地震や津波、洪水などの災害が起きたとき、家族や友人と連絡を取ったり、正確な情報を取得することは非常に大切なことです。
そして、そのすべてに欠かせないのが「通信手段」です。
しかし、停電や通信障害、ネットワークの混雑など、非常時には思うように通信を使えなくなることも多々あります。
通信を確保するための方法は、モバイルWi-FiやeSIM、災害用のWi-Fiスポットなど、事前の準備次第で大きく変わります。
また、スマートフォンの使い方一つで通信をうまく活用できるケースもあります。
この記事では、災害時に備えた通信環境の整え方や、いざというときに役立つ具体的な対策を分かりやすくご紹介しています。
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災害時の通信障害やインフラダウンに備える重要性

災害はいつ起こるかわかりません。そのため、通信環境を守るための対策は普段から整えておくことが大切です。
地震等の大災害が起こった場合、停電やインフラの破損によって通信が使用できないといった状況が続くことも珍しくありません。
大規模な災害によって多くの地域が停電してしまった場合、復旧には1日~1週間以上かかることもあります。
実際、2011年3月11日に起きた東日本大震災では約1週間で復旧し、被害が特に大きかった地域では約3か月を要しました。
身近な人の安否確認や避難指示を含む情報を逃さないように、こうした状況に常に備えておくようにしましょう。
災害時に考慮すべき通信手段
停電・インフラの破損、回線の混雑等を含むあらゆる通信障害に備えるための通信手段として、以下が挙げられます。
〈利用可能な通信手段一覧〉
- スマートフォンのデータ通信
- モバイルWi-Fi
- 公共Wi-Fiの利用
- 衛星通信や衛星Wi-Fi
順番に説明していきます。
スマートフォンのデータ通信
スマートフォンでのデータ通信は、一番手軽で非常に実用的な通信手段です。
災害情報アプリやSNSを使えば、必要な情報をリアルタイムで効率よく入手できます。
ただし、通信が集中すると速度制限がかかったり、キャリアの回線が障害を受けて使えなくなる可能性がある点には注意が必要です。
そうした場合は、eSIMやサブSIMを利用して複数のキャリアに対応できるようにしておくと、通信障害に阻まれる可能性が少なくなりそうです。
モバイルWi-Fi
モバイルWi-Fiは、内蔵バッテリーを搭載した携帯型のルーターです。
モバイルWi-Fiを使えば、停電時でもしばらくの間インターネットに接続できるうえ、複数のデバイスを同時に接続できるため、共同で利用するのにもぴったりです。
また、「クラウドSIM対応」の場合は、通常のモバイルWi-Fiとは異なり物理的なSIMカードを挿入する必要がなく、クラウド上で複数のキャリア回線にアクセスできます。
そのため、利用場所や状況に応じて自動的に複数のキャリア回線に切り替わるので、通信がより安定します。
ただし、バッテリー切れには注意しておく必要があります。
公共Wi-Fiの利用
公共Wi-Fiは、災害時に自治体や通信キャリアが無料で提供するWi-Fiスポットのことです。
避難所や公共施設の中でインターネットに接続できるため、情報を集めたり緊急時の連絡を取ったりするのにとても便利です。
日本では、大規模災害が発生した際に、全国の主要通信キャリアによって「00000JAPAN」という共通SSIDで無料Wi-Fiが提供されるようになっています。
ただ、多くの人が同じ場所に避難しながら同じWi-Fiを利用していると考えると、回線の混雑や帯域幅の制限が原因で繋がりにくいと感じる可能性があります。
衛星通信や衛星Wi-Fi
衛星通信は、人工衛星を利用して通信を行う技術です。
そのため、地上で光回線の不具合が起こったり、電柱の倒壊があっても利用できる信頼性の高い手段です。
通信網が壊滅的な被害を受けたとしても、遠隔地や被災地から緊急連絡を取ったり、必要な情報を収集することができます。
ただし、衛星通信を利用するには専用の端末が必要で、費用も高めという欠点があります。
一般家庭での普及率は低いものの、非常時に備えた予備的な通信手段として、事前に衛星通信対応端末を用意しておいても良いでしょう。
災害時に考慮すべき通信手段:4つの手段比較
通信手段 | バッテリー内蔵 | 複数デバイス接続 | 活用方法 | 通信安定性 | 専用機器の必要性 | 費用 |
---|---|---|---|---|---|---|
モバイルWi-Fi | 有 | 有 | 停電時の接続や共同利用 | 中(キャリア依存) | 必要 | 中~高 |
スマートフォンのデータ通信 | 有 | 無 | 災害情報収集や安否確認 | 中(キャリア依存) | 不要 | 中 |
公共Wi-Fi | 無 | 有 | 避難所や公共施設での一時的な通信確保 | 低(混雑時に不安定) | 不要 | 無料~低 |
衛星通信や衛星Wi-Fi | 有 | 有 | 著しいインフラ崩壊に対応する通信手段 | 高(キャリアに非依存) | 必要 | 高 |
通信を確保するための備え
災害時に通信を確保するためには、ただ通信手段を持っているだけでは十分ではありません。
それぞれの通信手段をしっかり活用するために、事前に備えておくことが大切です。
ここからは、災害時に役立つ通信手段をうまく使いこなすために必要な準備や工夫をご紹介していきます。
モバイルバッテリーや充電設備の準備
災害時には停電が発生する可能性が高く、スマートフォンやモバイルWi-Fiといった通信機器の電源を確保することが非常に重要になります。
モバイルバッテリーは、長時間の停電に備えるうえで必須のアイテムです。
10,000mAh以上の大容量で、同時に複数のポートに対応しているタイプのものを選んでおくとあらゆる機器に対応できて便利です。
長期間の停電が続く場合には、再充電が可能なソーラー式充電器が強力な味方になります。
蓄電式の充電器とは違い、天気が晴れている限り何度でも充電できる点が非常に便利です。
価格も高すぎるわけでもなく、2000~5000円台で手に入るため、モバイルバッテリーと使い分けてみるのもいいですね。
サブの通信手段を用意する
今まで見てきた通り、災害時には普段利用している通信手段が使えなくなる可能性があります。
例えば、自分が契約しているキャリアで通信障害が発生してしまい、その他キャリアの契約がなかった場合は、有効な通信手段が使えない可能性もあります。
そのため、予備のスマートフォンや、メインで使用するキャリアとは異なるキャリアのSIMを用意しておいても良いでしょう。
eSIM対応の端末であれば、SIMカードを使わず、サブ回線を追加できるため便利です。
災害時に役立つ通信に関する知識

非常時でも、通信を活用して正確な情報を得たり、大切な人と連絡を取ったりすることができれば、安心感が格段に高まります。
非常時に使える通信手段や、限られた通信環境を最大限に活用する方法を知っておくことは、自分自身を守るうえで欠かさないことになります。
最後に、いざというときに慌てることなく通信を活用できるようにするためのポイントをあらためてご紹介します。
緊急時に利用できるWi-Fiサービス
災害時には、普段使っている携帯回線が混雑して、通信ができなくなることがあります。
そんな時に役立つのが、緊急時に利用できるWi-Fiサービスです。
以前の章でも少し触れましたが、ここでは具体的なサービス内容や使い方について詳しくご紹介します。
災害時無料Wi-Fiサービス「00000JAPAN」

大規模な災害が発生した際には、主要な通信キャリアによって「00000JAPAN」という共通SSIDの無料Wi-Fiサービスが提供されています。
緊急時に誰でも無料で利用できるよう設計されており、登録不要・無料で利用可能であるのがうれしいですね。
この無料Wi-Fiサービスは、災害直後から、状況が安定するまでの数週間程度使用できるため、もし契約しているキャリアの通信障害でデータ通信ができない状況でも安心できます。
音声通話の代わりにデータ通信を使う
大規模災害では、多くの人が同時に通話を試みるため、回線がパンクしやすくなります。
こうした状況では、音声通話ではなく、データ通信を活用することで、よりスムーズに連絡を取ることができます。
LINE、Facebook Messenger、WhatsApp などのメッセージアプリを使えば、テキストでスムーズにやり取りができるうえ、よりスムーズなデータ通信を利用した通話も可能です。
また、災害時は「スタンプ」や「短いメッセージ」を意識すると、サーバー負荷が大きい時でも送信しやすいことが分かっています。
災害用伝言サービス・安否確認サービスを使用する
災害用伝言サービス・安否確認サービスは、被災地にいる人の無事を知らせたり、安否確認をスムーズに行ったりすることができるサービスです。
代表的なものは、NTTの「災害用伝言ダイヤル(171)」、「災害用伝言板サービス」、「Google Person Finder」です。
これらのサービスにおいては、音声やメッセージを残すことができ、それを他のユーザーが確認できる仕組みです。
通信デバイスを持っていない場合、公衆電話等からも避難場所や自身の安否を伝えることができるので、使い方を覚えておくといいでしょう。
節電モードで通信を長持ちさせる
長時間の避難生活ではバッテリーをいかに節約するかが重要なポイントになります。
スマートフォンを使用する際は、「低電力モード」や「省電力モード」を使用し、バックグラウンドで常にアプリの動作を更新する設定を解除しておきましょう。
また、使用しない時は「機内モード」にしておくなど、電源がない環境下ではできるだけ電池残量を節約する工夫が大切です。
まとめ:非常時に強い通信環境を整えるために
本記事では、災害時の通信手段の選択肢や、それを活用するための備えについて詳しく紹介しました。
非常時に備えた通信環境を整えることは、自分や家族の安全を守ることにつながります。
だからこそ、日頃から少しずつ準備を進め、いざというときに慌てずに行動できるようにしておきましょう。