ゲストWi-Fiの設定方法と運用のポイントを徹底解説:安全性を高めるために

ネット利用を可能にするため、来客にWi-Fiを提供するケースが増えています。

ところが、通常のWi-Fiを共有してしまうと、思わぬトラブルが起きる可能性があります。
社内ネットワークへの不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まる原因にもなります。

本記事では、安全なゲストWi-Fiの設定方法や、セキュリティ対策を解説していきます。また、不正アクセスを防ぐ方法や、安全に運用するためのポイントも紹介します。

来客向けに安全なWi-Fi環境を整えたい方はぜひ参考にしてください。
また、現在社内でゲストWi-Fiを設定している場合も、役に立つ情報が満載です。

ゲストWi-Fiの重要性

来客へWi-Fiを提供する際、既存の社内ネットワークをそのまま共有すると、セキュリティ上のリスクが生じます。

具体的には、以下のようなトラブルが発生することがあります。

  • ネットワーク上の機器への不正アクセス
  • 通信の盗聴・データの改ざんの発生
  • 機密情報の漏えい

既存の社内ネットワークに接続することで、ゲストは企業のネットワークに直接アクセスできる状態になります。

そのため、ゲストWi-Fiを設定しないと、企業の機密情報や個人のプライバシーが第三者に漏れる可能性が高まります。

ゲストネットワークは社内ネットワークとは完全に分離して提供することが重要です。

Wi-Fiの危険性とセキュリティ対策については、こちらの記事もおすすめです。

ゲストWi-Fiの設定方法とは?

来客に提供するゲストWi-Fiは、社内ネットワークとは完全に分離する必要があります。そして、不正アクセスや情報漏えいのリスクを最小限に抑えることが重要です。

ここでは、安全にゲストWi-Fiを設定するための代表的な方法を紹介します。利用環境や求めるセキュリティレベルに応じて、最適な方法を選びましょう。

無線LANルーターのゲストネットワーク機能を利用する

この方法では、ルーターに備わっている「ゲストネットワーク機能」 を使います。

ゲストネットワーク機能とは、通常のWi-Fiとは異なるSSID(Wi-Fiの名前)を作成し、ゲスト専用のネットワークを用意できる仕組みです。これにより、ゲストはインターネットを利用できますが、社内ネットワークにはアクセスできません。

設定方法

ルーターの管理画面にログイン
ブラウザを開き、ルーターのIPアドレス(例: 192.168.1.1)を入力して設定画面にアクセス

ゲストネットワークを有効にする
「Wi-Fi設定」や「無線設定」メニューを開き、ゲストネットワークの項目をオンにする

SSID(Wi-Fiの名前)とパスワードを設定
ゲスト用のSSID(例: Guest_WiFi)やパスワードを設定

ネットワーク分離設定を確認
「社内ネットワークと分離する」「LANアクセスを無効にする」などの項目をオンにする

接続を実施し、問題がなければ運用開始
設定を保存し、ゲスト用Wi-Fiに接続できるか確認

この方法の最大のメリットは、手軽に導入できることです。既存のルーターを使って設定するだけなので、追加コストがかからず、短時間で運用を開始できます。

また、管理画面からスワードの更新やSSIDの変更もスムーズに行えます。

一方で、ルーターの機種によっては、ゲストネットワーク機能のセキュリティが十分でない場合があります。一部のルーターでは、機能上社内ネットワークとの分離ができないこともあります。設定ミスにより社内の共有フォルダやプリンターにアクセスされる恐れもあります。

また、接続可能な人数に制限があることが多いです。大人数の来客にWi-Fiを提供する場合には、回線が不安定になる可能性があります。

来客専用の無線LANルーターを設置する

社内ネットワークとは完全に分離した、ゲスト専用ルーターを用いる方法もあります。
この方法では、物理的に独立したWi-Fi環境を作ります。

ルーターを分けると、ゲストWi-Fiと社内ネットワークが各々別の回線を使用します。
こうすることで、不正アクセスのリスクをゼロに近づけることができます。

設定方法

ゲスト用の無線LANルーターを用意
新たに無線LANルーターを購入し、設置場所を決定

直接インターネット回線に接続する
ルーターをインターネット回線に直接接続

SSID(Wi-Fiの名前)とパスワードを設定
設定画面にアクセスし、SSID(例: Guest_WiFi)やパスワードを設定

ルーターの設定を完了させる
セキュリティ設定や接続台数の制限、利用時間を設定

電波範囲の調整後、問題がなければ運用開始
「送信出力」「電波強度」の設定で必要な範囲内での電波強度に調整

この方法では、セキュリティを強化しつつ、安定した通信環境を提供できます。

社内ネットワークとは物理的に分離されているため、社内のデータやシステムに影響を与えるリスクを防げます。

また、大人数が接続する場合でも安定した通信環境を維持しやすいです。
そのため、オフィスや店舗などの来客向けにも十分に対応できます。

ただし、この方法にはコストがかかるというデメリットがあります。新しいルーターを用意する際、高機能なものを選べば導入コストが高額になります。

ゲストWi-Fiの安全対策をしよう

改めてゲストWi-Fiを設定して導入したら、安全に運用するための対策も必要です。

適切な管理ができていない場合、不正アクセスや情報漏えいの危険性が高まります。特にオープンなWi-Fi環境では、不正利用やウイルス感染のリスクが高いです。

安心して利用できる環境を作るためにも、セキュリティ設定を行うことが大切です。

ここでは、ゲストWi-Fiを安全に運用するための重要なポイントを紹介します。

≪安全に運用するためのポイント≫

  • パスワードの適切な管理
  • 電波の送信範囲の調整
  • ゲスト同士の通信遮断
  • 利用時間・接続端末の制限
  • ネットワーク監視ツールの活用

パスワードの適切な管理

ゲスト用Wi-Fiを安全に運用するうえで、パスワードの管理は最も基本的な対策です。

パスワードは、第三者が簡単に推測できるものは避けましょう。
英数字と記号を組み合わせた12文字以上のランダムな文字列に設定すると万全です。

また、一定期間ごとに文字列を変更することも、安全性を維持するうえで効果的です。

電波の送信範囲の調整

Wi-Fiの電波は障害物を通過して広がるため、意図しない範囲まで届くことがあります。
オフィスや店舗でゲスト用Wi-Fiを提供する場合、外部に電波が漏れることで不正利用やセキュリティリスクが発生する可能性があります。

ルーターの「送信出力」や「電波強度」を高く調整しすぎないようにしましょう。

また、ルーターを窓際や壁際に置くと、電波が外に漏れやすくなります。
そのため、部屋の中央や必要なエリアの中心に設置することも大切です。

ゲスト同士の通信遮断

ゲストWi-Fiは、場合によっては多くの人が同じネットワークを共有します。
その際、ルーターの設定を正しく行わないと、ゲスト同士の端末が直接通信できる状態になってしまうことがあります。

ゲストネットワーク機能を利用している場合は、オフィスで利用しているPCの「ネットワーク共有設定」から、ファイルやプリンターの共有を無効にしておくと安心です。

来客専用の無線LANルーターを利用している場合は、ルーターの設定を行う際、「プライバシーセパレーター」を有効にしておきましょう。

利用時間・接続端末の制限

Wi-Fiの利用制限を設けると、長時間の不正利用や、業務時間外の不要な接続を防げます。
営業時間外でもWi-Fiが使える場合、外部からの不正アクセスやデータの抜き取りのリスクが高まります。

ルーターのスケジュール機能やタイマー機能から、利用可能時間を設定できます。

暗号化プロトコルの設定

Wi-Fiの通信は、盗聴や不正アクセスのリスクがあります。
そこで、通信を暗号化し、安全性を高めるために暗号化プロトコルの設定が重要です。

主にWi-Fiで使われる暗号化プロトコルには、以下のようなものがあります。

セキュリティ規格登場時期主な特徴安全性
WPA       2003年   セキュリティの脆弱性が指摘されており、
現在は非推奨。      
低い    
WPA2       2004年   AES(Advanced Encryption Standard)を採用し、現在最も
普及している規格。        
高い    
WPA3       2018年   WPA2をさらに改良し、強固な暗号化と
簡易設定を実現。        
非常に高い    

最新の規格であるWPA3は、パスワード攻撃への耐性が強化されています。
そのため、オープンWi-Fiでも盗聴を防ぐ機能があるため、より安全な通信が可能です。

可能であれば、暗号化プロトコルはWPA3を選択するようにしておきましょう。
暗号化設定は、ルーターの管理画面から行うことができます。

こちらの記事では、セキュリティ規格の基礎知識についてより詳しく説明しています。

キャプティブポータルの活用

キャプティブポータルとは、Wi-Fiに接続した際に認証ページを表示する仕組みのことです。

上の画面のように、メールアドレスやSMSを通して利用者登録や認証を行うまで、通信が制限される仕組みです。

アクセスログを取得できるため、不審な接続があって際に接続先をすぐに確認できます。
ルーターの管理画面でキャプティブポータル機能を有効化することで設定できます。

ルーターのファームウェア更新

ファームウェアを最新に保つことは、セキュリティ対策の基本です。

このファームウェアは、ルーターの内部ソフトウェアを指します。
ルーターの中枢であり、ネットワークの管理やセキュリティ等の機能を持っています。

ファームウェアは、一度インストールすれば永久に安全というわけではありません。
更新しなければ、通信の安定性が落ちたり、セキュリティが脆弱になります。

ルーターの管理画面から、ファームウェアのアップデートを忘れずに行いましょう。

まとめ : 快適にゲストWi-Fiを運用するために

ゲストWi-Fiを設定する際は、ただ設置するだけでは、安全性の確保は難しいです。その後正しいセキュリティ対策を行い、運用の際のルールを設定することが重要です。

適切な管理を行うことで、ゲストは安心してWi-Fiを利用できます。それと同時に、企業側も情報漏えいのリスクを抑えながら快適な環境を提供できます。

安心して利用できるWi-Fi環境を整え、信頼できるネットワークづくりを目指しましょう。

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