物流の2024年問題を解決!労働時間短縮・コスト削減に効くフリート管理システムの選び方

「2024年問題」という言葉を耳にする機会が増え、物流・運輸業界ではこれまでの常識が大きく揺らぎつつあります。

働き方改革関連法による時間外労働の制限の影響で、人手不足や輸送遅延が現場を直撃し、特に中小規模の運送会社では、限られた人員と車両で業務を回す厳しさが増しています。

こうした状況の中、注目されているのがフリート管理システム(FMS)です。このシステムの導入により、業務効率化と法令遵守の両方の実現が期待できます。

とはいえ、導入にあたってはコストや社内の理解など課題も多く、「自社に本当に合うのか?」という悩みもつきものです。

本記事では、2024年問題の最新動向、FMSの主な機能と導入メリット、選び方のポイント、代表的な製品比較、中小企業の成功事例までをまとめて解説します。

目次

2024年問題の現状と最新動向(2025年)

2024年4月、トラックドライバーの時間外労働時間が「年間960時間」に制限される法改正が施行されました。

これは働き方改革関連法の一環として導入された制度で、長時間労働に頼っていた運送業界にとっては、根本的な業務見直しを迫られる転換点となりました。

現場ではすでにその影響が現れ始めており、ドライバー不足や積載率の低下、配送遅延など、日々の業務に支障をきたしている企業も少なくありません。

すでに始まっている「運べない」という現実

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が2025年5月に発表した実態調査では、物流企業の約半数が「荷物を運べなくなった、あるいは運びにくくなった」と回答しています。

とくに関東圏ではこの傾向が顕著で、2024年10月以降に輸送キャパシティの逼迫が深刻化し、12月が最も厳しい状況だったと報告されています。

「従来通りの配車ができない」「受注を断らざるを得ない」といったケースも相次ぎ、物流業界における“供給力の崩壊”が現実味を帯びてきています。

政府の対応:2025年施行の「新物流2法」とは?

こうした物流崩壊への危機感から、政府は2025年4月より「改正貨物自動車運送事業法」および「改正物流総合効率化法」を施行しました。

これらは通称「新物流2法」と呼ばれ、ドライバー不足や非効率な輸送体制を業界全体で見直すための法的枠組みの転換点として位置付けられています。

これまで物流を運送事業者任せにしていた構造を是正するため、荷主企業にも物流効率化の取り組みが「努力義務」として課されるようになりました。

以下に挙げる取り組みは、国から正式に推奨・義務化されています。

・共同配送や積載率向上など、荷主・運送会社の連携促進
・荷待ち・荷役時間の削減、ならびに運送契約の明文化
・標準的な運賃制度の普及と適正な価格交渉の推進

物流は企業間の「つなぎ役」であるだけに、単に運送会社の努力だけでは限界があります。国として、荷主にも責任ある関与を求める方向に政策が大きく舵を切ったのです。

補助金制度の拡充で「物流DX」を後押し

あわせて政府は、物流のデジタル化(物流DX)を促進するための補助金制度も拡充しました。

国土交通省の「物流効率化推進事業」や各地方自治体の独自補助金では、以下のようなツール導入が支援対象になっています。

・クラウド型フリート管理システム(FMS)
・AI配車ツールやデジタコとの連携システム
・アルコールチェックの記録一元化システム

これにより中小企業でも「補助金を活用して、低コストでFMSを導入できる環境」が整いつつあります。

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今、企業に求められている視点とは?

こうした流れのなか、物流企業に求められているのは「人手不足に依存しない業務体制」の構築です。

限られた人員と時間の中でも、安全に・効率よく・確実に荷物を届けるためには、アナログな属人的運用からの脱却が不可欠です。

そのカギを握るのが、業務の見える化と最適化を同時に実現する「フリート管理システム(FMS)」です。

・ドライバーの走行・休憩状況をリアルタイムに管理
・車両の稼働率や燃費をデータで把握・分析
・AIによる配車・ルート最適化で属人性を排除

次の項目では、FMSがどのような機能を持ち、実際にどんな課題解決に役立つのかを詳しく解説します。

フリート管理システムの主要機能と導入メリット

ドライバー不足・労働時間制限・コスト増加――こうした課題に対して、現場の“効率化”と“見える化”を支えるのがフリート管理システム(FMS)です。

FMSは、車両やドライバーの稼働状況をリアルタイムに把握し、AIやIoTを活用して運行の最適化を図る仕組みです。

ここでは、FMSに搭載されている代表的な機能と、それぞれがどのように業務課題を解決するのかを解説します。

GPS追跡機能|車両の位置をリアルタイムで把握

各車両にGPS端末を搭載することで、現在地や走行ルートをリアルタイムに確認可能。これにより、到着予定時刻の予測精度が向上し、配送遅延の抑制や荷主対応の質も向上します。

・ドライバーの現在位置をすぐに把握できる
・急な配送変更にも柔軟に対応
・荷主や取引先への報告がスムーズに

テレマティクスデータ分析|燃費・メンテナンスを最適化

エンジン稼働状況や走行距離、燃料使用量などを自動で取得し、燃費改善・故障予防につなげるのがテレマティクス機能です。

・アイドリングの無駄を可視化し削減
・整備のタイミングを自動通知
・予防整備で故障リスクを低減

燃費悪化の原因が「運転方法」なのか「車両状態」なのかも把握できるため、エコドライブ教育にも有効です。

AI配車・ルート最適化|属人化を排除

従来、熟練の担当者の経験に依存していた配車計画も、AIがデータに基づいて自動で最適化します。

・納品時間・積載量・渋滞情報をもとに自動ルート生成
・新人でも質の高い配車が可能
・ベテラン依存の業務から脱却

配車業務の効率化は、管理者の負担軽減走行距離・燃料コストの削減にもつながります。

労務・勤怠管理|働き方改革に対応

出発・帰庫時間や休憩・待機時間を自動記録し、ドライバーの労働時間を正確に管理します。

・法定上限(年間960時間)を超える前にアラート
・休憩取得状況の記録で過重労働を防止
・デジタル点呼や日報管理で監査対応もスムーズ

コンプライアンス対応に加え、ドライバーの健康維持・離職防止にも貢献します。

安全運転支援|事故削減・保険料ダウンにも

ドライブレコーダーやセンサーと連携し、急ブレーキ・急加速などの運転挙動をスコア化します。

・危険運転の傾向を可視化し、指導へ活用
・ドライバーごとの運転評価で安全意識が向上
・事故件数の削減で保険料の見直しにも貢献

「記録が残るから安全運転を意識するようになった」という現場の声も多く、企業全体の安全文化の底上げに役立ちます。

引用:smartdrive.co.jp
クラウド型車両管理システム SmartDrive Fleet

フリート管理システム導入のメリットまとめ

フリート管理システムを導入する主なメリットは以下の通りです。

FMSは単なる「管理ツール」ではなく、事業の持続性と競争力を支えるインフラです。

次の項目では、導入にあたって気をつけたいポイントやコスト感など、失敗しないための選び方について解説します。

フリート管理システムの注意点と導入のポイント

FMS(フリート管理システム)は、物流業務を大きく効率化し、ドライバー不足や働き方改革への対応にも有効な手段です。

しかし、やみくもに導入してしまうと「費用だけかかって使われなかった」「うちの業務には合わなかった」といった失敗も起こり得ます。

ここでは、FMSを導入する際に押さえておくべき4つのポイントと、導入前のチェックリストを紹介します。

コストと導入効果のバランスを見極める

FMSは、初期投資と月額費用が発生する「継続的なシステム運用型」のサービスです。

特に中小企業の場合、費用対効果が曖昧なまま契約してしまうと、導入後に「思ったよりコストが高い」と後悔することも。事前に導入目的と期待する効果を明確にすることが重要です。

・アイドリング削減で燃料費はどの程度抑えられるか
・労働時間管理の効率化で、管理工数がどれほど減るか
・ドライバーの離職防止につながる要素はあるか

例えば、車両あたり月数千円のコストが発生しても、「年間で30時間の業務削減が見込める」「事故が1件減れば保険料が大幅に下がる」など、具体的なシミュレーションを行うことで、導入の妥当性を検討しやすくなります。

なお、自治体や国の補助金を活用すれば、初期導入費用の一部をまかなえるケースもあるため、合わせて確認しておきましょう。

通信環境との相性を確認する

FMSは車載端末からクラウドにデータを送るため、通信が安定していなければシステムの効果を十分に発揮できません。

特に長距離輸送や地方・山間部を多く走る企業では、電波の入りにくいエリアでの運用に注意が必要です。

・LTE/5G回線に対応しているか
・圏外時のオフライン保存機能があるか
・電波状況に強いSIMキャリアを選べるか

また、帰社時にWi-Fiでデータアップロードする方式を採用する企業もありますが、リアルタイム性が必要な機能を使う場合は、常時接続の品質をよく確認しておくと安心です。

従業員の理解と現場教育がカギ

せっかくFMSを導入しても、「使われない」「形だけになってしまう」という失敗は意外と多くあります。

その多くの原因は、「現場がメリットを理解できていない」「使い方が分からない」といった運用フェーズでのつまずきにあります。

・ドライバーへの説明会やトライアル期間の確保
・「監視される」ではなく「安全と効率を守る」ための仕組みであることの共有
・点呼や勤怠入力が楽になるなど、現場にとっての利点を強調

導入成功のカギは、現場の理解と納得です。マニュアル整備や操作トレーニングだけでなく、「これは自分たちの仕事を楽にするものだ」と思ってもらう働きかけが重要になります。

既存システムとの連携性を確認する

企業によっては、すでに勤怠・請求・在庫などの業務システムを使っているケースも多くあります。

その際、FMSがそれらと連携できるかどうかで、業務効率やシステムの定着率が大きく変わります。

・会計・給与ソフトとのデータ連携(API対応)
・導入後のカスタマイズ対応の柔軟性

システム同士が連携すれば、入力ミスや二重入力の手間がなくなり、事務工数の削減データ活用の高度化が実現します。

導入前にチェックしておきたい5つのポイント

以下は、フリート管理システムの導入時に確認しておきたいポイントです。

FMSは正しく選び、きちんと運用すれば、企業にとって強力なインフラとなります。

次の項目では、実際に評価の高い代表的なフリート管理システム3製品を比較し、それぞれの特徴や適した企業像を紹介します。

Samsara(サムサラ)

引用:https://www.samsara.com

Samsaraは、アメリカ・サンフランシスコ発のIoT企業で、物流や建設、製造など幅広い業界に向けて、リアルタイムの車両追跡・運行管理・安全支援を提供しています。

日本国内でも、AIドライブレコーダー+IoTセンサー連携による事故防止やエコドライブ推進、クラウド完結型の操作性で注目を集めており、中堅〜大手企業の導入が進んでいます。

≪Samsaraの主な特徴≫
☑ AIドラレコで運転中の危険行動を自動検知・通知
☑ ドライバーの行動・車両の状態をリアルタイムで可視化
☑ 温度・ドア開閉・積載などIoTセンサーと柔軟に連携
☑ スマホやタブレットでも操作可能なクラウド型ダッシュボード
☑ 稼働率や燃費・エコドライブを自動分析&レポート

〇AIドライブレコーダーによる安全運転支援
Samsaraのドラレコは、居眠り運転・わき見・スマホ操作・急加速・急ブレーキなどをAIがリアルタイム検出し、ドライバーと管理者双方に即時通知します。事故の未然防止と再発防止に効果を発揮します。

〇IoTセンサー連携で配送品質も向上
冷凍・冷蔵車両における温度センサー、倉庫・配送トラックのドア開閉センサー、貨物の傾きや衝撃を測定するセンサーなど、物流業務に特化したIoT機器との連携が可能です。荷崩れ・品質劣化・盗難防止に貢献します。

〇わかりやすく、すぐ使えるクラウド管理画面
運行状況のマップ表示、危険運転の履歴、走行動画、レポート機能などが1つの画面に集約されています。パソコン・タブレット・スマホいずれでもアクセス可能で、ITに詳しくない現場担当者でもすぐに操作できます。

〇業務効率とコストの両立をサポート
車両の稼働率や待機時間、燃費などを自動で分析し、ドライバーごとの比較や改善提案が可能です。運行効率の向上と、労務管理・燃料費削減にも効果を発揮します。

〇導入実績が豊富
北米を中心に1万社以上の導入実績があり、最近では日本の大手物流・製造業者にも導入が進んでいます。特に車両台数が多く、事故削減や運行最適化を求める企業には最適です。

Samsaraは、安全性・可視化・操作性の3拍子がそろった次世代型の車両管理ソリューションです。
特に「運行管理+安全対策+配送品質管理」をすべて一元化したい企業にとって、非常に実用的なツールとなるでしょう。

Verizon Connect(ベライゾン・コネクト)

引用:https://www.verizonconnect.com

Verizon Connectは、アメリカの通信大手Verizonが展開するフリート管理ソリューションです。GPS追跡やドライバーの安全スコア管理、車両整備レポートなど、世界中の運輸業を支える包括的な機能を提供しています。

日本国内でも、グローバル基準の安定した通信インフラ+運用の柔軟性を活かし、多拠点・広域輸送を担う中堅・大手企業に選ばれています。

≪Verizon Connectの主な特徴≫
☑ GPSによるリアルタイム追跡と走行履歴の保存
☑ ドライバーごとの安全スコア表示・分析機能
☑ 整備・燃料・稼働状況などを一元管理
☑ 車両台数が多くても一括監視が可能
☑ 通信大手Verizonならではのグローバル対応力

〇GPS追跡&ルート最適化
車両の現在地をリアルタイムで把握し、履歴も自動で記録します。ドライバーがどこでどのように運転していたかを一目で確認できます。さらに、過去の交通状況や渋滞データから効率的なルート提案も可能です。

〇安全スコアでドライバー管理を可視化
急ブレーキ、急加速、速度超過などをもとにドライバーごとの運転評価を自動算出します。教育・フィードバックに活用でき、安全運転文化の浸透に役立ちます。

〇整備・稼働・燃料のトータル管理
定期整備のアラート機能、稼働時間やアイドリングの集計、燃料使用量の追跡など、運行コストとメンテナンス負担の最適化を支援します。

〇グローバル対応で広域・多拠点にも強い
Verizonの通信インフラを活かし、海外拠点や全国規模での一括運用が可能です。国内外に拠点を持つ企業や、広域での配送を行う事業者に適しています。

〇安定通信+業務一元化で業務効率向上
走行データ・点検状況・エコ運転などが1画面に集約され、管理画面の視認性も高く、日常的な業務の手間を大幅に削減できます。

Verizon Connectは、通信基盤を活かした堅牢なFMSです。
特に「拠点が広く分散している」「多数の車両を一元管理したい」といったニーズに対し、安定性と信頼性の両立を実現するソリューションといえるでしょう。

Geotab(ジオタブ)

引用:https://www.geotab.com/jp

Geotabは、カナダ発の世界的なテレマティクスプロバイダーで、170カ国以上・400万台以上の車両に導入されている実績を持つFMS(フリート管理システム)です。

日本国内でも、柔軟な拡張性と国際基準に準拠したデータ分析力が評価されており、特に多車種・多拠点を扱う企業での導入が進んでいます。

≪Geotabの主な特徴≫
☑ 400万台以上の導入実績を持つ世界的シェア
☑ AIベースの運転評価・最適ルート提案機能
☑ エンジン診断や故障コードまで把握できる整備管理
☑ オープンプラットフォームで他システムと連携しやすい
☑ ドライバー教育や法令順守にも対応

〇高度なデータ解析による運転評価と改善
急加速・急ブレーキ・アイドリングなどの挙動を分析し、AIがドライバーごとに評価スコアを算出。安全運転指導やエコドライブの推進に役立ちます。

〇整備コスト削減とダウンタイム防止
Geotabは車両のエンジン診断・バッテリー状態・故障コードなどを自動取得し、メンテナンス予測や異常検知に活用できます。整備コスト削減や計画的な整備が可能です。

〇オープンプラットフォームで他システムと柔軟に連携
既存の業務システム(ERP、会計、運行管理など)と連携しやすいのも特徴です。カスタマイズ性が高く、多様なニーズに対応できます。

〇グローバル基準で法令順守にも対応
運転時間・休憩時間の自動記録や、運転日報の自動出力など、労務管理やコンプライアンス対応にも優れており、海外規制にも対応しています。

〇中小企業〜大企業まで幅広く導入可能
車両台数10台以下の企業から数千台規模の事業者まで導入事例があり、スモールスタートからの拡張も可能です。

Geotabは、柔軟性・分析力・国際対応力を兼ね備えたFMSです。
特に「既存システムとの連携」や「安全・整備・労務の全方位管理」を求める企業にとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。

主要FMS 3製品の比較表

導入を検討するうえで重要な比較ポイントを、Geotab・Samsara・Verizon Connectの3社で整理しました。

製品名主な特徴対応機能日本語対応おすすめの
企業規模
Geotab柔軟な連携性と高精度のデータ分析GPS / AI運転評価 / 整備診断 / API連携〇(日本法人あり)中小〜大手、グローバル展開企業
SamsaraAIドラレコ+IoTセンサー連携GPS / AI安全支援 / 温度・ドア管理 / クラウド管理〇(国内導入企業多数)中堅〜大手、輸送品質を重視する企業
Verizon Connectグローバル通信基盤で広域対応GPS / 運転スコア / 整備管理 / 通信最適化△(英語中心だが一部日本語サポートあり)全国・海外拠点を持つ中堅〜大企業

それぞれの製品は得意分野や導入規模に応じた強みがあります。

たとえば、国内での現場運用を重視するならSamsara、グローバル連携や既存システムとの統合を重視するならGeotab、広域対応と通信品質を求めるならVerizon Connectが最適です。

FMS導入の成功事例

FMS(フリート管理システム)は、単なる車両の位置管理ツールではなく、業務効率化・安全性向上・環境対応・コスト最適化など、複合的な課題を解決する戦略的ツールとして注目を集めています。

ここでは、実在する海外の物流・運輸関連企業がFMSを導入した事例を2つ紹介します。

【事例】Enterprise Fleet Management(北米・車両リース会社)

出典:efleets.com

導入背景:
米国を拠点とする車両リース大手「Enterprise Fleet Management」は、65万台を超える保有車両を対象に、車両のEV(電気自動車)化を戦略的に進める必要がありました。

導入内容:
Geotabの「EV Suitability Assessment(EVSA)」機能を活用し、約91,000台の車両の走行データや業務内容を分析し、どの車両をEV化すべきかをデータで可視化しました。

導入効果:
EV化可能な車両13%抽出(1.2万台以上)
・CO₂排出量を年間1,940万トン削減可能と試算
最大3,300万ドルのコスト削減が見込まれる

Geotabの分析ツールを活用することで、同社は長期的なEV導入戦略を策定。環境対応と経済合理性の両立を実現しました。

【事例】Choptank Transport(米・中堅物流企業)|Samsara導入

出典:choptanktransport.com

概要:米国メリーランド州を拠点に冷凍・冷蔵物流を手がけるChoptank Transportは、約300台の車両を運用する中堅企業。ドライバーの行動管理や品質維持、事故リスク低減に課題を抱えていました。

導入内容:
Samsaraの360° AIドラレコ(CMシリーズ)リアルタイムGPSトラッキング温度&ドア開閉センサーを全車両に搭載し、クラウドダッシュボードで集中管理する体制を構築しました。

導入効果:
・危険運転事象が前年比70%減少(急ブレーキ・速度超過)
・貨物温度逸脱による品質クレームが年間20件から5件に減少
・保険請求コストが年間約12万ドル削減(事故事例の証拠映像による対応効果)
・管理者工数が30%削減 ダッシュボードで即時確認・レポート生成が可能

リアルタイムに車両状態を可視化できるようになったことで、安全運転の意識がドライバーに定着し、事故や温度管理ミスといったヒューマンエラーが激減。管理業務の効率化により、従来かかっていた事務工数も大幅に軽減されました。

Choptank Transportは、Samsaraのダッシュカムやセンサー機能を通じて「安全・品質・コスト」の三軸において明確な改善効果を実現した中堅物流企業の代表例です。

FMS導入までのステップ

これまで、フリート管理システム(FMS)の主な機能や代表的な製品、導入事例を見てきました。
ここでは、実際に導入を検討する際の進め方について、段階的に整理します。

ステップ①:自社の課題と目的を明確にする

まずは「なぜ導入するのか」「どの業務に効果を出したいのか」を明確にします。
以下のような課題を抱えている場合は特に、FMSの導入がおすすめです。

・労働時間の管理が煩雑で、36協定遵守が難しい
・事故が多く、安全管理を強化したい
・燃料費や保守コストが増加している
・配送品質や温度管理などのクレームが絶えない

このような課題の「どれにFMSが効くのか」を可視化しておくことで、製品選定や導入後の効果測定がしやすくなります。

ステップ②:製品選定と比較

目的や課題が明確になったら、次は製品を実際に選んでいく段階です。Geotab、Samsara、Verizon Connectなどの実績のある製品を比較し、自社の車両台数、業務特性、管理体制に合ったものを選びましょう。

選定時には以下の点を必ず確認しておくと安心です。

・リアルタイムGPS、ドラレコ、IoT連携などの機能が必要十分か
・クラウド対応・スマホ操作など、現場での使いやすさ
・データの蓄積・レポート・AI解析の柔軟性
・コスト構造(初期費用・月額・オプション)
・日本語サポート・導入実績・アフター対応

ステップ③:導入は少ない台数から

いきなり全車両に導入するのではなく、まずは10台〜20台のお試し導入から始め、実際の運用感や現場の反応を確認するのがおすすめです。

お試し期間中には、以下の3つのポイントを確認しておくようにしましょう。

①操作性・・・現場スタッフが無理なく使えるか
②効果実感・・・燃費改善やヒヤリハット削減など、可視化できる成果があるか
③サポート・・・トラブル時にすぐ対応してもらえるか

ステップ④:全社展開と活用の定着

トライアル結果を踏まえて、段階的に全社展開へ。導入後も、社内マニュアルの整備・データ活用の教育などを通じて「使いこなせる文化」を作っていくことが大切です。

また、FMSのデータは単なるモニタリングだけでなく、営業戦略・人材評価・コスト管理など、経営判断の基盤としても活用できます。

まとめ:今こそFMS導入のタイミング

2024年問題を契機に、物流・運輸業界ではこれまで以上に運行管理の効率化やコンプライアンス対応が求められています。FMSは、そのニーズに応える有効な手段の一つです。

自社の業務課題に対し、どの機能がどこまで活用できるのかを整理しながら、段階的な導入を検討することが現実的なアプローチといえるでしょう。

まずは情報収集や、小規模なテスト導入から始めてみることで、具体的な効果や現場との適合性を把握しやすくなります。長期的な視点で運用を見据えた判断が重要です。

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