スマートフォンやタブレットが生活の一部となった現代、通信環境を整えるために欠かせないのが「SIMカード」です。
しかし、一口にSIMカードといっても、データ通信専用SIMと音声通話SIMという2つの種類があり、それぞれに特徴や用途が異なります。「毎月の通信費を少しでも抑えたい」「タブレットで効率よくネットを使いたい」「緊急時のために通話も可能なSIMが必要かもしれない」など、選択肢が増える中で、自分のニーズに合ったSIMを選ぶことは決して簡単ではありません。
この記事では、データ通信専用SIMと音声通話SIMの違いを徹底解説し、それぞれのメリットやデメリット、どのようなシーンでどちらを選ぶべきかを詳しくお伝えします。
SIMカードとは?
SIMカードとは、スマートフォンやタブレットなどの通信端末で、インターネット通信や音声通話を利用するために必要な小型のICカードです。
契約者の情報や電話番号、通信プランなどが記録されており、携帯キャリアやMVNO(格安SIM事業者)のネットワークに接続する役割を果たします。
簡単に言えば、SIMカードは端末が「自分が誰で、どのプランに加入しているか」をキャリアに伝えるための身分証のようなものです。SIMカードを挿入することで、通話や、モバイルデータ通信を利用したりすることができるようになります。
また、最近では物理的なカードではなく、端末に内蔵された”eSIM”を使うことで、より柔軟に通信契約を切り替えられるケースも増えています。
要するに、SIMカードは通信サービスを利用する上で欠かせない「鍵」のような存在です。
データ通信専用SIMと音声通話SIM
スマートフォンやタブレットで利用するSIMカードには、大きく分けて「データ通信専用SIM」と「音声通話SIM」の2種類があります。それぞれが異なる特徴や用途を持っており、利用する目的やライフスタイルに応じて選ぶ必要があります。
データ通信専用sim
データ通信専用simとは、インターネット通信に特化したSIMのことを指します。
音声通話機能が付いていないため、電話番号を使った通話やSMSの送受信はできませんが、モバイルデータ通信を利用することができます。
主にタブレットやモバイルWi-Fiルーター、サブスマホなどで活用されることが多く、音声通話が不要な人に適しています。
データ通信専用SIMのメリット
データ通信専用SIMのメリットは主に以下の通りです。
・コストが安い
・契約が簡単
・使いみちが多様
順番に紹介していきます。
コストが安い
データ通信専用SIMは、音声通話機能がない分、月額料金が500~1000円ほど抑えられています。
利用するプランや契約によって違いますが、データ通信専用のSIMに通話定額オプションを付ける場合は、以下のようなコストの上がり幅です。
データ通信専用SIMは音声通話SIMに比べてコストを大幅に削減できるため、通信費を抑えたい場合や通話の必要がない場合は非常に魅力的な選択肢と言えます。
契約が簡単
データ通信専用SIMは、音声通話機能がない分契約手続きが比較的シンプルです。
多くの場合、オンラインで手続きが完結するので本人確認書類の提出が不要なケースもあります。これは、音声通話SIMが電話番号の割り当てや緊急通報機能を備えているため、細かい本人確認が必要になるのに対し、データ通信専用SIMではその必要がないためです。
手続きが簡単でスムーズに進むため、忙しい人や複雑な手続きを避けたい人にとって、データ通信専用SIMは非常に便利です。
使いみちが多様
データ通信専用SIMは、音声通話を必要としないさまざまなデバイスで幅広く活用できます。
例えば、タブレットやモバイルWi-Fiルーターに挿してインターネット環境を整えたり、サブスマホに利用してデータ通信専用の端末として活用することも可能です。
また、通話が必要な場合でも、LINEやSkypeなどのインターネット通話アプリを使えば代替できるため、音声通話機能がなくても意外と困らないケースが多いです。
データ通信専用SIMのデメリット
一方で、データ通信専用SIMにはデメリットもあります。
・音声通話が利用できない
・ SMS認証が利用できない場合がある
詳しく解説していきます。
音声通話が利用できない
データ通信専用SIMは、音声通話機能を持たないため通常の電話番号を使った通話ができません。
例えば、緊急通報(110や119)や固定電話への発信が必要な場合でも、通話アプリでは対応できないため、別途音声通話SIMや固定電話が必要になることがあります。
LINEやSkypeなどのインターネット通話アプリを活用する方法がありますが、通話相手もアプリを利用している必要があり、通話品質がインターネット接続に左右される点には注意が必要です。
SMS認証が利用できない場合がある
データ通信専用SIMでは、SMS機能が付いていない場合が多いため、SMS認証が必要なサービスが利用できないことがあります。そのため、特定のオンラインサービスやアプリでの登録がスムーズに進まないことがあります。
例えば、銀行口座の登録やSNSのアカウント作成時に、SMSを使った認証を求められるケースがよくあります。データ通信専用SIMでは、こうした手続きに支障が出ることがあります。
音声通話SIM
音声通話SIMは、電話番号を使った音声通話が可能なSIMカードのことを指します。
モバイルデータ通信だけでなく、通話機能やSMSの送受信機能が含まれており、スマートフォンの主要な用途をすべてカバーすることができます。
主に、通話を日常的に行う人や緊急時のために電話番号が必要な人向けのSIMです。
音声通話SIMのメリット
音声通話SIMのメリットは主に以下の通りです。
・1枚で全部できる手軽さ
・キャリアの付加価値サービスが利用可能
・国際ローミングが利用しやすい
それぞれを詳しく解説していきます。
1枚で全部できる手軽さ
音声通話SIMは、1枚のSIMカードで音声通話とデータ通信の両方を利用できるため、複数のSIMを管理する必要がありません。
通話専用SIMとデータ通信専用SIMを別々に使い分ける場合と比べて、支払い管理やデバイスの切り替えが煩雑になることもあります。
音声通話SIMなら、場合によってはスマートフォン1台で完結するため、手軽に利用できます。
キャリアの付加価値サービスが利用可能
また、音声通話SIMを提供する多くのキャリアでは、通話定額プランや特定アプリの無料通話サービス、家族割引などの付加価値サービスが利用できます。
キャリアメール(@docomo.ne.jp、@ezweb.ne.jpなど)が利用可能。これらのメールアドレスが必要な場面(特に日本国内では一部のサービス登録など)に対応できます。
さらに、キャリア特有のポイントプログラムや、家族間無料通話サービスなども活用できます。
国際ローミングが利用しやすい
音声通話SIMは、国際ローミング機能が標準で付いている場合が多く、海外旅行や出張時に便利です。
海外で現地SIMを購入する手間を省き、日本の番号をそのまま使えるため、緊急時や仕事での連絡がスムーズに行えます。
一部のキャリアでは、海外定額データプランも利用可能です。
音声通話SIMのデメリット
音声通話SIMのデメリットには以下が挙げられます。
・最低利用期間や違約金がある
・契約プランが複雑になりやすい
・通話品質がインターネット通話に劣る場合も
順次解説していきます。
最低利用期間や違約金がある
音声通話SIMは、多くのキャリアで最低利用期間が設定されている場合があり、早期解約には違約金が発生することがあります。
具体的に言えば、1年契約や2年契約を条件に割引を受けるプランでは、期間内に解約すると数千円~1万円程度の違約金がかかる場合があります。
いくつかの会社の音声通話SIMの例を挙げていきます。
キャリア | 最低利用期間 | 違約金 |
---|---|---|
LIBMO | 課金開始日より1年間 | 音声通話機能解除手数料(詳細は非公表) |
IIJmio | 利用開始月の翌月末日まで | 1,000円(不課税) |
BIGLOBEモバイル | 利用開始日から12ヶ月間 | 1,000円 |
契約プランが複雑になりやすい
音声通話SIMは、データ通信のプランだけでなく、通話のオプション(5分かけ放題、時間無制限かけ放題など)を選択する必要があるため、必要なプランをしっかり見極める必要があります。
ものによっては各プランの値段の差が大きいこともあるので、通話を利用する頻度や時間をしっかりと考えてから選ぶようにしましょう。
通話品質がインターネット通話に劣る場合も
音声通話SIMの通話品質は、通話エリアや回線の混雑状況によって通話の音声品質が変わることがあります。場合によってはインターネット通話よりも音質が劣る場合もあります。
キャリアによっては5Gや4G LTE回線上でのVoLTE(高品質音声通話)を利用しますが、エリアによっては古い3G回線に切り替わることがあります。
音声通話SIMの通話は専用回線を利用するものの、キャリアの回線が混雑している場合には接続が不安定になり、音声が途切れることがあります。
この点をよく考えて用途や希望に合わせたSIMを選ぶのがポイントです。
自分に合ったSIMを選ぶためのポイント
データ通信専用SIMと音声通話SIMの違いを理解したところで、自分に最適なSIMを選ぶためのポイントを詳しく解説します。
SIMの検討をするうえで、まずは以下の項目を確認してみましょう。
・利用目的を明確にする
・月額コストとプランを比較する
・利用するデバイスや環境
・利用期間の長さ
順番に見ていきます。
利用目的を明確にする
まずは、SIMをどのように使うかを考えましょう。
音声通話をほとんど使わず、インターネットさえ使えればよいという場合は、コストを抑えられるデータ通信専用SIMが最適です。
反対に、仕事やプライベートで電話を頻繁に使うなら音声通話SIMが最適です。特に緊急時の通話機能やSMS認証が必要な場合にはおすすめです。
月額コストとプランを比較する
通信費を節約したい場合は、SIMの月額料金やプラン内容をしっかりと比較しましょう。
データ通信専用SIMと音声通話SIMの月額利用料金の差は大体500~1000円程度の差があります。
加えて、音声通話SIMの場合は利用期間の縛りがある可能性があるということも留意しておくと安心です。
利用するデバイスや環境
SIMを使用するデバイスやインターネット環境も、選択のポイントになります。
例えば、タブレットやモバイルWi-Fiルーターを使用するなら、データ通信専用SIMを選ぶと効率的です。
音声通話SIMもデータ通信専用SIMも、利用するキャリアや回線の通信エリアに注意しましょう。通信が繋がりにくい地方や山間部での利用を考える場合、通信エリアが広いキャリアを選ぶと安心です。
利用期間の長さ
最低利用期間や解約時の違約金を考えて、長期的に無理なく使えるプランを選ぶことも大切です。
音声通話SIMは、データ通信専用SIMと比較して、長期利用を前提としたプランが設定されていることが多いです。
まとめ
これらのポイントを押さえ、生活スタイルや通信の使い方に合わせてぴったりのSIMを選びましょう。無駄な出費を減らして、自分に合った快適で便利な通信環境を手に入れてくださいね!