機密情報が盗まれたり、改ざんされてしまいます。

これらのリスクを回避するためにも以下のセキュリティ対策を行うことが重要です。

  • 通信データの暗号化
  • VPN対応の端末を選ぶ
  • ファームウェアアップデートの確認
  • 固定IPアドレスの利用

これらの対策を行って堅牢なセキュリティ体制を構築しましょう。

固定IPアドレスについては以下の記事で解説しているのでご参照ください!

その他のクラウドサービスを利用できるか

IoTの真価は収集したデータを活用することで発揮されます。
IoT通信端末を通じて集められた膨大なデータを蓄積、可視化、分析するためにはクラウドサービスとの連携が不可欠です。

使用するIoT通信端末が、どのようなクラウドプラットフォームに対応しているかを必ず確認しましょう。多くのIoT端末は、特定のクラウドサービス(AWS IoT、Azure IoTなど)との連携を前提に開発されています。もし、自社ですでに利用しているクラウドサービスがある場合は、それらとスムーズに連携できる端末を選ぶことで既存のIT資産を有効活用し、コストを抑えることができます。

また、前提として提供されるプラットフォームが、自社が実現したいことに対応しているかについても確認しましょう。具体例としては以下のようになります。

  • データのダッシュボード機能
  • 遠隔の機器監視・制御機能
  • AIによる高度なデータ分析機能

将来的な拡張性も見据えて最適なサービスと連携できる端末を選ぶことが重要です。

IoT通信端末導入のメリット

倉庫においてIoT通信端末を導入することは効率や信頼性の面から好転させる役割を持ちます。
これらの視点からIoT通信端末導入のメリットについて解説していきます。

ビジネスの効率化

倉庫にIoTを導入することで、在庫管理や資産管理が自動化され、業務効率は飛躍的に向上します。

具体例としてICタグやビーコンを使うことで、商品の在庫数と位置情報を正確に把握することができます。

  • ビーコン・・・信号を発信して信号を受信できる端末に対して情報の配信等を行います。
  • ICタグ・・・電波を利用して非接触でデータの読み書きや個体識別ができます。

これらを活用することで時間と手間のかかる棚卸し作業が不要になり、人為的ミスも削減できます。

顧客体験の向上

倉庫業務の効率化は、直接的に顧客体験の向上へつながります。
IoT通信端末導入による正確な在庫管理はサイト上における「在庫切れ」を防ぎます。
これにより、販売機会の損失や誤出荷を防ぎ、顧客は注文した商品をより早く、確実に受け取ることができます。

また、倉庫内の温湿度管理が徹底されることで、食品や医薬品といったデリケートな商品の品質を維持し、最高の状態で顧客に届けることが可能になります。

IoT通信端末導入の流れ

ここまではIoT通信端末の導入のポイントやメリットについて解説してきました。
これらの点を踏まえて導入することを決めた際に、どのように導入すればよいかについて解説していきます!

基本的な設定行う

IoT通信端末の導入においては以下のような手順で設定を行います。

上図のフローチャートや受信の流れ等については以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参照ください。

トラブルの確認や最適化を行う

基本的な設定を行った後すぐに本格運用をするのは控えましょう。
実際の現場でテスト導入を行うことで、トラブルの有無の確認とシステムの最適化をするのが大切です。倉庫における利用では以下の点から検証しましょう。

  • 特定の場所で電波が弱くならないか
  • データは正確に、欠損なく収集できているか
  • バッテリーの消費量は想定通りか

これらの検証から見つかった課題をデータ受信の頻度や端末の設置場所を調整するなどして解決し、安定的かつ効率的な運用体制を構築していきましょう。

IoT通信端末導入の具体例

ここまではIoT通信端末をどのように使うかを解説してきました。
これからはどのような状況でどのようなIoT通信端末を使用するかについて解説していきます。

倉庫におけるIoT活用には以下のような具体例があります。

  • 資産の位置管理

パレットやフォークリフトに「GPSトラッカー」や「BLEビーコン」を取り付けることで、「ゲートウェイ」で情報を収集することでリアルタイムで位置を管理し、紛失防止や稼働率向上を実現します。

  • 環境監視による品質管理

倉庫内に「温湿度センサー」を設置することで特にデリケートな食品や医薬品の保管環境を常時監視し、設定値から外れるとアラートが通知することで、品質を維持します。

  • 棚卸し作業の自動化

商品や段ボールに「RFIDタグ」を貼り付け、「RFIDリーダー(ゲートウェイ)」で情報を一括読み取りをし、作業時間を大幅に短縮します。これにより人的な間違いを削減します。

IoT通信端末導入時の注意点

IoT端末はセキュリティ対策が必須です。
ほかにも倉庫内の金属棚などによる電波干渉や、SIMの通信制限にも注意したうえで、導入前の実地テストで安定した通信を確保できるかを確認することが重要です。

これからそれぞれ解説していきます!

通信制限や電波干渉に気を付ける

倉庫は、金属製の棚やコンクリートの壁などの電波を遮断・反射する障害物が多く、IoT通信が不安定になりやすいです。そのため、導入前の実地のテストを使用したい場所で安定して通信できるかを確認しましょう。

また、通信制限についても注意が必要です。IoT向けのSIMを契約する際は月間のデータ容量の上限や、それを超過した際の速度制限などを事前に把握しておきましょう。また、センサーの誤作動により、意図せず大量のデータを送信して通信制限にならないように機器側の設定を適切に行い、自社の用途に合ったプランを選択しましょう。

プライバシーを守る必要がある

倉庫内で従業員の動線や作業状況を把握するためにIoTを活用する場合、プライバシー保護への配慮が必要です。GPSやカメラなどで得られる「誰が・いつ・どこで・何をしていたか」というデータは個人情報に該当し、収集・利用目的が不明確であると従業員に不信感を与えかねません。

これらの問題を引き起こさないためにも導入前に以下の点を従業員に明確に説明しましょう。

  • データ収集の目的
  • 利用範囲
  • 管理方法

これらの点で同意を得て目的達成のためのデータは必要最小限に留めるようにしましょう。

通信モジュールごとの性能比較

通信環境を考えた際にモジュールはとても重要です。何を選ぶかによって「通信速度」、「通信距離」、「消費電力」、「周波数帯」などかなり異なります。モジュールごとの性能を比較し、自社に合ったモジュールを定めていきましょう!

以下にモジュールごとの性能と各特徴を示します。

通信規格通信速度通信距離消費電力周波数帯
セルラー(LTE/5G)高速広範囲(全国)多いキャリアごと
LPWA低速長距離
(数km~数十km)
非常に少ない920MHz
Wi-Fi高速短距離
(数十m~100m程度)
多い2.4/5GHz
ZigBee低速ごく近距離
(数十m~数百m)
少ない2.4GHz
  • セルラー(LTE/5G)

携帯キャリアの基地局を利用するため、インフラの構築が不要であり、導入が容易となります。
また、通信速度についても安定しているため、移動中でも通信が可能となります。
用途例:トラックやコンテナ等のGPS追跡

  • LPWA

電池で数年単位の長期稼働が可能です。
少量のデータを低頻度で送るのに最適であり、月額費用も比較的安価です。
用途例:電源のない場所における温湿度管理やパレットの位置情報把握、機器の稼働監視など

  • Wi-Fi

現在広く普及している規格であり、多くの機器が対応しています。
一般的なIoT用途であれば十分な性能を持ちます。
用途例:事務所内のPCやプリンター、IoTゲートウェイの接続

  • ZigBee

メッシュネットワークを構築でき、中継機能で通信範囲を広げることができます。
多数のセンサーを網の目のように接続するのに適しています。
用途例:倉庫全体の照明制御、広範囲に設置した多数のセンサーからのデータ収集

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「ロケットモバイル」は神プラン(月額328円)をはじめとした幅広い通信容量と4キャリア対応により格安SIMを提供していますのでニーズに合わせたプランを選ぶことができます。
また、「ロケットモバイルZ」では月額最安値150円のセルラー通信によりインフラの構築なしに通信環境の利用ができます。また、固定IPオプションもあるためセキュリティ面も安全です。

詳しくは以下のボタンから参照ください。

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まとめ

倉庫においてIoT通信端末を使用する際、気にする点が多くて戸惑ってしまうかもしれません。
そのようなときは、優先したい点から条件を絞ることで理想のプランを見つけることができるかもしれません。
適切なIoT通信端末を導入して業務の効率化を図りましょう。

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