現代のビジネスにおいて、安定したインターネット環境は業態を問わず必要不可欠であると言えます。
特に、オフィスや店舗、倉庫などで多数のデバイスを接続する場合、業務用Wi-Fiルーターの選定は、業務効率を決定づける非常に重要な要素となります。
本記事では、企業や事業者向けにおすすめの業務用Wi-Fiルーターを5つご紹介します。
Wi-Fiルーターとは?
Wi-Fiルーターとは、インターネット回線と、PCやスマートフォン等の端末を無線で接続するための機器です。オフィスや店舗、家庭などで使用されており、複数のデバイスでインターネット回線を使用する上では欠かせない機器となっています。
業務用Wi-Fiルーターの特徴
業務用のWi-Fiルーターには、一般家庭用のものと比較して以下のような特徴が存在します。
- 接続台数の多さ
一般的なWi-Fiルーターの場合、インターネット回線に同時に接続できる端末の台数は、最大でも十数台程度であることが多いですが、業務用Wi-Fiルーターでは、数十台~数百台程度の端末を同時に接続することが可能です。
この特徴により、多くの人々がPCやスマートフォンをインターネット回線に同時に接続することが多いオフィス等の環境であっても、業務用Wi-Fiルーターを利用することで快適な通信環境を提供することが可能です。
- 高いセキュリティ性
Wi-Fiルーターは通常、業務用・家庭用を問わず、WPA2/WPA3などによる通信内容の暗号化で通信の安全性を高めています。
しかしながら、業務用の場合には家庭用とは異なり、企業の機密データ等を確実に守るためにより強固なセキュリティ性能が必要であると言えます。
そのため、業務用のWi-FiルーターではIEEE 802.1X認証などの、より効果的なセキュリティー機能を備えている場合が多く、オフィス等での利用に適した、より安全な通信環境の構築が可能です。
【WPA2/WPA3】
WPA2/WPA3とは、Wi-Fi通信の暗号化規格の一種です。AESという暗号化方式を採用した、強力なセキュリティが強みで、市販の多くのWi-Fiルーターが採用している規格となっています。
WPA3はWPA2の後継規格となっており、より優れたセキュリティ性能を有するため、今後Wi-Fiルーターの導入を検討している法人の方は、WPA3対応のルーターを選ぶことをおすすめします。
【IEEE 802.1X認証】
IEEE 802.1X認証とは、ネットワーク接続を行う端末に対し認証を行うことで、不正なユーザーがネットワークに侵入することを防ぐプロトコルの規格です。
主要なネットワーク接続の管理方式として他に「MACアドレス認証」がありますが、こちらの方式では認証の偽装が容易であるという欠点があります。
そのため、多くの企業ではIEEE 802.1X認証を用いることで、より強固なセキュリティ体制を実現しています。
- 手厚いサポート
業務用・家庭用Wi-Fiルーターの間では、サポート対応の部分でも大きな差があります。
まず、保証期間に関しては、家庭用の場合は通常1~2年程度であるのが一般的ですが、業務用の場合には、3~5年以上の保証が付属する場合が一般的です。
また、保守サポートに関しても、業務用の場合にはメーカー側から手厚いサポート(即時交換・修理対応・24時間サポート等)を受けることができ、家庭用と比較しより手厚いサポートを得られることが一般的です。
- 管理機能の充実
一部の業務用Wi-Fiルーターでは、ルーターが提供するネットワークをリモートで管理することができるツールを提供している場合があります。
この特徴により、機器の稼働状況の確認や、メンテナンス用の簡易操作などを、インターネット経由で遠隔から行うことが可能であるため、ルーターの管理の手間を大幅に削減することが可能です。
業務用Wi-Fiルーターの選び方
業務用のWi-Fiルーターを選ぶ際には、接続する端末の台数(PC~台、スマートフォン~台など)や、オフィスの広さなどを鑑みて、様々な要素を検討する必要があります。
以下では、業務用Wi-Fiルーターを選ぶ上で特に重要な3つのポイントについて解説していきますので、ルーター選びの際にはしっかりとチェックするようにしましょう。
- ルーターの通信規格
Wi-Fiの通信規格は、通信速度や周波数の違いによって種類が分けられているため、利用するルーターがどの通信規格に対応しているのかを調べておくことが、快適な通信環境構築において重要です。
現在、一般的に利用されている通信規格は「11ac (Wi-Fi 5)」や「11ax (Wi-Fi6)」です。これらの通信規格では、高速通信が可能な5GHz帯を利用することが可能かつ、多くの無線LAN端末と同時に通信することが可能であるため、業務用Wi-Fiルーターを選ぶ際には、これらの規格に対応したものを選ぶと良いでしょう。
- 同時接続可能端末数
業務用Wi-Fiルーターは、機種によって同時接続可能な端末の数が数十台のものから数百台のものまで幅広く存在します。
社員数やオフィスの広さ等を鑑みて、自社の環境に適切な性能を持ったルーターを選ぶことで、適切な通信環境構築を行うことが可能です。
- ストリーム数
ストリーム数とは、Wi-FiルーターがPCやスマートフォン等の端末と通信する経路の本数のことを表します。Wi-Fiルーターのメーカーによっては、「アンテナ数」と表記されることも多いです。
現在のWi-Fiルーターや、PC・スマートフォン等の端末は「MIMO(Multi Input Multi Output)」という機能を持ち、複数の通信経路を同時に使用して通信を行うことで、データを高速にやり取りすることが可能となっています。
そして、この機能で使用できる通信経路の数こそが「ストリーム数」なのです。
ストリーム数が多いことによって、高速通信が可能になる仕組みは以下のようなイメージです。
ストリーム数による通信速度の違いのイメージ
このように、ストリーム数が1つだけの場合と比較し、ストリーム数が複数の場合には、より速い速度でデータをやり取りすることが可能になります。
業務用Wi-Fiルーターおすすめモデル:厳選5選
オフィスでのインターネット環境の構築には、以下のWi-Fiルーターがおすすめです。
- Buffalo VR-U300W
https://www.buffalo.jp/product/detail/vr-u300w.html
仕様
機能 | Buffalo VR-U300W |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax(Wi-Fi6) |
最大通信速度 | 1,774Mbps |
同時接続可能端末数 | 256台(5GHz:128台、2.4GHz:128台) |
ストリーム数 | 5GHz:2×2 2.4GHz:2×2 |
LANポート数 | 4ポート |
WANポート数 | 1ポート |
セキュリティ性能 | WPA3、MACアドレス認証 |
価格 | 税込41,800円 |
保証期間 | 最長5年間 |
Buffalo VR-U300Wは、小~大規模オフィスでの利用がおすすめなWi-Fiルーターです。
通信規格はIEEE802.11ax(Wi-Fi6)に対応しており、4つのストリームが利用可能であるほか、デバイスを同時に256台まで接続することができるため、質・量ともに十分な通信環境を整備することが可能です。
また、WPA3やMACアドレス認証をはじめとした強固なセキュリティ性能を有しており、保証期間も最長5年間用意されているため、セキュリティリスクや故障リスク等を抑えつつ安心して利用できるWi-Fiルーターであると言えます。
- ASUS RT-AX86U Pro
https://www.asus.com/jp/networking-iot-servers/wifi-routers/asus-gaming-routers/rt-ax86u-pro
仕様
機能 | ASUS RT-AX86U Pro |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax(Wi-Fi6) |
最大通信速度 | 5,700Mbps |
同時接続可能端末数 | 88台 |
ストリーム数 | 5GHz:4×4 2.4GHz:3×3 |
LANポート数 | 4ポート |
WANポート数 | 1ポート |
セキュリティ性能 | WPA3、MACアドレス認証 |
価格 | 税込38,500円 |
保証期間 | 2年間 |
ASUS RT-AX86U Proは、小~中規模のオフィスに最適なWi-Fiルーターです。
Wi-Fi6に対応・ストリーム数が7本・最大88台まで接続可能など、オフィスでの利用に最適な通信機能を多数有しており、快適な通信環境を用意することが可能です。
また、WPA3・MACアドレス認証等のセキュリティ機能や、2年間の保証期間等の特徴を有しているほか、価格も比較的リーズナブルであるため、非常に導入しやすいWi-Fiルーターとなっています。
- NEC Aterm Biz SH6042A
https://www.necplatforms.co.jp/product/sh/6042a.html
仕様
機能 | NEC Aterm Biz SH6042A |
Wi-Fi規格 | IEEE 802.11ax(Wi-Fi6) |
最大通信速度 | 4,177Mbps |
同時接続可能端末数 | 36回線 |
ストリーム数 | 5GHz:3×3 2.4GHz:2×2 |
LANポート数 | 4ポート |
WANポート数 | 1ポート |
セキュリティ性能 | WPA3、MACアドレス認証 |
価格 | 税込37,800円 |
保証期間 | 5年間 |
NEC Aterm Biz SH6042Aは、小規模のオフィスでの利用に最適なWi-Fiルーターです。
Wi-Fi6対応・ストリーム数が5本という特徴から、最大通信相度は約4,200Mbpsと高速通信が利用可能で、同時接続可能台数は36回線と、小規模のオフィスでの利用に適した性能を有しています。
また、37,800円(税込)と比較的リーズナブルな価格設定でありながら、基本的なセキュリティ性能や5年の保証期間を有しているため、非常にコストパフォーマンスに優れたWi-Fiルーターであると言えます。
- Synology RT6600ax
https://www.synology.com/ja-jp/products/RT6600ax
仕様
機能 | Synology RT6600ax |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax(Wi-Fi6) |
最大通信速度 | 4,800Mbps |
同時接続可能端末数 | 200台 |
ストリーム数 | 5GHz:4×4 2.4GHz:2×2 |
LANポート数 | 3ポート |
WANポート数 | 1ポート |
セキュリティ性能 | WPA3、MACアドレス認証 |
価格 | 税込51,199円 |
保証期間 | 2年間 |
Synology RT6600axは、小~大規模のオフィスでの利用に最適なWi-Fiルーターです。
Wi-Fi6に対応・ストリーム数6本・同時接続台数200台等、小~大規模オフィスにおける通信環境整備に適した性能を有しています。
また、WPA3・MACアドレス認証をはじめとした基本的なセキュリティ性能のほか、2年間の保証期間を有しているため、セキュリティリスクや故障リスク等を気にせず利用することが可能なWi-Fiルーターとなっています。
- TP-Link Archer BE900
https://www.tp-link.com/jp/home-networking/wifi-router/archer-be900/#overview
仕様
機能 | TP-Link Archer BE900 |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11be(Wi-Fi7) |
最大通信速度 | 24.4Gbps |
同時接続可能端末数 | 200台 |
ストリーム数 | 16 |
LANポート数 | 6ポート |
WANポート数 | 1ポート |
セキュリティ性能 | WPA3、MACアドレス認証 |
価格 | 税込82,800円 |
保証期間 | 3年間 |
TP-Link Archer BE900は、小~大規模のオフィスでの利用に最適なWi-Fiルーターです。
通信機能に関しては、IEEE802.11be(Wi-Fi7)に対応・16ストリーム・最大通信速度24.4Gbpsと、他のルーターの追随を許さない圧倒的な性能を有しており、とにかく高速な通信が利用したいという法人の方におすすめなルーターとなっています。
また、同時接続可能台数は200台と、小~大規模オフィスでの利用に適した性能を有するほか、セキュリティ性能・保証期間等に関しても、申し分ない機能を有しています。
価格は比較的高めな82,800円(税込)ですが、非常に高速な通信速度や、同時接続可能台数などの特徴を考慮すると、その分の価値が担保されたWi-Fiルーターであると言えます。
まとめ
オフィスや倉庫等の通信環境を整える上で、適切な業務用Wi-Fiルーター選びは、業務の効率を決定づける重要な要素です。
本記事で紹介した業務用Wi-Fiルーターの特徴や選び方のポイントや、5つのおすすめ製品の情報を参考に、利用環境に合ったWi-Fiルーター選びを行い、自社に最適な通信環境を整えましょう!