建設現場での資材保護や製造工場の試作監視では、遠隔監視が欠かせません。しかし、固定回線がない遠隔地では、SIMカメラ（ネットワークカメラ・IPカメラ）が解決策となります。
5Gは高速ですが、遠隔地では4Gで十分な場合が多く、5Gはデータ量やコストの急増を招くリスクがあります。この記事では、4G中心のSIM選定基準、失敗を避ける知識、実際のユースケース、AIカメラなどのトレンドを詳しく解説します。
SIMカメラの必要性と仕組み
遠隔地の建設現場や工場では、光回線やWi-Fiの敷設に数百万円のコストと数ヶ月の時間がかかります。このため、SIMカメラが注目されています。
SIMカメラは、主に4G回線を使って映像をクラウドや管理端末に送信します。映像はH.264やH.265で圧縮され、データ量を抑えます。
5Gは高速上り（20Mbps以上）や低遅延（10ms以下）を提供しますが、遠隔地では4G（3～5Mbps）で十分な場合がほとんどです。たとえば、1080p動画なら4Gの3Mbpsでスムーズに送信でき、5Gの過剰な速度は不要です。
5Gはデータ量が跳ね上がり（例：4Kで月500GB）、月額料金も高騰（例：¥8,000以上）、高価な5Gカメラ（¥100,000～）が必要になるため、コストが大きく膨らみます。
SIMカメラの主な技術要件は以下の通りです：
- 上り速度：1080p動画（30fps）で3～5Mbps、静止画で200kbpsです。
- データ量：静止画なら月1GB、1080p動画なら10～50GB、4Kは100GB以上です。
- 固定IP：VPNや専用アプリで安全にアクセスします。
たとえば、建設現場で1080pカメラを1日8時間運用する場合、4Gで月24GB（1GB/時×8時間×30日）と3Mbpsの上り速度で十分です。これにより、低コストで安定した監視が実現します。
SIM選定の技術的基準
SIMカメラを成功させるには、カメラのスペックと運用ニーズに合ったSIMを選ぶ必要があります。遠隔地では4Gでの運用が現実的で、5Gを前提とした運用はコスト増、フォールバック問題、通信料の大幅増等の様々なリスクがあります。以下の基準を検討してください：
- 上り速度：映像のビットレートを計算します。1080p@30fps（H.264）は約3Mbps、720pなら1.5Mbpsです。静止画は200kbpsで十分です。5Gの20Mbpsは4Kや複数カメラに適しますが、遠隔地では不要な場合が多く、4Gの3～5Mbpsでほとんどのニーズを満たせます。
- データ量：録画時間で試算します。1080pは1時間で1GB、720pは0.5GBです。1日8時間録画なら、1080pで月240GB（8×30）、720pで120GBです。モーション検知を活用すると、データ量を1/3～1/2に削減できます。5Gで4K（4GB/時）を使うと月960GBになり、コストが跳ね上がります。
- 圧縮形式：H.264は幅広いカメラで対応します。H.265はデータ量を約50%削減しますが、古いカメラでは非対応の場合があります。カメラの仕様書を確認してください。
- マルチキャリア：Docomo、au、SoftBank、Rakutenの電波状況を現地で確認します。Ookla Speedtestやキャリアのエリアマップが役立ちます。山間部ではDocomoが強いことが多いです。ロケットモバイル法人サービスのお客様対応の現場では、docomo回線は端末とSIMの組み合わせによるトラブルが少なく、安定してご利用が高いことを確認しております。そのため、同プラン帯において迷った場合はdocomo回線を推奨いたします。
- 固定IP：試作監視や建設現場で、VPNによる安全な接続に必須です。固定IPがないと、動的IPでアプリがカメラを見失い、接続が途切れたり、再設定が必要になったりします。遠隔地の電波不安定さや現地対応の難しさから固定IPオプションを付与するのが推奨されます。
参考URL：固定IP付きSIMサービス ロケットモバイルZ - コスト：月額¥500～¥5,000が理想です。5Gの無制限プランは¥6,000以上、カメラも¥100,000～と高額になるため、4Gの¥298～¥3,000が現実的です。従量課金は超過で高額（例：1GBで¥1,000）になるため避けてください。
失敗例：
- 低速SIM：1MbpsのSIMで1080p動画を送信し、映像が数秒おきにフリーズしました。
- 小容量：5GBプランで1080pカメラ（1GB/時）を1日5時間運用。3日で上限に達し、¥10,000の追加料金が発生しました。
- 単一キャリア：山間部の建設現場でauのみのSIMが圏外になり、監視が停止しました。
- 圧縮設定ミス：H.264の低圧縮でデータ量が2倍。月50GBの予定が100GBになり、コストが倍増しました。
- 5G過信：5Gカメラ（¥120,000）を導入したが、遠隔地で4Gにフォールバック。データ量が月300GB、従量課金プランであったため、料金が¥10,000に膨らみました。
事前のスペック確認、電波テスト、4G中心の選定で、これらの失敗を防げます。
技術トレンド：AIカメラと将来の展望
SIMカメラの性能を高める技術トレンドをご紹介します：
- AIカメラ：動体検知や異常検知を搭載し、データ量を削減します。たとえば、動体検知なら録画を必要な場面に限定し、1080pで月240GBが100GB以下に減ります。AIが資材の不審な動きを検知し、アラートを送信。HikvisionやAxisの最新モデルが対応しています。
- 5Gの現実：5Gは高速（20Mbps）ですが、遠隔地では4G（3Mbps）で十分です。5Gはデータ量（例：4Kで500GB）やコスト（¥8,000～）が増え、カメラも高価（¥100,000～）です。4Gは安定性と低コストで、現行の最適解です。
- 6Gの展望：2030年頃に実用化予定の6Gは、超低遅延（1ms以下）と100Mbps以上の上りを提供します。AI解析や超高画質監視が可能になりますが、遠隔地では引き続き4Gや5Gが主流でしょう。
4Gを活用しつつ、AIカメラで効率化を図るのが、現在のベストプラクティスです。
実際のユースケースと教訓
SIMカメラの活用例を、建築・製造業のシーンでご紹介します：
- 建築現場：資材盗難防止のため、1080pカメラ3台（Hikvision製、3Mbps、月10GB、固定IP）を4Gで運用。夜間8時間監視し、モーション検知でデータ量を30%削減。月¥2,000で盗難が減少。
- 動物監視：山奥で研究用の低画質動画、画像の定期的な伝送。カメラ100台。4Gで安定運用し、モーション検知等でデータ量を半減。月¥298(神プラン)で研究データの精度が向上。
- 小規模工場：在庫確認用の静止画カメラ（200kbps、月1GB）。4Gで固定回線不要、月¥298円(神プラン)。設置が1日で完了。
- 試作ライン監視：工場で1080pカメラ（3Mbps、月12GB、固定IP）。H.265圧縮でデータ量を40%削減、プロトタイプをリアルタイム確認。月¥1,872(上り12GBプラン+固定IP)で運用。
- 屋外試験場監視：製造業の試験場で1080pカメラ4台（3Mbps、月30GB）。4Gで新製品の耐久テストを遠隔監視。月¥2,980(上り50GB プラン)でコスト効率が向上。
教訓：4Gで十分な性能を発揮します。カメラの解像度や録画時間を計算し、モーション検知やH.265を活用してください。現地の電波状況をテストすることも重要です。
ロケットモバイル：有力なSIMの選択肢
多くのSIMオプションの中でも、ロケットモバイルは建築・製造業に適したIoT特化のSIMを提供しています。主なプラン（税抜）は以下の通りです：
- 神プラン：¥298/月、200kbps、静止画監視に最適です。
- 低容量上りプラン：¥555/月、3GB、軽量動画、静止画送信に適しています。
- 大容量上りプラン：¥3,000円～、50GB~1TB、長時間動画、高画質にも対応。(固定IP+3,400円/月)
- ロケットモバイルZ 上り特化プラン：¥980/月、6GB（固定IP+¥632/月）、1080p動画やセキュリティ用途に。
- 大容量S/Rプラン：¥2,980/月（30GB・100GB）、¥4,980/月（300GB）、無制限（要問合せ）、複数カメラに対応します。(Rの場合固定IP対応+950円/月)
下り回線にも、上り回線にも対応しており双方向通信が必要なSIMカメラに最適です。
ロケットモバイルの強みは、低価格、マルチキャリア（Docomo/au/SoftBank/Rakuten）、固定IP対応です。4G中心の運用で、遠隔地の安定性を確保します。さらに、モバイルルータープレゼントキャンペーン（詳細）で初期コストを抑えられます。
低容量帯 上りプラン比較(データ専用SIM)
ロケットモバイルと他社のSIMを比較します（税込、価格は一部仮定）：
| プロバイダ | プラン例 | 価格（月額） | 固定IP | IoT特化 |
|---|---|---|---|---|
| ロケットモバイル※ | 低容量上り3GB Z上り特化 6GB Z上り特化12GB | ¥555 ¥980 ¥1,240 | 対応(632円/月) | ◎ |
| IIJモバイルサービス※ | 上り100GB | ¥2,700 | 個別見積 | ◎ |
| mineo※ | 上り10GB | ¥1,400 | 対応(500円/月) | △ |
| BIGLOBEモバイル※ | 上り10GB | ¥1,500 | 対応(500円/月) | 〇 |
| NTT Docomo※ | 上り特価プラン3GB 上り特価プラン50GB | ¥1,020 ¥1,770 | 対応(500円/月) | ○ |
ロケットモバイルでは低容量プランで様々なプランを展開している為、GB数が無駄にならないプランを選択可能です。IIJは固定IP対応しているものの、個別見積になるため注意が必要です。
上りプランに関しては各社主力プランと比べ、情報を細かく公開していないまたは複雑な料金体系になっている為、必要に応じて問い合わせをして、疑問を解決しましょう。
設定とトラブルシューティング
SIMカメラの設定はシンプルですが、注意が必要です。以下の手順で進めてください：
- カメラ選定：上り速度（例：3Mbps）に適合し、H.265対応ならデータ量を抑えられます。
- SIM挿入：SIMをセットします。
- APN設定：設定します。特に業務用ルーターやカメラのAPN設定は設定方法に癖があることが多いため、端末の商品ページ等にとび詳しい設定方法を確認しましょう。
参考ページ：スマホ以外のアクセスポイント(APN)設定方法について教えてください。
よくあるトラブル：
- ファームウェア古い：カメラのファームウェアが古いと接続に失敗します。メーカーのサイトで更新してください。
- 電波干渉：Wi-Fiや機器が干渉する場合、外部アンテナを調整します。
- SIMロック：カメラが特定キャリアにロックされている場合、解除を確認します。
- APN誤設定：.やスペースが入る等文字のうち間違えで接続エラー。APN設定値を再確認してください。
- 5G接続過信：5Gカメラを導入したが、遠隔地で4Gにフォールバック。速度が2Mbpsに低下しました。
Q&A：よくある質問
SIMカメラの導入でよくある質問にお答えします：
- Q1：初期コストはどのくらいかかりますか？
A：カメラ（¥5,000～¥50,000）とSIM（¥298～¥4,980/月）で、合計¥10,000～可能です。4Gカメラ（例：Reolink）は¥20,000～、5Gは¥100,000～と高額です。 - Q2：4Gと5Gの選び方はどうすればいいですか？
A：遠隔地では4G（3Mbps）が現実的です。5G前提での運用はデータ量（例：500GB）やコスト（¥8,000～）が増え、オーバースペックになる場合があります。エリアマップで4Gの安定性を確認してください。 - Q3：固定IPの設定方法を教えてください。
A：VPNソフト（例：OpenVPN）を使い、固定IPでセキュア接続します。 - Q4：データ量の見積もりはどうすればいいですか？
A：録画時間と解像度で試算します。1080pで1GB/時、720pで0.5GB/時。メーカーの試算ツール（例：Hikvision）も活用してください。 - Q5：コスト削減のコツは何ですか？
A：4Gを選び、モーション検知で録画を限定、H.265圧縮を活用します。720pや夜間のみ運用も効果的です。5Gはコスト増（¥8,000～）に注意してください。 - Q6：カメラメーカーの選び方はどうすればいいですか？
A：Hikvision、Axisは高信頼性でH.265対応。低価格ならReolink、TP-Linkも選択肢です。IP66防水や夜間撮影機能を用途に応じて確認してください。
結論
SIMカメラは、建設・製造業の遠隔監視を効率化します。遠隔地では4Gが安定性とコスト効率で最適であり、5Gはデータ量やコストの増大に注意が必要です。
上り速度、データ量、電波状況、適切なカメラを活用し、SIMを選んでください。ロケットモバイルは、低コストなSIMを提供し、監視の課題を解決します。
モバイルルータープレゼントキャンペーン（詳細）も実施しておりますので是非ご活用いただき、安価で効率的な遠隔監視を始めましょう。
