中小企業や法人で、リモートアクセスやIoT、監視カメラ用途に「安定性」「広範囲」「セキュリティ」を重視した固定IP SIMの導入が増えています。
なかでもKDDIは通信品質やエリアカバー、法人向けサポートが強みですが、au回線の固定IP SIMを扱う事業者は少なく、選択肢は限られています。
本記事では、法人契約が可能なau回線対応の固定IP SIMを提供する3社を取り上げ、料金やサービスを比較し、コスト削減と業務効率化の選び方を解説します。
固定IP SIMとは?法人が注目する理由
そもそも固定IP SIMとは?
「固定IP SIM」とは、常に同じIPアドレスでインターネットに接続できるSIMカードのことです。
IPアドレスとは?
インターネットに接続されているPCや機械を識別するための“住所”のような番号です。
普通のインターネット回線では、接続のたびにこの“住所”が変わることがあります(これを「動的IP」といいます)。
しかし、固定IPなら「いつでも同じ住所」で通信ができるため、外部からのアクセスが安定します。
法人利用でなぜ重要?
セキュリティを重視する企業や、24時間監視が必要な現場では、IPアドレスが接続のたびに変わる「動的IP」では問題が生じることがあります。
例えば、外部から特定の機器(監視カメラなど)にアクセスしようとしても、IPアドレスが変わると接続先を見失ってしまいます。 これに対し、常に同じIPアドレスが割り当てられる「固定IP」であれば、特定の機器への安定したアクセス経路を確保できます。
これにより、システムの「安定性」と、許可された相手だけがアクセスできるという「信頼性(セキュリティ)」が大幅に向上するのです。
特に、以下のようなシーンで固定IP SIMが活躍します:
- 防犯カメラやIoT機器を外部からモニタリング
- 複数の拠点を安全にネットワークでつなぐ(VPN)
- クラウドサービスとの安定した通信
他キャリアとの違い|au回線の強みとは?
法人向けの固定IP SIMは、au(KDDI系)回線以外にもdocomoやSoftBank回線を利用したサービスがあります。それぞれに特徴がありますが、au回線には法人利用で特に強みとされるポイントがあります。
5G対応プランも登場
最近では、一部のMVNOで、さらに速い5G通信に対応した固定IP SIMも提供されています。将来的に、もっと速い通信が必要になった場合でも対応できます。
auの広いエリアと速い通信
au(KDDI)は、日本全国の広い範囲でインターネットが使えます。特に地方や山の中でも安定して通信ができることが多いです。電波を出す基地局もたくさん整備されているので、通信速度も速く、信頼性も高いため、多くの会社に選ばれています。
高い安定性
IoT機器や監視システムなどでは、通信が途切れないことが非常に重要です。au回線は通信が途切れにくいので、会社で安心して使うことができます。
au固定IP SIMが向いている企業と活用例
KDDI回線の安定性やサポート体制、ユーザーニーズに合わせた広いプランから、以下のような業種や現場に適しています。
au回線の安定性を重視する会社
工場や建設現場に設置された監視カメラやセンサー、あるいはトラックやバスといった移動体通信システムなど、事業継続のために常時安定稼働が不可欠な企業において、au回線の安定性は大きな強みとなります。また、全国に支店や店舗が点在する企業にとっても、auの広いサービスエリアは、場所を問わず均質な通信環境を確保できるというメリットをもたらします。
au固定IP SIMの主な活用例
- 監視カメラや防犯システム:離れた場所からリアルタイム映像を確認
- IoTセンサーの常時監視:農業・工場・物流での温湿度・稼働状況の取得
- 拠点間VPNの構築:複数オフィスの安全なネットワーク連携
- 遠隔操作端末(POS・券売機など):運用状況の可視化・保守の効率化
法人向けおすすめau回線の固定IP SIM3社比較表
項目 / 会社名 | 初期費用 | 固定IP月額 | 最安プラン(月額) | 高速通信プラン例 |
---|---|---|---|---|
ロケットモバイルZ | 5,115円 (契約3,740円+IP1,375円) | 695円 | 100MB + IP:1,023円 | 下りプラン 1GB:677円 + IP695円 = 1,372円 |
IIJモバイルサービス 定額プランL | 初期登録料:3,000円+ SIM発行394円(計3,394円) | 要問合せ | 要問合せ | 10GB:5,500円 |
mineo M2Mアクセス | 契約事務手数料 3,300円+ SIM発行440円 3,740円 | 500円/月・回線 | 500MB + IP:1,100円 | 上り高速プラン 10GB:2,090円 |
以下に、各社の詳細な特長をご紹介します。
ロケットモバイルZ~固定IPアドレス付きモバイルSIMサービス~
申込ページ:rokemoba.com/rokemoba-z
- 法人限定・IoT対象
IoT用途に最適化された法人契約専用のモバイルSIMサービスです。
- 短納期対応
標準で2~3営業日以内にSIMカードを発送。大口発注を除いて迅速に入手可能です。
- 固定IPアドレス対応
オプションで固定IPを付与可能に。
(固定IP月額:税別632円)
- 柔軟なプラン設定
容量に応じた多様なプラン展開:上り特化プラン(3〜200GB)など。
ただし、上り優先プランは下り利用制限あり(例:3~50GBプランは下り0.5GB超で利用停止など)
- 通信仕様
・通信速度は各キャリアのLTE/4Gに準拠(ベストエフォート)。
・上限到達後は「切断」または「32 kbps/128 kbps」に制限。
・初速バースト機能はなし。
- 管理者向け法人コンソール
発注後は法人向け管理ページから、申し込みや容量残量の確認、解約まで自由に実施可能。
IIJモバイルサービス
申込ページ:iij.ad.jp
- ドコモ(タイプD)/KDDI(タイプK)回線を選択可能
通信環境や導入先のエリアに応じたキャリア選定が可能 - 固定グローバルIPアドレスに対応(オプション)
拠点間VPN・リモートアクセス・クラウド連携に最適 - 5G対応プランあり(タイプD/Kともに)
高速大容量通信もカバーし、長期運用にも安心 - 法人向け専用プランを多数用意(定額L、パケットシェアLなど)
大量端末運用や業務端末の一括管理に対応 - 閉域網接続にも対応(オプション)
高セキュリティ環境でのIoT・業務利用が可能 - 法人専用管理ポータルあり
利用状況の見える化、SIMの追加・停止・再開がオンラインで即時対応可能 - 音声通話・SMS対応プランも用意
スマホ・タブレット用途にも活用可能 - 豊富な導入実績と安心のIIJインフラ
自社データセンター・MVNE基盤を活用した高信頼運用
mineo M2Mアクセス
申込ページ:mineo.jp
- 上り高速コース/夜間専用コース を用途に応じて選択
映像監視やセンサー送信に強い「上り高速」
バッチ処理用に最適な「夜間(22–6時)限定」
- トリプルキャリア対応(au・ドコモ・ソフトバンク)
利用環境に応じて最適な回線を選択可能
- 固定IPアドレス対応(オプション)
VPN接続や遠隔アクセスに活用できる固定IPも選べます
- オプションで5G利用可能(5G対応端末が必要)
専用料金なしで5G通信も利用可能
- パケットシェア&管理機能
同一ID内で複数SIMのパケット共有可能
SIM停止/再開、利用状況確認などポータルで一括管理
- オプションのSMS・VPN-SIM対応
SMS(月120円)や閉域ネットワーク対応も選択可
以下に用途別おすすめSIMを表でまとめました。
用途 | おすすめSIM | 特徴 |
---|---|---|
安価に始めたい | ロケットモバイルZ | 初期費用・月額が最安、上り特化プランも充実 |
安定性と将来性を重視 | IIJモバイルサービス | 高品質な通信+5G対応、法人向け機能も豊富 |
柔軟な運用・選択肢が欲しい | ロケットモバイルZ mineo M2Mアクセス | トリプルキャリア対応、幅広い通信料プラン |
法人向けSIMサービスデータ容量別・月額料金比較
(固定IP込み)
以下の表は、主要なデータ容量での料金比較です。
データ容量 | ロケットモバイルZ 下りプラン | IIJモバイルサービス | mineo |
---|---|---|---|
無制限(低速) | お問い合わせください | – | – |
100MB | 1,023円 | – | – |
500MB | 1,245円 | – | 1,200円 |
1GB | 1,372円 | 2,800円 | – |
3GB | 1,905円 | – | 1,400円 |
6GB | 2,070円 | – | 2,080円 |
10GB | – | 5,500円 | 3,020円 |
20GB | 4,523円 | 以降要問合せ | 4,480円 |
50GB | 以降要問合せ | ↓ | 6,400円 |
100GB | ↓ | ↓ | – |
200GB | ↓ | ↓ | – |
まとめ
本記事では、au回線対応の固定IP SIMとして「ロケットモバイルZ」「IIJモバイルサービス」「mineo」の3社を比較しました。
とくにロケットモバイルZは、上り通信を重視したIoT用途や初期費用を抑えたい法人におすすめです。
固定IP SIMの導入では、安定性・セキュリティ・コストのバランスを意識することが大切です。対応エリアや管理機能、サポート体制もしっかりチェックして、自社にぴったりのSIMサービスを選びましょう!