今や、店舗やオフィスにWi-Fi環境を整えるのは当たり前の時代になりました。
しかし、どのWi-Fi機器を導入すべきか、「業務用」と「家庭用」ではどちらを選ぶべきか、悩む方も多いのではないでしょうか。
実際、Wi-Fi環境を構築する機器には、Wi-Fiルーターやアクセスポイント、メッシュWi-Fiなどがあり、それぞれ役割が異なります。
また、「業務用」と「家庭用」の機器では、利用用途も設計もかなり違います。
不適切な機器を選ぶと通信が安定しなかったり、セキュリティが脆弱になる可能性があります。
本記事では、Wi-Fi機器の種類を整理しながら、業務用アクセスポイントのメリットや家庭用機器との違い、選び方のポイントを解説します。
法人向けWi-FiのロケモバWi-Fiはこちら▽

Wi-Fi機器の種類|ルーターとアクセスポイントの違い

Wi-Fi機器には、Wi-Fiルーター・アクセスポイント・Wi-Fi中継器などの種類があります。
これらの機器は、似たように見えて役割や用途が異なるため、選び方に注意が必要です。
Wi-Fiルーターとは?
Wi-Fiルーターは、インターネット回線と直接接続して無線通信を行うための機器です。
単体でWi-Fi環境が気軽に構築できる「1台完結型」であるのが特徴です。
ネットワークの中心で、インターネット接続を管理するため「親機」とも呼ばれます。
小規模のオフィスや一室でのWi-Fi利用であれば、ルーターのみの導入で十分です。
また、一部のモデルは、有線LANポートを搭載しており、有線接続も可能です。
アクセスポイントとは?
Wi-Fiアクセスポイントは、有線ネットワークを無線通信に変えるための機器です。
機器をWi-Fiルーターと連携すると、Wi-Fiの通信範囲を広げる役割を果たします。
例えば、Wi-Fiを広範囲に行き渡らせる場合や、同時接続できる端末数を増やす場合に使います。
「既存のネットワークをWi-Fi化する」ものなので、ルーターなしでは使用できません。
広範囲のWi-Fiエリアが必要な大型の施設には、ルーターとセットで導入がおすすめです。
中継器とアクセスポイントは何が違うの?
Wi-Fi中継器は、既存のWi-Fi信号を受信し、それを増幅して再送信するという仕組みです。
これにより、ルーターの電波が届きにくい場所でもWi-Fiが利用できます。
アクセスポイントと異なり、ルーターとの接続に有線LANが不要ですが、安定性や速度は劣ります。
メッシュWi-Fiとは?
通常のルーターやアクセスポイントに加え、メッシュWi-Fiを採用した機器もあります。
メッシュWi-Fiとは、複数のアクセスポイントを連携させるシステムです。
これにより、シームレスに広範囲なWi-Fiネットワークを形成することができます。
接続端末が移動しても、自動で最適なアクセスポイントに切り替えて接続するので便利です。
一般的には、メッシュWi-Fi対応ルーターやメッシュWi-Fiシステムとして販売されています。
Wi-Fiルーターとアクセスポイントの役割の違い
ルーターとアクセスポイントの違いは、以下の通りです。
Wi-Fi機器 | Wi-Fiルーター | Wi-Fiアクセスポイント |
---|
主な役割 | ネットワークの中心となり、 インターネット接続を管理 | 有線LANをWi-Fiに変換し、 ネットワークを広げる |
適正環境 | 小規模オフィス | 大規模施設・大規模オフィス |
ネットワーク管理 | 基本設定のみ | セキュリティ機能搭載 |
Wi-Fiの範囲 | ルーター単体のカバー範囲のみ | 既存のWi-Fi環境を拡張可能 |
インターネット接続 | 可能 | 不可能 |
Wi-Fi機器を設置する際は、この表を参考にアクセスポイントの導入を検討しましょう。
「業務用」と「家庭用」のWi-Fiアクセスポイント

Wi-Fiのアクセスポイントには、家庭用と業務用の2種類があります。
それぞれに適した環境や機能が異なり、機能や端末の接続可能台数も変わります。
家庭用は、小規模なオフィス等も対応でき、シンプルな設定で導入できます。
一方、業務用アクセスポイントは多数の端末接続や高度な管理機能に対応しています。
安定性・セキュリティ・運用管理の面を考慮すると、業務用の導入が圧倒的におすすめです。
以下は、家庭用と業務用のアクセスポイントの比較表です。
家庭用アクセスポイント | 業務用アクセスポイント | |
---|---|---|
対応端末数 | 10~50台程度 | 50~500台以上(高性能モデルは1,000台超対応可) |
セキュリティ機能 | WPA2など基本的な暗号化のみ | WPA3対応、VLAN機能、 アクセス制限など |
電波範囲 | 約10~20m | 約30~100m |
管理機能 | ルーターの設定画面から 手動設定 | クラウド管理・リモート監視・ 自動アップデートが可能 |
設置環境 | 家庭・小規模オフィス向け | オフィス・店舗・商業施設・ 大規模施設 |
メーカー保証 | 1~3年(保守サポートなし) | 3~5年(保守サポートあり) |
家庭用アクセスポイントは、個人向けのシンプルな機能が中心で、Wi-Fiの範囲や接続台数が限られています。規模の大きいオフィスや、機密情報を扱う店舗・施設では、スペックが不足しがちです。
反対に、業務用アクセスポイントは業務環境に必要な機能を一通り備えています。
将来的に安定した運用を見据えるなら、業務用アクセスポイントを選んでおきましょう。
業務用Wi-Fiアクセスポイントのメリット
業務用アクセスポイントは、機能や性能の面で家庭用のものよりも優れています。
特に、たくさんの端末が同時接続を行う環境では、その差は歴然です。
ここでは、業務用アクスポイントのメリットをより具体的にご紹介していきます。
メリット①:同時接続端末が多くても安定した通信ができる
オフィスや店舗などの環境では、パソコンやスマホ、タブレット、プリンターなど、さまざまな端末が同時にWi-Fiへ接続されます。
利用環境によっては、家庭用Wi-Fiアクセスポイントでも対応できる場合があります。
しかし、接続台数が増えると通信が不安定になり、速度が大きく落ちてしまうこともあります。
一方で、業務用Wi-Fiアクセスポイントは、同時接続の安定性を前提に設計されています。
数十台〜数百台の接続でも問題なく、安定した通信を維持することができます。
メリット②:セキュリティ機能が強化されている
業務では、顧客情報や社内データなどの重要情報がネットワーク上でやり取りされます。
そのため、不正アクセスや情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策は不可欠です。
多くの業務用アクセスポイントには、高度なセキュリティ機能が搭載されています。
例えば、以下のような機能が挙げられます。
・WPA3などの強力な暗号化プロトコルに対応している
・VLAN機能でネットワークの分離ができる
・アドレス制限やアクセス制御によって接続端末が管理できる
VLAN機能を設定すると、1つのネットワークを利用していても用途別に通信を分離できます。
例えば、社内用Wi-Fiとゲスト用Wi-Fiを同じアクセスポイントで運用する場合に活用できます。
セキュリティや管理面で安心で安全な環境を維持することができます。
ゲスト用Wi-Fiの安全対策については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
メリット③:遠隔管理やクラウド管理ができる
一部の業務用Wi-Fiアクセスポイントには、ネットワークの状態を管理できるクラウド管理機能が搭載されています。
この機能によって、離れた拠点のアクセスポイントにおいて、設定の変更や接続状況の確認などができます。したがって、トラブル発生時にもログの確認や状況把握がスムーズになります。
複数台のアクセスポイントを一元的に管理したい企業には、特に大きなメリットです。
メリット④:広範囲の通信範囲が確保できる
オフィスや店舗などでは、1台のWi-Fi機器だけでは電波が届かない場所が出てしまうこともあります。壁の厚みや階によっては通信が不安定になるケースも少なくありません。
業務用アクセスポイントは電波の到達距離が長く、複数台を連携させて広い範囲をカバーすることも想定して設計されています。
また、電波干渉を最小限に抑えたモデルや、高所設置に対応したモデルもあります。
広いスペースでも、電波のムラやつながらないエリアを極力なくすことができます。
メリット⑤:保守・サポート体制が充実している
Wi-Fi機器は、長期間にわたって安定して使い続けられることが重要です。
とはいえ、突然の通信トラブルや設定の不具合が起きる可能性もあります。
業務用アクセスポイントには、メーカーによる長期保証や保守サポートが付いていることが多いです。例として、専用サポート窓口でオペレーターによる対応サービスが挙げられます。
機器の交換・修理サービスを受けられたりと、トラブル時に備えた安心感があります。
業務で使う以上、「壊れたらすぐ対応できるかどうか」は機器選びのポイントです。
Wi-Fiアクセスポイントの選び方

ここからは、これまで紹介してきた内容をふまえて、導入する前に確認しておきたいポイントをわかりやすく整理していきます。
よく考えずに機器を決めてしまうと、導入後にトラブルが起きやすくなります。
失敗を防ぐためにも、アクセスポイントの選び方の基本を押さえておきましょう。
接続可能台数とスペックの確認
まず確認したいのは、どれくらいの端末を同時に接続できるかという点です。
店舗やオフィスでは、1人あたり複数台の端末がWi-Fiに接続されることも多いです。
ゲスト用Wi-Fiを提供する店舗などでは、接続数が予想以上に増えることもあります。
そのため、少し余裕を持ったスペックを選ぶのがおすすめです。
さらに、「最大通信速度(Mbps)」も確認しておくといいでしょう。
通信速度は、データを送受信する際の速さの指標となります。
数字が大きいほど多くのデータをやり取りできるため、業務では重要な指標です。
以下が、通信速度ごとの利用目安です。

業務用アプリやクラウドサービスを快適に使いたい場合は、高速通信が可能なモデルを選んでおくと安心です。
セキュリティ機能の有無
また、アクセスポイントを選ぶ上で、セキュリティ機能を確認することも大切です。
セキュリティ対策が甘いと、機密情報の漏えいや不正アクセスのリスクが高まります。
特に確認しておきたい機能は、以下の4つです。
・WPA2、WPA3対応の暗号化プロトコル
・VLAN機能
・MACアドレスフィルタリング・アクセス制御機能
・ファームウェア自動更新機能
MACアドレスフィルタリングとは、各端末に固有で割り振られている「MACアドレス(端末の識別番号)」を使って、特定の端末だけをWi-Fiに接続させる仕組みです。
これにより、許可された端末だけがネットワークに接続できるようになります。
また、ファームウェアとは、ルーターやアクセスポイントなどの機器を動かすソフトウェアを指します。Wi-Fi機器の心臓部であり、セキュリティや通信処理を司る重要な部分です。
このファームウェアを自動で更新することで、セキュリティ脆弱性の修正や新機能の追加をスムーズに行い、常に最新の状態を維持できます。
機器の管理方法
機器の導入にあたって、設定や管理の方法も忘れずに決めておきましょう。
特に、複数拠点でWi-Fiを運用する場合は、管理のしやすさが業務効率に直結します。
管理方法は、大きく分けて次の2つが挙げられます。
・ローカル管理
・クラウド管理
ローカル管理の場合、アクセスポイントの設定はそれぞれの設置場所で行う必要があります。
そのため、基本は設定画面にログインして機器ごとに操作をします。
一方クラウド管理では、複数のアクセスポイントを一括管理できます。
インターネット経由で、離れた場所の機器の設定や接続状況の確認ができます。
障害対応や保守作業が効率的になり、手間を大幅に省けるメリットがあります。
対応範囲・電波強度
アクセスポイントの性能面を確認する上で、電波の範囲や強度も重要なポイントです。
特に店舗やオフィスなど、広めの空間や壁の多い構造では、電波が届かず通信が不安定になることもあります。
アクセスポイントの電波範囲の目安は、モデルによってもバラつきがあります。
家庭用Wi-Fiアクセスポイント:約10~20m
業務用Wi-Fiアクセスポイント:約30~100m
特にアクセスポイントを複数導入をしたい場合は、よく確認しておきましょう。
広い空間での利用や、複数台設置を前提とする場合には、メッシュWi-Fi対応モデルや複数アンテナ搭載モデルも検討しておくと良いですね。
設置方法とサイズ
アクセスポイントを選ぶときは、どこに、どう設置できるかも確認が必要です。
電波の届きやすさや外観、セキュリティ面に影響を与えることがあります。
アクセスポイントの設置タイプは、主に3種類挙げられます。
壁掛け型は、狭いスペースにも設置しやすく、飲食店等のWi-Fi導入におすすめです。
卓上・据え置き型は、一番設置が簡単で、はじめてのWi-Fi導入にもぴったりです。
天井設置型は、電波が広がりやすいため、オフィスや商業施設で多く採用されています。
天井への取り付けを行う場合、工事のしやすさや付属金具の有無も確認しましょう。
また、高機能な業務用アクセスポイントほど、サイズが大きくなる傾向があります。
設置スペースに合うかも事前に見ておくと安心です。
メーカー保証・保守サポートの有無
アクセスポイントを選ぶ際、重視するべきなのは製品の性能だけではありません。
万が一の時のサポート体制の充実度も、重要な選定ポイントです。
先程紹介した通り、アクセスポイントには種類によって保証期間に違いがあります。
家庭用Wi-Fiアクセスポイント:1~3年(サポートなし/最低限)
業務用Wi-Fiアクセスポイント:3~5年(保守契約付きの場合もあり)
業務用モデルのサポートには、出張修理や代替機発送対応等のサービスも含まれます。
保守サポートがあれば、障害発生時やトラブル時のダウンタイムが短縮されます。
価格とコストバランス
Wi-Fiアクセスポイントは、性能や機能の違いによって価格帯が大きく異なります。
だからこそ、「必要な機能に見合った価格かどうか」という視点で選ぶことが大切です。
アクセスポイントの種類別の価格の目安は、以下の通りです。
家庭用Wi-Fiアクセスポイント:約5,000~20,000円
業務用Wi-Fiアクセスポイント:約20,000~100,000円以上
価格だけを見ると基本的に業務用のアクセスポイントの方が高額です。
しかし、通信の安定性やセキュリティ機能・保守サポート等を考慮すると、結果的にコストパフォーマンスが高いケースも多くあります。
また、拡張性の高いモデルを選ぶと、将来的な機器の追加にも対応しやすくなります。
まとめ
今回は、Wi-Fi機器の種類や、アクセスポイントの選び方について詳しく解説しました。
Wi-Fi環境は、業務の効率や利便性を大きく左右します。
だからこそ、店舗やオフィスの規模・使い方に合った機器を導入することが大切です。
最適なアクセスポイントを選べば、快適なネットワーク環境が実現できます。
Wi-Fiの見直しを検討中の方は、ぜひ導入前のチェックポイントとして本記事を活用してみてください!