テレワークの普及や情報漏洩リスクの高まりにより、法人向けVPNの導入は企業にとって重要な課題となっています。
しかし、いざ導入を検討し始めると、以下のような悩みに直面する方が多いのではないでしょうか。
「そもそもVPNとは何かわかっていない」
「自社に本当に必要か判断できない」
「価格や導入コストが不明で、費用対効果が見えない」
「種類が多くてどれを選べばよいか分からない」
「セキュリティや運用面での不安がある」
本記事では、法人向けVPNの必要性やメリット、種類ごとの違い、比較ポイント、さらには導入における注意点とその対策まで、導入を検討するうえで押さえておきたい情報を網羅的に解説します。
VPNの基礎知識についてはこちらの記事をご覧ください▽
参考記事:VPNとは?基本の仕組みから企業導入のメリット・選び方まで初心者向けに解説
なぜ今、企業にVPN導入が求められているのか

近年、企業のネットワーク環境を取り巻く状況は大きく変化しています。
働き方の多様化、クラウドサービスの利用拡大、そしてサイバー攻撃の巧妙化といった要因を背景に、「通信の安全性」を確保する手段としてVPNの重要性が改めて見直されています。
この章では、法人VPNの導入が求められている理由について詳しく解説していきます。
テレワーク・クラウド活用の常態化
コロナ禍以降、テレワークは一時的な対応ではなく、企業の業務形態として定着しつつあります。
同時に、Google WorkspaceやMicrosoft 365、クラウド型の業務システムなどを活用する機会も増え、業務環境は「社内ネットワークに閉じる」時代から「インターネット経由で柔軟にアクセスする」時代へと移行しました。
このような変化の中で、業務でやり取りされる情報が社外へと拡散しやすくなり、通信経路の安全性がかつて以上に問われるようになっています。
VPNは、社外から社内環境やクラウドサービスへ安全にアクセスするためのセキュアな経路を提供する手段として、必要不可欠な存在となっています。
情報漏洩・サイバー攻撃のリスク増加
IPA(情報処理推進機構)の調査によれば、過去3期にサイバーインシデントに遭った中小企業では、平均被害額が73万円、さらに9.4%が100万円以上の被害を受けています。
さらに警察庁の調査によると、ランサムウェアによる被害件数が中小企業で37%増加しており、事業継続計画という観点からも、今、対策としてVPN導入などのセキュリティ強化が益々求められています。
これは、セキュリティ対策が手薄になりやすい中小規模の組織が、攻撃者にとって「狙いやすい標的」と認識されていることを示しています。
VPNは、通信内容を暗号化することで、外部からの盗聴や改ざんを防ぎ、社内ネットワークや重要な業務データを守る有効な手段です。
リモートワークで従業員がさまざまな場所から接続する現在、従来のファイアウォールだけでは不十分であり、VPNの導入が“前提”として求められる状況になっています。
拠点間・現場間のセキュアな通信ニーズ
複数の営業所や店舗、工場などを持つ企業では、各拠点を接続して本社の業務システムやファイルサーバーにアクセスする必要があります。
このようなケースで通常のインターネット接続を利用すると、通信経路が不特定多数に開かれた状態となり、情報漏洩のリスクが高まります。
VPNを活用すれば、拠点間をあたかも1つの社内ネットワークのように仮想的に接続できるため、セキュリティを確保しながら効率的な業務連携を実現できます。
専用線に比べて導入・運用コストが大幅に抑えられる点も、限られたIT予算で運用する企業にとって大きなメリットです。
VPNとは?法人に最適化された仕組みを解説
VPNという言葉自体は広く知られるようになりましたが、実際にどのような仕組みで通信を保護しているのか、法人での活用においてはどんな違いやメリットがあるのか、正確に理解している方は多くありません。
ここでは、VPNの基本構造から法人向けならではの特徴、さらに主要な3つのVPN方式についてわかりやすく整理して解説します。
VPNの基本:仮想専用線による通信暗号化
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット上に仮想的な専用回線を構築し、安全にデータを送受信できる仕組みです。第三者に通信内容が見えないように暗号化されたトンネルを通じて、社内ネットワークや業務システムにアクセスできるようになります。
この仕組みにより、社外からでもまるで社内にいるかのように業務が行えるほか、情報漏洩や改ざんのリスクを大幅に低減できます。特に、Wi-Fiや公衆ネットワークを利用する場合には、VPNを通すことで通信の安全性が確保されます。
法人VPNの特徴:個人利用との違い

VPNという言葉は、すでに多くの人に知られています。たとえば、個人で海外の動画配信サービスを利用する目的や、公共Wi-Fiでのプライバシー保護などがその代表例です。
しかし、法人でVPNを導入する場合には、こうした用途とはまったく異なる要件や設計思想が求められます。セキュリティ、運用の継続性、ユーザー管理、通信品質など、企業活動の基盤として信頼できる通信環境を構築する必要があるためです。
以下の表では、実際にVPNを選定・導入する際に押さえておきたい観点に絞って、個人VPNと法人VPNの違いを整理しています。
項目 | 個人VPN | 法人VPN |
---|---|---|
想定ユーザー | 個人(1人〜数人) | 複数部署・社員全体を想定 |
主な用途 | 地域制限回避、プライバシー保護 | 社内システムへの安全なアクセス |
導入形態 | ユーザーが個別に契約・設定 | 企業単位で一括契約・管理 |
通信速度・安定性 | 回線の混雑により不安定になりやすい | 業務に耐えうる通信品質を確保 |
アクセス制御 | 制御不可/全ユーザー同一権限 | IP単位・ID単位で制御可能 |
ログ・監査対応 | 基本的に非対応 | 接続ログ・操作ログを取得・保存可能 |
サポート体制 | メール対応中心、即応不可 | 専用サポート窓口・障害時の復旧支援あり |
このように、法人VPNは単に「安全な接続を確保するツール」ではなく、業務の継続性・統制・セキュリティポリシーの担保まで含めた総合的なインフラとして設計されています。
導入を検討する際は、単純な価格や利便性だけでなく、「誰が使い、何にアクセスし、どのように管理するのか」という視点で選定することが重要です。
VPNの種類:IP-VPN、インターネットVPN、SSL-VPNの違い
一口に「法人向けVPN」といっても、実際には複数の方式が存在します。それぞれ、通信の仕組みやセキュリティの強度、導入コスト、運用のしやすさなどが大きく異なるため、自社に合った方式を見極めることが重要です。
VPNの種類を大きく分けると、以下の3つが主流です。
・IP-VPN
・インターネットVPN
・SSL-VPN
それぞれにメリット・デメリットがあるため、以下の比較表を参考に、自社の導入目的や利用シーンに適した方式を選ぶようにしましょう。
項目 | IP-VPN | インターネットVPN | SSL-VPN |
---|---|---|---|
接続方式 | 通信キャリアの閉域網を使用 | インターネット回線を使用(IPsecなどで暗号化) | ブラウザ経由で接続(SSL/TLSを使用) |
セキュリティ | 非常に高い(外部に一切出ない) | 暗号化により安全性は高いが、通信路は公開網 | ユーザーごとの認証と暗号化で安全性を確保 |
通信品質 | 非常に安定・高品質 | インターネット混雑の影響を受けやすい | 利用環境によりやや不安定 |
コスト | 高額(専用線契約が必要) | 比較的安価(既存の回線を活用可能) | 低コスト(ソフトウェアベースで導入可能) |
導入・ 運用 | 構築に時間がかかる/専門知識が必要 | 導入しやすく拠点追加も柔軟 | ソフトウェア設定で簡単導入/BYODにも対応 |
向いている用途 | 本社と支店を恒常的につなぐ | 複数拠点間の通信、出張先からの接続 | テレワーク、モバイル・外部端末の一時接続 |
適した 企業規模 | 中堅〜大企業 | 中小企業〜大企業 | 小規模事業者〜中堅企業 |
それぞれのVPN方式には明確な特徴があり、利用シーンに応じて適した選択肢が異なります。
以下に、代表的な3方式の活用イメージを整理します。
■ IP-VPN:
通信キャリアが提供する閉域網を利用する方式で、セキュリティ・通信品質ともに非常に高いのが特徴です。本社と支店、あるいは工場間で業務システムを常時連携させるようなケースに適しています。構築・維持にコストはかかりますが、安定した接続が求められる中堅〜大企業で導入されています。
■ インターネットVPN:
既存のインターネット回線を活用しつつ、IPsecなどで暗号化を行うことで安全性を確保する方式です。初期投資が比較的少なく、拠点追加にも柔軟に対応できるため、事業拡大中の企業や、多拠点展開している中小企業にとって扱いやすい選択肢です。
■ SSL-VPN:
Webブラウザや専用アプリを通じて、社内ネットワークへ一時的に安全にアクセスする方式です。テレワーク中の従業員や、営業・サポート職の外出先からの接続に最適です。BYODや短時間接続にも対応しやすく、近年ニーズが急増しています。
導入目的が不明確なまま方式を選んでしまうと、「必要以上に高コストだった」「セキュリティ要件を満たせなかった」などのトラブルにつながる可能性があります。用途・頻度・接続環境をよく整理したうえで、最適な方式を選びましょう。
法人VPN導入のメリット

法人向けVPNの導入には、セキュリティ強化から業務効率化まで幅広い利点があります。特に、働き方の多様化やクラウド利用の拡大が進む現在、その効果は一層大きくなっています。
代表的なメリットは以下の通りです。
・通信の暗号化による情報保護
・場所を問わない業務環境の実現
・拠点間ネットワークの統合
・法令・契約要件への対応
・クラウド利用の安全性向上
順番に解説していきます。
通信の暗号化による情報保護
法人VPNは、データの送受信経路を暗号化し、第三者による盗聴や改ざんを防ぎます。これにより、公共Wi-Fiや外部ネットワークを利用する場合でも、顧客情報や社内資料を安全にやり取りできます。
情報漏洩リスクを最小限に抑えることは、信頼性の高い業務運営に直結します。
場所を問わない業務環境の実現
社内と同等の作業環境に外部から安全にアクセスできるため、在宅勤務や出張中でも業務を継続できます。移動や勤務場所の制約が減ることで、業務の柔軟性が高まり、人材の確保や生産性向上にもつながります。
拠点間ネットワークの統合
本社・支店・工場など、複数拠点を仮想的な専用線で接続し、安全にデータを共有できます。リアルタイムで在庫管理や受発注処理を行えるため、業務フローが効率化し、全社的な情報共有がスムーズになります。
法令・契約要件への対応
暗号化通信を確保することで、個人情報保護法や業界固有のセキュリティ基準に対応しやすくなります。また、取引先からVPN経由のアクセスを条件とされる場合にも、スムーズに要件を満たすことができます。これにより、ビジネスチャンスを逃すリスクを減らせます。
クラウド利用の安全性向上
業務で利用するクラウドサービスへのアクセスを安全な経路に限定でき、不正アクセスや情報漏洩のリスクを軽減します。これにより、利便性とセキュリティを両立しながら、クラウド活用の幅を広げることが可能になります。
以上のように、法人VPNはセキュリティ対策としてだけでなく、業務効率や柔軟な働き方の実現にも大きく寄与します。
【タイプ別】法人向けVPNおすすめサービス徹底比較
法人向けVPNと一口に言っても、接続形態や用途によって最適なタイプは大きく異なります。
たとえば、全国に拠点を持つ企業と、在宅勤務が中心の企業とでは、必要とするVPNの種類や機能がまったく違います。誤った選択をすると、コストや運用負担が増えるだけでなく、セキュリティや業務効率にも影響を及ぼしかねません。
ここでは、IP-VPN・インターネットVPN・SSL-VPNの3種類に分けて、それぞれの特徴とおすすめサービスを紹介します。
おすすめIP-VPNサービス2選
IP-VPNは、インターネットを経由せず専用の閉域網で通信を行う方式です。高いセキュリティと安定性を確保できるため、金融機関や製造業など、機密性の高いデータを扱う企業で多く採用されています。
ここでは、数あるIP-VPNサービスの中から特に信頼性と導入実績に優れたおすすめサービスを紹介します。
企業向け高信頼性VPN「NTTドコモビジネス Arcstar Universal One」
Arcstar Universal Oneは、NTTドコモビジネスが提供する法人向け高品質VPNサービスです。
クラウドサービスからネットワークまでワンストップで提供し、24時間365日の監視体制により、ミッションクリティカルな業務にも対応できます。
さまざまなクラウドとの閉域接続やモバイルアクセスまで、企業のデジタル変革を支援する包括的なソリューションです。
≪Arcstar Universal Oneの特徴≫
☑ Six9(99.9999%)の高稼働率を実現
☑ 7項目のSLA(サービス品質保証)
☑ 主要クラウドサービスと閉域接続対応
項目 | 内容 |
---|---|
料金 | 詳細は公式サイトで確認 (回線帯域・拠点数により変動) |
契約期間 | サービスにより異なる |
稼働率 | プレミアムプラン:Six9(99.9999%) 年間故障時間40秒未満 |
バックボーン | 国内100Gbpsの大容量 完全二重化構成 |
アクセス回線 | ギャランティアクセス(帯域保証型) ベストエフォート回線(IPoE方式対応) モバイルアクセス対応 |
クラウド接続 | AWS、Microsoft Azure、Google Cloud IBM Cloud、Oracle Cloud等と閉域接続 |
セキュリティ | vUTM(クラウド型セキュリティ) 標的型攻撃メール対策 Webアクセス制御 |
SLA | 7項目のサービス品質保証 (稼働率・故障回復時間・遅延時間等) |
サポート | 24時間365日監視 ワンストップ保守対応 |
Arcstar Universal Oneでは、企業規模や業務要件に応じた柔軟な構成が可能です。
「Flexible InterConnect」により主要クラウドサービスとの閉域接続を実現し、マルチクラウド環境を安全かつ効率的に構築できます。
また、アクセス回線の二重化が標準装備されており、業務継続性を重視する企業に最適です。
導入から運用まで「Professional Support Service」によるトータルサポートを受けることができるため、確実性と安心感を重視する企業におすすめのVPNサービスです。
グローバル展開に最適「KDDI Global IP-VPN」
KDDI Global IP-VPNは、海外拠点を持つ企業向けに設計された法人向けグローバルVPNサービスです。
国際IP-VPN網へのアクセスだけでフルメッシュ型のグローバルネットワークを容易に構築でき、全世界190以上の国や地域でサービス提供しています。
MPLS技術を利用したセキュアで高品質なIPネットワークにより、海外展開企業のビジネス成長を支援します。
≪KDDI Global IP-VPNの特徴≫
☑ 全世界190以上の国や地域で利用可能
☑ MPLS技術による高速・高品質通信
☑ 24時間365日の多言語サポート
項目 | 内容 |
---|---|
料金 | 詳細はお問い合わせください (拠点数・帯域により変動) |
対応エリア | 全世界190以上の国や地域 (IP-SEC接続・国際専用線含む) |
ネットワーク構成 | フルメッシュ型グローバルネットワーク エンド・ツー・エンドでKDDIが一元管理 |
技術方式 | MPLS技術による高速スイッチング ラベル情報でセキュア通信を実現 |
品質保証 | SLA(Service Level Agreement)対応 お客さまのご要望により設定 |
冗長化 | 伝送ケーブルの冗長化対応 複数ケーブルルートによるバックアップ |
サポート | 24時間365日の障害受付 日本語・英語・現地語対応 |
契約形態 | 日本契約・海外現地契約に対応 お客さまの事業体制に合わせて選択可能 |
拡張性 | 拠点追加・回線増速が容易 ビジネス展開に合わせた柔軟な拡張 |
KDDI Global IP-VPNでは、メッシュ型通信に適したコスト効率の良い料金体系を採用しており、通信コストの大幅な削減を実現します。
また、拠点の追加や回線増速などのネットワーク拡張も容易に行えるため、急速な海外展開にも対応できます。
さらに、KDDIが全世界のネットワークを一元管理することで、複数ベンダーとの煩雑な調整が不要となり、運用負荷の軽減を図れます。
海外拠点との安定した通信品質と、現地スタッフによる多言語サポートにより、グローバル展開を積極的に進める企業におすすめのVPNサービスです。
おすすめインターネットVPNサービス2選
インターネットVPNは、既存のインターネット回線を活用してセキュアな通信を実現できる方式であり、コスト効率や柔軟性に優れている点が特長です。導入ハードルが低く、拠点数の多い中小企業や急な拠点追加が必要な場合にも対応しやすい選択肢です。
以下では、その中から導入のしやすさや運用サポートの観点でおすすめのサービスを紹介します。
簡単導入のインターネットVPN「NTTPC InfoSphere®ダイナミックVPN」
InfoSphere®ダイナミックVPNは、NTTPCが提供する従来のインターネットVPNの弱点を克服した先進的なVPNソリューションです。
独自の「アクティブスタートアップ」機能により設定作業が不要で、VPN技術者がいない企業でも容易に導入できます。
InfoSphereのインターネット接続サービスとマネージドルータを組み合わせ、技術力の高いエンジニアがVPN構築をサポートする安心のサービスです。
≪InfoSphere®ダイナミックVPNの特徴≫
☑ 設定不要の「アクティブスタートアップ」機能
☑ Cisco製ルータによる高品質VPN構築
☑ フルメッシュ型VPN(Spoke-to-Spoke)対応
項目 | 内容 |
---|---|
料金 | 詳細はお問い合わせください ※インターネット接続サービス+ルータレンタル料金 |
最低利用期間 | 利用開始月を含めた翌月から24ヶ月後の月末 |
導入方式 | アクティブスタートアップ機能 お客さま作業:ケーブル接続と電源投入のみ |
利用ルータ | シスコシステムズ社製「Cisco 891FJ」 マネージドルータとしてレンタル提供 |
VPN構成 | センター経由(Hub-to-Spoke) フルメッシュ型(Spoke-to-Spoke)対応 |
対応回線 | フレッツ光、フレッツ・ADSL NTT東西の専用線接続も対応 |
技術サポート | 技術力の高いエンジニアによる 構築・運用サポート |
保守・運用 | マネージドルータサービス 機器設定・保守をNTTPCが実施 |
セキュリティ | インターネットVPN暗号化通信 拠点間通信のセキュリティ強化 |
InfoSphere®ダイナミックVPNでは、従来のセンター経由(Hub-to-Spoke)に加え、拠点間での直接通信が可能なフルメッシュ型VPN(Spoke-to-Spoke型)を構築できます。
これにより通信効率の向上とトラフィック分散を実現できます。
また、複数拠点・追加拠点への導入時も作業員の拠点訪問が不要なため、大幅なコスト削減とスピーディな導入を同時に実現します。
VPN専門技術者がいない中小企業や、コストパフォーマンスを重視してインターネットVPNを導入したい企業におすすめのサービスです。
クラウド時代に最適「ソフトバンク SmartVPN」
SmartVPNは、ソフトバンクが提供するクラウドサービスとの親和性が高い次世代VPNサービスです。
自由度の高いレイヤ2プランとIPルーティング機能性が高いレイヤ3プランに対応し、各種ホワイトクラウドサービスとのシームレスな接続が可能です。
Web管理画面からの帯域設定変更や保守運用の一元化により、運用負荷の軽減を実現します。
≪SmartVPNの特徴≫
☑ クラウドサービスとの高い親和性
☑ 4種類のアクセス回線タイプから選択可能
☑ Web管理によるセルフサービス機能
項目 | 内容 |
---|---|
料金 | 詳細はお問い合わせください ※プラン・帯域により変動 |
アクセス回線 | ギャランティタイプ(帯域保証) ベストエフォートタイプ スピードタイプ(バースト機能付き) バリュータイプ(バースト機能付き) |
接続方式 | レイヤ2プラン(自由度重視) レイヤ3プラン(IPルーティング対応) |
クラウド連携 | 各種ホワイトクラウドサービスと シームレス接続対応 |
無料提供サービス | ビジュアモールスマートカタログ インターネットVPNアクセス PrimeDrive(500MB) |
管理機能 | SmartVPN Web 帯域設定・変更をWeb画面から実施 |
API連携 | 契約情報・論理設定情報等を APIで公開・連携可能 |
QoS機能 | アクセスQoS機能 VoIP等の特定フレーム優先制御 |
保守・サポート | 保守運用のお問い合わせ一元化 障害・メンテナンス情報提供 |
SmartVPNでは、ギャランティタイプ・ベストエフォートタイプに加え、ソフトバンク独自のバースト機能を有したスピードタイプ・バリュータイプの4種類から最適な回線を選択できます。
スピードタイプは上り通信重視、バリュータイプは下り通信重視の設計で、用途に応じた最適化が可能です。
また、VLAN多重サービスにより複数の閉域でアクセス回線を共有でき、コスト効率の向上を図れます。
クラウドファーストなワークスタイルを推進し、ICT基盤をクラウド集約したい企業や、柔軟な帯域変更とセルフサービス運用を重視する企業におすすめのVPNサービスです。
おすすめSSL-VPNサービス2選
SSL-VPNは、Webブラウザや専用アプリを通じて、安全かつ簡単にリモートアクセスを実現できる方式です。初期設定や導入のしやすさに加え、アクセス制御にも柔軟に対応できるため、テレワーク中心の環境やBYOD運用を想定する企業に適しています。
ここでは、信頼性と導入実績のあるサービスを厳選して2種類紹介します。
ゼロトラスト対応SSL-VPN「Ivanti Connect Secure」
Ivanti Connect Secureは、業界で最も広く採用されているSSL-VPNソリューションです。
シームレスでコスト効率の高いSSL VPNソリューションにより、リモートユーザーやモバイルユーザーが、いつでも、どこでも、あらゆるWeb対応デバイスから企業リソースへ安全にアクセスできます。
ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)への段階的移行も可能で、現在のゲートウェイを置き換えることなく最新のセキュリティモデルに対応できます。
≪Ivanti Connect Secureの特徴≫
☑ 業界最広採用のSSL-VPNソリューション
☑ ゼロトラストネットワーク対応
☑ Always-onタイプのシームレス接続
項目 | 内容 |
---|---|
料金 | 詳細はお問い合わせください (ライセンス数・機能により変動) |
接続方式 | SSL-VPN(IPsec不要) Always-on SSL VPN対応 |
対応デバイス | あらゆるWeb対応デバイス Windows、Mac、iOS、Android |
クライアント | Ivanti Secure Accessクライアント ブラウザベースアクセス対応 |
認証機能 | シングルサインオン(SSO) 多要素認証(MFA)対応 |
セキュリティ | エンドポイントセキュリティ統合 デバイスヘルスチェック機能 |
ゼロトラスト | ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス) 段階的移行サポート |
管理機能 | 一元的なポリシー管理 詳細なアクセス制御 |
可用性 | 高可用性クラスタリング対応 負荷分散機能 |
Ivanti Connect Secureでは、G2.com でSDP(ソフトウェアデファインドペリメーター)カテゴリにおいてハイエストユーザーアダプション賞を獲得するなど、ユーザーからの高い評価を受けています。
また、エンタープライズ ゼロトラスト ネットワーキングカテゴリでエンタープライズ リーダー賞も受賞しています。
さらに、BYOD(Bring Your Own Device)環境での安全な接続や、ランサムウェア感染端末の社内ネットワーク侵入防止機能により、セキュリティリスクを大幅に軽減できます。
リモートワーク環境の拡充とセキュリティ強化を両立させたい企業や、ゼロトラストセキュリティモデルへの移行を検討している企業におすすめのSSL-VPNソリューションです。
中小企業特化の低価格IP-VPN「日本通信ネットワーク FLESPEEQ VPN」
FLESPEEQ VPNは、日本通信ネットワークが中小企業向けに特化して提供するIP-VPNサービスです。
業界最安値級の月額9,800円(税抜)~のオールインワンパッケージで、アクセス回線からルータまでセットで提供します。
通信キャリアの閉域網内にVPNを構築するIP-VPN方式により、インターネットの不安定さやセキュリティリスクに影響されない安定した通信を実現します。
≪FLESPEEQ VPNの特徴≫
☑ 業界最安値級の月額9,800円~(税抜)
☑ IPoE方式による高速・低遅延通信
☑ 中小企業特化のワンストップサービス
項目 | 内容 |
---|---|
月額料金(税抜) | 9,800円~ ※ご契約内容により変動 |
パッケージ内容 | IP-VPN+アクセス回線+ルータ オールインワンパッケージ |
通信方式 | IPoE(IP over Ethernet)方式 網終端装置を経由しない直接接続 |
ネットワーク構成 | 通信キャリアの閉域網内VPN構築 インターネットから完全隔離 |
セキュリティ | ルーター側認証情報設定 第三者接続防止機能 |
対象企業 | 中小企業向け特化設計 情シス担当者不在でも安心 |
オプションサービス | クラウド型UTM機能 AWS・Azureダイレクト接続 リモートアクセスサービス |
サポート体制 | ヒアリングから設計・構築・運用 保守・業者間調整まで対応 |
導入実績 | ITトレンド2023年上半期 VPN部門ランキング1位 |
FLESPEEQ VPNでは、IPoE(IP over Ethernet)方式を採用し、網終端装置を経由しない直接接続により、高品質な高速・低遅延通信を実現します。
また、豊富なオプションサービスとして、クラウド型UTMを経由したインターネット接続やAWS・Azureとのダイレクト接続なども利用可能です。
さらに、「ネットワークに詳しい人が社内にいない」という中小企業でも安心して導入できるよう、ヒアリングから設計・構築・運用・保守まで、すべてワンストップでサポートします。
ITトレンド2023年上半期VPN部門で1位を獲得した実績もあり、コストを抑えながら高品質なIP-VPN環境を構築したい中小企業におすすめのサービスです。
VPNサービス比較表
ここでは、紹介した6つのVPNサービスを、接続方式別に分けて主要項目で比較しました。
IP-VPN方式
項目 | NTTドコモビジネス Arcstar Universal One | KDDI Global IP-VPN |
---|---|---|
料金面 | × 高額(大企業向け) | × 高額(大企業向け) |
導入の手軽さ | × 複雑な構築プロセス | × 複雑な構築プロセス |
通信品質 | ○ Six9(99.9999%)稼働率 | ○ MPLS技術で高品質 |
セキュリティ | ○ 閉域網で最高レベル | ○ 閉域網で最高レベル |
拡張性 | ○ 柔軟な拡張対応 | ○ 容易な拠点追加 |
グローバル対応 | △ 国内中心 | ○ 190以上の国・地域 |
サポート体制 | ○ 24時間365日・日本語 | ○ 24時間365日・多言語 |
クラウド連携 | ○ 主要クラウドと閉域接続 | △ 基本的な接続対応 |
中小企業適性 | × 予算・規模的に困難 | × 予算・規模的に困難 |
IP-VPN方式の特徴
- メリット:最高レベルのセキュリティと通信品質、安定性
- デメリット:高コスト、複雑な構築・運用
- 適用企業:大企業、金融機関、高セキュリティが必要な組織
インターネットVPN方式
項目 | NTTPC InfoSphere ダイナミックVPN | 日本通信ネットワーク FLESPEEQ VPN |
---|---|---|
料金面 | △ 中程度(要問合せ) | ○ 9,800円~と格安 |
導入の手軽さ | ○ アクティブスタートアップで簡単 | ○ オールインワンで簡単 |
通信品質 | △ インターネット品質に依存 | ○ IPoE方式で高品質 |
セキュリティ | △ 暗号化VPNレベル | △ 暗号化VPNレベル |
拡張性 | ○ 拠点追加が容易 | ○ 拠点追加が容易 |
グローバル対応 | × 国内のみ | × 国内のみ |
サポート体制 | ○ 技術者による充実サポート | ○ ワンストップサポート |
クラウド連携 | △ 基本的な接続対応 | ○ AWS・Azure直接接続 |
中小企業適性 | ○ 技術者不要で適している | ○ 中小企業特化設計 |
インターネットVPN方式の特徴
- メリット:コストパフォーマンス、導入の手軽さ
- デメリット:インターネット品質に依存、セキュリティレベル
- 適用企業:中小企業、コスト重視の組織
SSL-VPN方式
項目 | Ivanti Connect Secure | ソフトバンク SmartVPN |
---|---|---|
料金面 | × 高額(要問合せ) | △ 中程度(要問合せ) |
導入の手軽さ | △ 設定・運用に専門知識必要 | ○ Web管理で簡単 |
通信品質 | △ インターネット品質に依存 | ○ 4種類の回線から選択可能 |
セキュリティ | ○ ゼロトラスト対応 | △ VPNレベル |
拡張性 | ○ デバイス・ユーザー追加容易 | ○ 帯域変更が容易 |
グローバル対応 | ○ 世界中のデバイスから接続 | × 国内中心 |
サポート体制 | ○ エンタープライズレベル | ○ 一元化されたサポート |
クラウド連携 | ○ 各種クラウドサービス対応 | ○ ホワイトクラウド連携 |
中小企業適性 | × 予算・運用面で困難 | △ 中規模企業向け |
SSL-VPN方式の特徴
- メリット:リモートアクセスに最適、デバイスフリー
- デメリット:拠点間接続には不向き
- 適用企業:リモートワーク重視の企業、BYOD環境
総合評価サマリー
企業規模や利用目的によって最適なVPNサービスは異なります。ここでは、コストパフォーマンス、セキュリティ・品質、柔軟性といった観点から総合的に評価し、それぞれの利用シーンに応じたおすすめサービスを整理しました。
コストパフォーマンス重視
- FLESPEEQ VPN(インターネットVPN)- 中小企業に最適
- InfoSphere ダイナミックVPN(インターネットVPN)- 技術者不要
高セキュリティ・高品質重視
- Arcstar Universal One(IP-VPN)- 国内最高レベル
- KDDI Global IP-VPN(IP-VPN)- グローバル展開企業向け
リモートワーク・柔軟性重視
- Ivanti Connect Secure(SSL-VPN)- ゼロトラスト対応
- SmartVPN(SSL-VPN)- クラウド連携重視
企業規模別推奨
小規模企業(~30名)
- 第1位:FLESPEEQ VPN
- 第2位:InfoSphere ダイナミックVPN
中規模企業(30~200名)
- 第1位:SmartVPN
- 第2位:FLESPEEQ VPN
大企業(200名以上)
- 第1位:Arcstar Universal One
- 第2位:KDDI Global IP-VPN
企業の規模や導入目的によって、求められる通信品質やコストバランスは大きく変わります。
こちらを参考に、自社の業務形態や成長計画に合ったVPNを選定することで、より安全かつ効率的なネットワーク環境の構築を目指しましょう。
法人VPN導入の注意点

法人向けVPNは多くのメリットをもたらしますが、導入や運用にあたっては注意すべき点もあります。これらを事前に理解しておくことで、不要なトラブルやコスト増加を避けられます。以下に代表的な注意点を整理します。
想定以上の初期投資が必要
法人VPNの導入には、単純なライセンス費用以外にも多くのコストが発生します。
小規模企業(10-30名)の場合:50万円~150万円程度
・VPN対応ルーター:10-30万円
・セキュリティソフトライセンス:年間10-20万円
・設定・構築費用:30-100万円
中規模企業(50-200名)の場合:200万円~800万円程度
・専用VPNアプライアンス:50-200万円
・ネットワーク機器のアップグレード:50-150万円
・セキュリティソフト・管理ツール:年間50-100万円
・専門技術者による構築・設定費用:100-350万円
特に中小企業では、最も見落とされがちな専門技術者による設定・構築費用が全体コストの50%以上を占めることが多く、これらの初期コストが予算を大幅に超過するケースが多く見られます。
継続的な運用費用の負担
導入後も月額のVPNサービス利用料、定期的なセキュリティアップデート費用、機器の保守費用が継続的に発生します。また、従業員の増減に応じたライセンス調整費用も考慮が必要です。
年間運用費用として初期導入費用の30-50%程度を見込んでおくことが一般的です。
通信速度の低下リスク
VPN接続により、通常のインターネット接続と比較して通信速度が20-40%程度低下することが一般的です。これは暗号化処理やルーティングの複雑化によるものです。
特に大容量ファイルの送受信や動画会議が頻繁な業務では、この速度低下が業務効率に大きな影響を与える可能性があります。
接続の不安定性による業務への影響
インターネット回線の品質やVPNサーバーの負荷状況により、接続が不安定になるケースがあります。重要な商談中のオンライン会議で接続が切れる、クラウドサービスへのアクセスが突然不可能になるといった事態は、企業の信頼性に直結する問題となります。
冗長化されたVPNサービスの選択や、複数の接続経路の確保が重要となります。
継続的な管理体制が必要
ユーザーアカウントの管理、アクセス権限の設定・変更、ログの監視と分析、定期的なセキュリティ監査など、日常的な管理業務が継続的に発生します。
これらの業務を怠ると、セキュリティホールの発生や不正アクセスのリスクが高まるため、責任者の明確化と業務プロセスの確立が重要です。
端末側のセキュリティリスク
VPN接続により社内ネットワークへのアクセスが可能になる分、接続端末自体のセキュリティ対策がより重要になります。マルウェアに感染した端末からVPN経由で社内システムに侵入されるリスクが存在します。
特にBYOD(Bring Your Own Device)を許可している企業では、個人端末のセキュリティレベルを統一することが困難な課題となります。
関連記事:BYODとは?私用スマホの業務利用のメリットとリスクを徹底解説
紛失・盗難時のリスク管理
VPN接続が設定された端末の紛失・盗難が起こった場合、社内ネットワークへの不正アクセス経路を提供してしまう可能性があります。そのため、リモートワイプ機能の実装や、多要素認証の導入による対策が不可欠です。
また、退職者の端末からVPN設定を確実に削除する運用プロセスの確立も重要な課題となります。
法人VPNは、セキュリティ強化や業務効率化に大きく貢献しますが、その効果を最大化するにはコスト、運用体制、端末管理、接続品質など多角的な観点から準備を整えることが不可欠です。導入前に注意点を洗い出し、自社の規模や業務特性に合った設計と運用計画を立てることで、安全かつ安定したリモートアクセス環境を維持できます。
VPN導入後に実践できる運用・セキュリティ強化チェックリスト
VPNは導入して終わりではなく、継続的な運用管理とセキュリティ対策が欠かせません。
特に法人利用では、機密情報の保護や安定した通信環境を維持するため、日常的な監視や設定の見直しが必要です。
ここでは、導入後すぐに取り組める運用・セキュリティ強化策を、実践的なチェックリストとしてカテゴリ別に整理して紹介しています。
≪認証・アクセス管理≫
✅ パスワードは英大文字・小文字・数字・記号を含む12文字以上に設定する
✅ 多要素認証(MFA)を全ユーザー必須にし、管理者は物理キー(FIDO2など)を利用する
✅ 許可した端末以外は接続できないように端末証明書登録を行う
✅ 社外からの管理画面アクセスは固定IP制限で守る
✅ 一定時間操作がなければ自動ログアウト(アイドルタイムアウト)する設定にする
≪端末セキュリティ≫
✅ ノートPCやスマホはリモートワイプ機能+ディスク暗号化(BitLocker/FileVault)を有効化
✅ 私物端末(BYOD)は業務用アプリをコンテナ化し、コピーやスクショを制限する
✅ VPN接続前にOS・ウイルス対策ソフトの最新状態チェックを行う
≪ネットワーク・通信管理≫
✅ 通信は原則フルトンネルで経由させ、必要に応じてアプリ単位のスプリットトンネルを設定
✅ ピーク時の同時接続数+20%を目安に帯域と接続数の余裕を確保
✅ VPNゲートウェイや回線は冗長化(二重化)して障害時に備える
✅ ログは集中管理して1年以上保管し、異常検知アラートを設定
≪運用・監査体制≫
✅ 重要度の高い脆弱性は3日以内にパッチ適用するルールを作る
✅ アカウントと権限は四半期ごとに棚卸しし、不要なものは即削除
✅ 社外委託や一時利用者は期限付きアカウントでアクセス範囲を限定
✅ 年2回以上はインシデント対応訓練を実施する
✅ 新機能や設定変更は必ずテスト環境で検証してから本番適用
✅ 従業員にはフィッシング訓練やVPN利用ルールを毎年再周知する
VPNは導入して終わりではなく、日々の運用と細かなセキュリティ対策の積み重ねが安全性と快適性を保つ鍵です。認証管理・端末保護・ネットワーク設計・運用体制の4つの視点で継続的に見直しを行い、自社の利用状況に合わせたアップデートを怠らないことが、長期的な安心につながります。
まとめ
法人VPNは、拠点間やリモート環境での安全な通信を確保するための重要なインフラです。
本記事では、法人利用と個人利用の違い、VPNの種類ごとの特徴、導入のメリットと注意点、さらにおすすめサービスや導入後の運用・セキュリティ強化策までを解説しました。
自社の規模や利用目的に応じた適切なVPNを選び、導入後も継続的な管理・改善を行うことで、より安全で効率的なネットワーク環境を維持できます。
これからVPN導入を検討される方は、まずは自社の利用シーンと必要なセキュリティレベルを明確にし、比較表やチェックリストを活用して最適な選択を行いましょう。